…
………
………………
………骸様……
…………骸様…骸様ッ…骸様!!
行かないで…どうか行かないで下さい
あなたがいなければ私は生きていられないのです、私だけが生きていても仕方ないのです
お願いですーー
ーーどうか私の生死を手中に収め続けて下さい
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それは雨の強い夜でした、
私は愚かにもあの方の力を欲していた、それはそれは愚かな話で、死して数千年しか経って居なかった無知な私はあの方の力を貰い受けよう等と打算していたのです。
殺してでも。
「…みつけた」
私は雨に打たれることなど気にせずあの方の背中をずっと見つめていました。
あの方の隙を伺い、能力を傲り、実力では叶わないと知りつつも愚かにも殺そうと、そう考えてました。そのためにあの方の行動を事細かに調べ回り、監視…ストーカーのようなことをしていて、今考えればあまりにも恐れ多い事ですが…まぁ、動機が許し難いとはいえあの方の私生活、行動を出会う前から知ることが出来た、そういうことで良しとしましょう。
思えばあの方はあの頃には既に気付いていたのでしょうね、あれ程悪意に敏感な方があの頃の私に気が付かないわけがありませんもの。
…ああ、話題がそれましたわね。
まぁ、何はともあれこの時の私はあの方を殺す機会を伺い、そしてその好機を見つけた…そう考えていました。
「(まだ…気付いておりませんのね?
本当に愚鈍ですわね)」
「(可愛らしい見た目をしているのが残念ですが…まぁ、後悔は殺してからで構いませんわね)」
「死になさい」
そう言い私は魔力で手に氷の爪を纏いあの方を貫こうと致しました。
いや、実際にーー
「…アハッ……」
ーー貫いたのですが
「…油断油断油断油断油断大敵ですわねぇ!?
力に対して警戒は皆無、怠惰にも程がありますわ!!」
「本当に「あ…」…何です?断末魔にしては随分間抜けですわね?」
「……ごめんね、殺されるつもりだったんだけど…」
「は?何を…」
油断大敵…その通りだった。
私はあれだけの力を持つ方を貫いたらどうなるか、そこまで考えてはいなかったんです。
「抑えられそうにないや」
「だから何を…ッ!?」
怨念の濁流、そう呼ぶに相応しい禍々しいあまりにも強大すぎる力、それは私を容赦なく呑み込みに襲ってきました。
「(これはなんなんですの!?
これだけの怨念の奔流は何処から…)」
「グ…ウッ!?」
「(腕が無くなって…
マズイマズイマズイマズイマズイ!!意識が呑まれる!精神が潰されてしまう!!)」
かつて何かであったのであろう大量の何かの怨念、それは私如きの精神を簡単に消し去ることなど容易なものでした。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌ッ…」
「死にたくない死にたくないッ!!
また誰にも愛されないまま死ぬなんて!!誰も好きになれないまま死ぬなんて嫌なのよッ!!!!」
「嫌だ嫌だ嫌だ…
だってまだ私…」
「…そっか」
たった一言、たった一言私が消える直前にあの方がそう言ったのを聞いてそして私は消えました。
あぁ、結局私は何も知れないまま死ぬのか、
そう思っていました。
「…んぅ……」
「ん…あ、あれ?私…!?」
私が目覚めたそこはあの方を殺そうとしたその場所、その時には既にあの方はおらず私だけがぽつんと横たわっていました、ただそんな中でも分かったことがあったのです。
「…生かされた……?」
確かに私の肉体と精神は消滅した筈でした。あの場所にはあの方と私しか居らず、他の存在の気配等はなかったので私はすぐにそう思い至りました。どうやって、そう思うより先に"助けられた"そう思っていたが故に他の選択肢が頭になかったというのも大きかったんでしょうが。
「この私を…助けてくれた…」
その時私の中にはそれ以上の衝動が渦巻いていました。
それはそうでしょう、自ら格上に奇襲をかけ…そして身体を貫き殺そうとした私を助けてくれて、生かしてくれたのですから。
「…あぁ…なんて…」
今でも私はこの時の感情を思い出すことが出来る。
「…あぁ…なんて…
素敵なんでしょう」
この感情が恋だと、私はそう思いました。
今でも胸を震わせるこの愛しく狂おしい想いに私は喜びを、歓喜を上げておりました。
殺そうとした私を救ってくれただけではなく恋まで与えて下さったあの方を私はあの時から強く、そうそれはもう強く想い続けました。
それはそれはもう…
殺されてしまいたい程に