暖かい日差しが差し込み始めた朝、
僕こと骸は、太上老君、彼女の家で目覚めた。
太上老君との出会いから数ヶ月が経っていたがあまり実感がなく、きっと僕にとっては心地よい居場所になっているのだと思う。
…そろそろ、あの子が来る時間帯だ…
「骸君、骸くーん!起きてますかー?」
「おはよう、申公豹」
「はい!おはようございます骸君!」
彼女は申公豹、もう一人の同居人だ。
「もうご飯出来ていますから、居間に来てもらってもいいですか?」
「うん、ありがとう申公豹、すぐに行くね」
「はい!では準備しておきますね」
申公豹はこの家で家事全般を担当している、炊事洗濯掃除そのほかの全て、以前負担を軽減出来ればと手伝おうと言ったところ「好きでやっているので」と断られた。
「よいしょ、そろそろ行こうかな」
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「あ、おはよう骸」
「おはよう太上老君」
居間に着くと太上老君が背中を丸めて座っていた、目を擦り欠伸をして眠そうにしている。
「相変わらず朝は苦手なんだ?」
「む…いつもじゃないんですよ?たまに…極希に早起きしますし」
「それいつもじゃないですか…」
「申公豹ちゃん!?」
「ほ、ほら!老君様ご飯出来てますよ!すぐ食べますか?」
「食べるぅ〜」
「(切り替え早いなぁ…)」
「ふふっ、じゃあ並べていきますね、
あ、骸君もすぐ食べますよね?」
「うん大丈夫だよ、ありがとう」
そう言って上機嫌に朝食を並べていく申公豹。
「(楽しそうだな)」
そんな申公豹を眺めながら、
頬杖をついた僕の口角は少し上がっていた。
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「ご馳走様です、いつもありがとうございますね」
「いえいえ、好きでやっていますから!」
食後にお茶を飲みながら一服、このゆったりした時間は嫌いじゃない。
「申公豹のご飯美味しいしね?」
「骸もそう思います?流石私の申公豹ちゃん!」
「…老君様のではないですけどね」
「まぁ、でも言いたくなる気持ちも分からなくはないですわね」
「そうだね」
「そうで……ツんんん!?!?」
「どうし…あー…」
…そう言えばこの子の紹介してなかったっけ。
「いやいやいや、なんでそんな落ち着いてるんですか!?ていうか誰!?」
「あらあら…そういえば自己紹介がまだでしたわね」
「私は鴉恋、骸様の従順な僕ですわ」
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「は、はぁ?なるほど?
えっと骸の従者…でいいんですかね?」
太上老君はいまいち納得しきれていないのか首をかしげ、頭に疑問符を浮かべている。
「えぇ、それで間違いありませんよ」
「…そ、そうですか…
あの…一つ質問いいですかね?」
「何でしょうか」
「貴方はどっから現れたんですかね?」
「…なんだ、そんな事ですか」
そう言うと鴉恋は僕に腕を絡ませた。
何故か指で胸を撫で回してくる、少しこしょばいなぁ…
「骸様の…な・か…ですわ///」ポッ
「「!?」」
鴉恋の発言を聞いた太上老君と申公豹は目を見開いて驚いている、そんなに驚く事なんだろうか?
あ、あれかな、少し分かりづらかったりしたのかな?
「あれだよ、憑依?に近いのかな、少し違うけどね」
「…まぁ、そうですわね」
「な、何サラッと同意してるんですか貴方は!?さっきのわざとでしょう!?紛らわしい…
というか憑依って…貴方は霊、なんですか?」
「はい、厳密に言えば悪魔ですが」
「…悪魔、ですか」
少し警戒の色を見せる太上老君。申公豹は頭が追いついていないのかさっきから上の空だ。
「大丈夫だよ太上老君、一応鴉恋は安全…だと思う、
僕がいる限り君に危害を加えたりさせやしないしね」
「うふふ…えぇ、骸様の意思がなければ私は行動しませんよ?安心して下さいな」
「…そうですか…
信用にたる相手かはともかくとして骸がそう言うなら…」
そう言って力を抜く太上老君。
「…貴方の立ち位置は分かりましたが…
…ちなみにですが貴方はこれからどこに住むんですか?」
「あら…最初に断っておきますが私は骸様のお傍から離れる気はありませんわ…あぁ、場所の事でしたら普段は骸様の中に居ますので大丈夫ですよ?」
「あぁ…そうですか…」
分かってましたよと言わんばかりにそっぽを向き肩を落とす、どうやらあまり鴉恋は歓迎されていないらしい。
「ハッ……
あれ?話はどうなって…」
意識を失っていた申公豹が気を取り直して尋ねる、貧血?
「あぁ…それならーー」
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「…事情は理解しました、
それで…本当に一緒に住むんですか?」
「先程も申しましたが、私は骸様のお傍から離れる気はありませんので」
「そうですか…」
うーん…本当は体良く断わりたいですが…
「まぁ、老君様も許可されたみたいですし…
私が拒否する理由も特にありませんね」
それに
「骸君が大丈夫って言うなら大丈夫なんでしょう」
いい子ですしね、この人がどうかは知りませんが…骸君が信頼してるのであれば知りもせずに突っぱねるというのもあれですから。
「…骸様を信頼して下さってること、
僕としては嬉しく思いますわ」
「意外でしたか?」
「いえ…流石骸様だと」
そう言いそっぽを向く鴉恋さん、なんだかんだ彼女は骸君を心配していたのだろう。
やっぱりいい人そうだ。
「ふふ…そうですか」
「…ふん」
「ま、私の骸君ですから?当然ですね」
いやいや、何で老君様が威張ってるんですか…。
「…はい?」
「はぁ?」
………
「私の、骸様ですが?今何と仰いました?」
「…はぁー???」
あかん
「何抜かしてんですか??私の骸だと言ったんですよ!
これからも?骸の傍にいるのは?私な訳ですから当然ですよねぇ?えぇ、当然ですとも!!」
「冗談がお上手ですわね?私の骸様が貴方のモノだと?私は何億年も前から骸様の傍におり支えてきたのです!ぽっと出の貴方より私の方が骸様の傍にいるに相応しいに決まっているでしょう!」
「それこそ冗談ですよ!あんた何かより私のが何百倍も骸の傍にいるに相応しいに決まってます!私の方が骸を幸せに出来るに決まってますし!」
「なんの根拠もない情報ありがとうございます!!それで私以上に幸せに出来るとか宣うのはちゃんちゃらおかしいですわね!!」
「そんなの決まってます!だってーー」
ギャーギャーギャーギャー
まさかあの和やかな空気から一転、こんなに険悪になるとは…
うぅ…私は選択を間違えたんでしょうか…?
いやいや、そんな事はないはずです!多分。
あ、あれ?そういえば骸君は…
「お茶が美味しいなぁ…」
やはり…私は選択を間違えたんでしょうか
鴉恋(あこ)
モーショボーの少女?
紫色を帯びた長い黒髪、
ゴスロリとワンピースの間のような服を着ている。
申公豹(しんこうひょう)
紫色のショートカットをした少女、
師匠に太公望、太上老君を持つが終始からかわれていて、
周りからは独立を促されているらしいが、確かにポテンシャルは高く
性格も申し分ないのだが(たまに腹いせにありもしない罪を擦り付け、一方的に責めることがあるが)
技術は未熟な為実現は遠い未来になりそうだ。
相棒には黒豹のクロちゃんがいる、黒豹、ぬいぐるみのような見た目から間違えられやすいが紛れも無く黒豹である。