「…あれ?もしかして私」
やり過ぎた…?
いやいや、あの位置なら確実に雷を直撃させられた筈…。
いやいやいやいや!
「直撃させたらダメじゃん!?
い、いや!それよりも…骸君!!今行きます!!!!」
そう叫びながら私は土煙の中に走っていった。
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「…あー…やっちゃったなぁ」
焦げた腕を見てため息をつく、練習とはいえ油断し過ぎた。避ける方法も相殺する方法もあった、だが申公豹は以前とは比べるまでもないほど強くなっていたし、あれなら殆どの相手は防げない筈。
だから練習相手の障害、成果として攻撃を受けたんだけど…。
「まさか最大火力で撃ってくるなんてね…」
流石に想像してなかったなぁ…
あの一撃、底辺の神ぐらいなら半殺しに出来るんじゃないかな?
そんな事をボヤいていたその時。
「骸君ー!!!」
この声は…申公豹か、
何か焦ってそうな声だけど行った方がいいのかな?行った方がいいね。
周りには危なそうな気配も特にないけれど、だからと言って土煙が晴れるまで此処に突っ立っているのもあれだしね。
ああいや、まだ腕焦げたまんまだった…
直しておこうかな、煤が付いたら可哀想だものね。
「戻って」
言葉と共に腕を修復、完全に元の状態を再現する。
思うよりはダメージを受けていなかったみたいで、皮何枚かを元に戻すだけで大丈夫だった。
「まぁ、これでいいかな」
やっぱり能力解除はダメだね、一々修復するのも無駄だし、喰らったことくらいは次から口頭で伝えるようにしよう。
別に面倒なだけで格別困ったこともないんだけどさ。
あ、申公…
「…ッ!!見つけました!!」
…
「申公豹…?」
こういう事ってあまり聞くべきじゃないのかも知れないけどね?
僕はなんで抱きつかれてるの…?
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「ごめんなさい!!」
やっと落ち着きを取り戻した私は勢いよく頭を下げた。
は、恥ずかしい…焦っていたとはいえ抱きついちゃうなんて。
「そ、その抱きついてしまって…
最後の一撃、やり過ぎたと思って…もし骸君に何かあったらと思うと怖くなって」
嘘偽りのない気持ちを伝える。
本当にやり過ぎた。練習、ましてや味方に出していい火力ではなかった。
「ううん、大丈夫だよ。
僕は一応大概のことは能力でどうにかなるしね」
「…本当にごめんなさい。
そしてありがとうございます」
やっぱり骸君は優しい。その優しさに最近甘え過ぎているような気がして、家事を手伝うと言われた時も断ってしまったり。なのにこうやって修行に付き合ってもらっている、我ながらちぐはぐだ。
「あの、やっぱり次から修行は「あ、うん、次の日付どうしようか」…え?」
「次の日程を決めるんじゃないの?」
「え、でも…私迷惑かけて…」
迷惑、自分で言っていて辛くなる。だけど被害を受けたのは骸君で、私なんかよりずっと怖かった筈なのだ。
「あのね、申公豹?」
それなのに彼は優しく笑ってくれる。被害を受けたのは彼なのに、私の事を考えてくれているのが表情から伝わってくる。
「僕はね、君の役に立てることが嬉しいんだ」
「なんでそんな…」
何で…そんなに優しく出来るんですか。
「…何でだろうね。
でも確かに、僕は君が望むことを叶えられれば君が喜んでくれれば、それが一番嬉しいんだ。理由は無いのかも知れないけどね」
そう言った後に目を薄めながら「これは太上老君にも言えることだけどね」なんて言って笑う。
あぁ、本当ずるいなぁ…
「ありがと…」
だからまぁ、感極まってまた抱きついてしまったのは見逃して欲しい。
いや、やっぱり恥ずかしいわ。