「ア"ア"クソがッ!」
苛立ちの余り叫び散らすカーリー。
だが、それもそうだろう。戦闘が始まり早十分、カーリーの攻撃は一撃も当たっていないのだ。否、当たっているように見えるが手応えが"何一つ"なかった。
「(やっぱ当たんねぇか…めんどくせぇ能力だなクソッ)」
「チッ…一旦仕切り直す、天ッ撃!!」
赤黒いオーラの塊を展開し振り回すように薙ぎ払う。
すると何も無いように見える空間から鴉恋が弾かれた。
「いッたいですわね…」
「やっと出てきやがったか、相変わらず嫌ったらしい能力だなァ?」
「あら、私は割と嫌いではありませんわよ?」
「ハンッ…そいつァテメェの…
…いや、嘘つきのお前にはお似合いか」
「…本当に口が減りませんのねッ!」
氷の塊を5発前方に打ち出し鴉恋は。
それをカーリーは拳で破壊、その間に鴉恋は後に大きく跳び間合いを広げる。
着地後爪先で地面を叩き、目を細め、手を広げる鴉恋。
「でもまぁ…お喋りもここ迄ですわね
…もう手は打ちましたもの」
「させるかッ…闇黒滅尽!」
前方に駆け赤黒い光線を叩き込むカーリー。
その光線は鴉恋を貫通するも、肉体は煙のように空気に溶け消えていく。
「チッ…また振り出しかよ…」
辺りを見回し溜息をつく。
が、それも束の間。
目の前に空気から溶け出すように鴉恋が現れる。
「当たんねぇなァ!」
カーリーはその腹を容赦なく貫くがまたも煙のように消えてゆく。
そして背後から、更には足元から。現れては貫き現れては貫き何度も鴉恋を消してゆく。
「(恐らくさっきの手で大きめの攻撃は警戒されてる、何とか打開策を見つけねぇと…ガス欠になんのはこっちかもな…)」
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「これ…どうなってるんですか…」
空気中に現れた鴉恋さんをカーリーが貫いては消している。
それだけでも異常だというのに息をつく間もなく次々と何処からか鴉恋さんが現れるのだ…。
「私にも分からないですね…
骸は分かりますか?」
「…老君様居たんですね…」
「割と酷いこと言いますね!?鴉恋と一緒に来てたじゃないですか…」
本当に気が付かなかったなぁ…
まぁ、いいや。
「そんな事より骸君。何が起こっているのか知っていますか?」
「ん?…あー、あれかぁ」
「(さらっと私の存在感をそんな事扱いしましたね申公豹ちゃん…)」
「あれは鴉恋の能力なんだよ「能力?」そう、能力」
確かにこの森羅万象には多種多様な能力を持つ人がいる。
けれどあんな能力は…。
「どんな能力か…聞いても大丈夫ですか?」
「(これ\ロッウクーン/ハーイ!とか言えば一発芸になったりしますかね?あぁ、しない?そうですか…)
…あー、私も気になりますね」
「そっか…まぁ、多分言っても大丈夫かな。」
少しためた後。あまり気乗りしていないような、それでいて気にもとめていないような表情で言葉を零す。
「あの子の能力の名前は"夢語"って言うんだ。
能力は"嘘を真実に魅せる能力"」
「嘘を真実に"見せる"…?」
そう老君様が口に出すと骸は軽く首を振る。
「違うよ…"魅せる"能力。みせるはみせるでも魅了の方。」
嘘を真実に魅せる…。
名前だけで判断するならばまやかしの類かな?
いや、でも魅せるって言うのは…。
「あの子の能力はその名の通り嘘を真実に見せることが出来る。幻想みたいなものだよ。
でも、ただ一つ追加するなら彼女は真実に見せる嘘を真実より魅力的に、より真実に魅せられる能力だってこと。」
…滅茶苦茶だ。
そんな能力聞いたことさえない、
何より…そんな能力ではどう対処しろというのだろう…。
「えげつない能力ですね…」
全くもって同意見です。
老君様であればまだともかく私なんかじゃ…。
「本当…敵に回したくないですね…」
⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸⿴⿻⿸
「(不味いな…捌ききれなくなってきやがった…。
何発か痛いの貰っちまったなぁ…いや、これも嘘なんだろうが、それでも"もしも"ってこともある。)」
「(ジリ貧だな…アレ使うか?チッ…仕方ねぇか。)」
思考をまとめ終えると息を大きく吸う。
幻影を捌き少し間を空けると手を上に構え、地面を叩くカーリー。
「闇黒滅尽!!」
地面にゼロ距離でエネルギーを放ち、土煙に紛れるカーリー。
そして手には何処からかうねった文字が描かれた縦長の紙。
「詠唱…は覚えてねぇな。まぁ、呪符に刻んでるらしいし問題ねぇだろ。」
息を吐きカーリーは落ち着きを取り戻す。
少し唇を楽しそうに歪めながら。
「借りんぞ骸…
放ち縛れ!蠍薔薇!!」