書類の山、山、山、山。
「あ゛~~~やる気しねぇ……!!!」
とはいえ、実際、締切り間近や過ぎているものも混じっている。正確にいえば、目の前にある書類はすでに締切が過ぎていて、書き終え次第届けにいかなければならない。
やる気は起きない。が、ガープのゲンコツは勘弁したい。仕方ないと、書類に手を付けた。
ゴツンっ
「――ッテェ……!」
当たり前のように頭にゲンコツが落ちてきた。
「毎度毎度、よくこれだけ遅れられるのぉ」
「別に俺も遅れたくて遅れてるわけじゃないんすけど」
働きたくなくて遅れているのだから、つまり自分のせいだ。
「そもそも今回は東の海まで行ってんですけどねぇ」
「あぁ……あの噴火か。ようやく収まってきたらしいの」
まだ近づくことはできないが、この調子で収まれば目処もつけられるだろう。
「そういや、お前、ガキをひとり、預かったらしいの」
「あー……まぁ」
「なんじゃ。煮え切らんの」
あの孤児たちは別の施設に預けられることになった。規模などの都合で全員が同じ施設というわけにはいかなかったが、それぞれの施設に別の施設に預けられた子供の名簿も渡したため、連絡は取れるはずだ。
だが、その中にひとりだけ名前が乗っていない人物がいた。
クザンは少し悩んだあと、ガープにだけ聞こえるように答えた。
「その子、テディちゃんのこと”お姉ちゃん”って呼んでたんすよ」
「! 見つかったのか?」
「本人はまだ」
ガープも小さく眉をひそめると、煎餅の袋をひとつ掴むとクザンに押し付ける。
「そのガキに渡しておけ。お前がまともな飯食ってるとは思えんしな」
「ちょっ……さすがにちゃんとしたもの食わせてますって!」
そもそも煎餅だって、まともな飯に入るとは思えない。
***
終わらない仕事にキリをつけて、自宅へと戻れば、ようやく半分ほど片付いた部屋。窓の外に手を伸ばしていた少女は、クザンの帰りに慌てて立ち上がった。
「お、おかえりなさい!」
「……ただいま」
クザンの目は窓の方に向いていて、少女も慌てたように左右を見ると台所に向かっていった。
「す、すぐにごはん、用意します」
「あー……いいって。大丈夫」
さすがに知らない男の家ともなれば、緊張するのか、それともついこの間まで散乱していた部屋の様子があまりにも見慣れていなかったのか。とにかく、まだ慣れない様子だった。
「ユイちゃん、座っててもいいんだぜ? ほら、ガープさんから煎餅ももらったし」
「で、でも……お世話になってるし」
「気にしなくていいって」
食材を切りながら、ふと思いついたそれ。
「明日、シャボンディ諸島に行ってみるか?」
「ぇ?」
「俺も用事あるし、ほら、服とか、必要なものもあるだろ?」
「そ、そんな! 悪いです」
「っていってもなぁ……結局、服は必要だし、ずっとその服ってわけにもいかないだろ?」
「そ、それは……」
「俺も任されてる身だからさ」
おずおずと頷いたユイにクザンも、笑って頷いた。