テディベアの傍らに   作:こっここーまん

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21話 苦手じゃないよなんとなく警戒してるだけなんだ

 本部に似つかわしくない小さな影を追いかければ、黒い髪の少女。

 

「おォ~~ユイちゃん。こんなところで何してるんだい? ここは一応、本部だから遊んじゃダメだよォ~~」

「あ、ごめんなさい!」

 

 慌てたように頭を下げるユイは、ガープを探してそうだ。

 いつものようにガープの元に遊びに行ったら、ガープが仕事をサボってどこかに行ってしまったらしく、ボガードも手が離せず代わりに探すように頼まれたそうだ。

 

「そうだったんだね~~なら、わっしも手伝うよ~~」

「え!? いいんですか!?」

 

 小さな体を抱えあげれば、驚いたあと人懐っこい笑顔を向けた。

 

「ここ、ガープさんのところに似てたから」

 

 ここは、海兵に癒しを与えるための休憩室で、今は襖で区切られているが、襖を取れば宴会も開けるような大部屋だ。

 ガープも確かに似たような作りの部屋を使っている。

 

「ん~~でも、ガープさんはここにはあまり来ねぇからなぁ~~センゴクさんは今いねぇから……鍛錬場とか見に行ったかい?」

「まだです」

「じゃあ、そこから行こうか~~」

 

 部屋を出ようとすれば、ちょうど入ってきたコワモテの男。海軍大将のひとり、赤犬ことサカズキだ。

 

「ん? なんじゃい。そのガキ」

「ユイちゃんだよ~~ほら、テディちゃんとクザンが預かってる」

「あぁ……あの小娘のか」

 

 ギロりと睨まれれば、ユイも自然とボルサリーノをつかむ手に力が入る。

 

「それより、君は何しにきたんだい?」

「盆栽の様子を見に来たんじゃ。たまには手入れをせんとな」

 

 気を利かせた誰かが、緑を増やそうとして盆栽を置いたことから、徐々に増え続けており、サカズキも増やしている人物のひとりだった。

 長期任務の時には、海兵たちが大将の盆栽だけは枯らしてはいけないと、手入れしているのもよく見かける光景だ。

 

「おォ~~そ~~かい。がんばってね~~」

 

 サカズキと別れると、ユイが不思議そうに首をかしげた。

 

「お姉ちゃんと先程の……えっと」

「サカズキ。あとは赤犬って呼ばれてるね~~」

「サカズキさん、は、仲が悪いんですか?」

「あ~~……仕事の関係でね~~立場上仕方なくだよ」

 

 海賊を悪だと決め、徹底的に排除しようとするサカズキに対し、テディは世界政府にとって都合の悪い人間を抹殺する。それは、政府にとって都合が良ければ、海賊だろうがなんだろうが擁護するということだ。

 衝突は、正直数が多かった。

 

「ここにもいねぇかぁ」

 

 鍛錬場にもいない。

 なら、次は、

 

「おつるさんのところだねぇ~~」

 

 屯している場所は大抵決まっている。

 

「……」

「テディちゃん? どうした?」

 

 あらぬ方向を見ているテディに首をかしげれば、テディは「なんでもない」といって、また書類に目を落とした。

 

「おォ~~いたいた」

 

 ボルサリーノの予想通り、ガープはつるの執務室にいた。

 

「なんだい。ユイまで連れて」

「いや~~ガープさんを探してるっていうから、手伝ってたんですよ~~」

 

 ユイを下ろせば、ガープにボガードが探していることを伝えるものの、全く動く気配がない。

 

「ガープさん!」

「休憩じゃ! 休憩!」

「ボガードさんから、絶対休憩っていうからちゃんと連れてこいって言われてるんです!」

 

 さすが、慣れている。

 ボルサリーノとつるもそのふたりの言い争いを眺めながら、会話を交わす。

 

「そういや、悪魔の実を見つけたって話だよ」

「悪魔の実ぃ? なんの実ですかい?」

「未確認だそうだよ」

 

 海軍が回収した悪魔の実は、そのほとんどが一度世界政府か海軍の管理に置かれ、戦力増強を目的に名指しされた海兵が食すが、カナヅチというデメリットから拒否する海兵もいる。

 その内の一部は世界政府に回収され、海軍とは別の組織へ渡ることもある。

 

「悪魔の実?」

「なんじゃ、知らんのか? テディも食っとるじゃろ」

 

 そういえば、合点が言ったのか声を上げた。

 

「チョウチョになるやつですか?」

「そうじゃ。まぁ、能力もいろいろあってな。動物系、自然系、超人系つって、テディのは動物系ムシムシの実の蝶人間。他にも、そこの黄色いのは自然系ピカピカの実を食っとるし、おつるちゃんは超人系のウォシュウォシュの実を食っとる」

「いっぱいあるんですね……」

「ここに集まってるだけだよ。なかなか見つからないから、見つかればみんな欲しがって取り合って戦いだって起きる。悪魔の実図鑑ってのもあるよ。ほら」

 

 つるが差し出した本を開けば、形だけなら果物は思えるが、模様や色が食べられるとは到底思えない果物ばかりが並んでいる。

 その中には、写真があるものと名前と能力のみが書かれているものがある。

 

「それは海賊が使っていたから、名前と能力だけがわかってるんだよ」

「あ! お姉ちゃんのってコレ?」

 

 さすがにCP9が持っていただけあり、写真がしっかりある。形はチェリーのようだが、真っ青で特徴的な渦巻き模様。

 

「まずくてな。食った海兵ほとんど一口で吐いとる」

「いや~~アレは本当にまずいんですって」

「知っとるわ。吐き捨てたわ」

「人の残したの食ってよくいうよ」

 

 つるが一口でやめたのを、気になったのか、ガープもその後食べたが、口に入れた瞬間吐き出していた。

 勝手に食べて、吐き出すなど失礼にも程があるが、正直見ている身とすれば、食べた人間が軒並み青白い顔になる味など気になるのだ。

 

「……おつるさん」

 

 小声でつるを呼ぶユイに耳を寄せれば、

 

「悪魔の実の元の果物、苦手ですか?」

「そんなことはないけど、どうしてだい?」

 

 つるがのぞき込む中、ユイは少しだけ困ったように眉を下げながら言った。

 

「お姉ちゃん、チェリーパイだけあんまり好きじゃなくて」

「……」

 

 なんとなく気持ちはわかるような気がした。




このメンバーだと、完全ジジババ孫談議(笑)
平和でよろしい。

テディですが、一応ユイの傍に蝶を一匹飛ばしているので、状況はなんとなく分かっています。その上で、「なにしてんだ? あの人たち」とか思っています。
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