テディベアの傍らに   作:こっここーまん

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32話 絡む中将

「よぉ。テディちゃん」

 

 各CPの実行部隊のリーダーは、海軍との連携を取ることもあり、本部に出入りすることも多い。

 前まではショカンだったのが、今はテディを見かけることの方が多い。つまりは、そういうことなのだろう。

 

「今回の作戦、CP9も動くんだってな」

「お前には関係ないことだ。クザン中将」

「まーな」

 

 最近は、より感情は読めないし、鋭いナイフみたいだ。

 それに、変に声をかけまくると、大将やら先輩やらに止められる。同じ世界政府とはいえ、立場は違う。

 むしろ、CPの方が天竜人に近い分、制約が多い。

 

「……邪魔するなら排除する」

 

 ピタリと首筋に当てられたナイフのような冷たさ。

 言葉ひとつで首が落ちる確信めいた殺気。

 

「警告はした」

 

 もう言葉を交わす必要はないというかのように、立ち去ろうとするテディの後ろに続く男は、先程までのテディの殺気を感じなかったかのように笑う。

 

「”ちゃん”だってよ! ガキみてぇだな! テディ」

 

 何も答えないテディに、男は笑う。

 

「その通りだろ」

 

 しかし、クザンの言葉にテディよりも殺気のこもった視線で振り返った。

 クザンも静かにポケットへ手をいれると、男の重心がわずかに下がる。

 

「やめろ。ジャブラ」

「……」

 

 数瞬の睨み合いの後、ジャブラはため息をついた。

 

***

 

 ジャブラは手早くターゲットを仕留めると、その場所から離脱した。

 政府の機密事項を奪取、破棄したカリファとも合流すると、ちょうど海軍が踏み込んできたところのようだ。

 

「これで組織は解体。あとは海軍が繋がりを調べて終わりね」

 

 ここでの諜報部隊としての役割は終わりだ。

 

「あ……」

「なに?」

「いや、あいつがいただけだ。なんでもねぇ」

「あいつ?」

「テディによく絡んでくる奴だよ」

「あぁ……クザン中将ね。彼に下手なことは禁止よ」

「あ? なんかあんのか?」

 

 不思議そうにカリファを見るジャブラに、カリファも少し迷ったあと告げた。

 

「彼、次期元帥候補なのよ」

「は? 中将だろ?」

「大将は現在枠が埋まってるから、昇格してないだけで、枠が空けば大将になるわ」

 

 少し前までは、かつてのガープのように昇格を蹴っていたのだが、心変わりすることがあったのか、もし次に枠が空けば大将に昇格すると決めたそうだ。

 

「それに、センゴク元帥もこのままのメンバーなら、おそらくクザンを推薦するそうよ」

「はぁ……あいつがなぁ」

「……なにかあった?」

 

 ここ最近、カリファは今回の任務があったため、テディのことはジャブラに任せていた。

 

「別に。アイツ、本部に行く度、あんなに絡まれてんのかと思っただけだよ」

「そうね。クザン中将は、テディのこと気にかけているから」

 

 小指を立てるジャブラに、カリファは首を横に振った。

 すると、ジャブラは少しだけカリファに近づくと、

 

「テディは?」

 

 そう、小声で聞いた。

 確かに、ショカンが死んでからというもの、テディの感情は昔馴染のジャブラたちからしても、わからなくなった。

 しかし、それでも、クザンを前にしたテディは露骨な程に研ぎ澄まさた気配を纏う。それこそ、殺気でクザンを押さえ込もうとするかのように。

 

「そんなわけないでしょ」

「だ、だとは思うけどよぉ」

「……似てるのよ」

 

 ショカンとクザンが。だからこそ、ボロを出さないように、必死になっているだけだ。

 似ているだろうかと、ジャブラは眉をひそめた。

 

「ハァーックションッ!」

 

 大げさなクシャミに、折れた刃を片付けていたテディが呆れたような目をした。

 

「誰か噂でもしとるのかのぉ」

 

 カクは折れた剣を傍らに置くと、新しい剣を構えた。

 元はショカンに教わっていた六式だが、全て習得する前にショカンが死に、後の修行をテディが引き継いで行なっていた。

 

「ところで、テディ。これで、わしが一太刀でも当てられたら、即CP9配属というのは嘘ではないじゃろうな?」

「そこで嘘ついてどうする」

「まぁ、そうなんじゃが……剣が叩き折られるわ、取ったと思ったら武装色に鉄塊で刀が折れるをくり返しとったら、実はわしを入れるつもりないんじゃないかと思ってくるじゃろ」

 

 これで剣の交換は何度目だろうか。

 傍らに置かれた柄の数を数えればわかるが、正直数えたくない。

 

「……正直、カクの剣術が私より上だから」

「それはうれしいんじゃが、折る理由にならんじゃろ!?」

「折れないように工夫して」

「雑か!」

「私は師匠より強くないし、大丈夫。たぶん」

 

 最後の一言がなによりも問題だ。

 

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