テディベアの傍らに   作:こっここーまん

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34話 報告

 頭に乗った重み。

 

「報告書だ。てか、マジでカクまで寄越したのかよ」

 

 随分と機嫌の悪いジャブラが、舌打ち混じりに誰もいなくなった執務室を見渡す。

 数日前、カリファから入った情報から、アイスバーグが確実に設計図を持っていることがわかった。

 同時に、当時、アイスバーグと身内のような関係であったカティ・フラムが生きており、フランキーとしてW7で解体屋をしていると。

 

「じゃあ、そっちが持ってるかもしれねぇってことか?」

「可能性は捨てきれないが、低い。フランキー一家は、それこそ傍若無人。正直、昔の好で見逃されてる部分が大きいだそうだ。そっちにはブルーノが探りをいれてる」

「だったら、なんでカクまで送ったんだよ」

「……なんでそこまで気にする? 必要だと判断したから意外になにもないだろ」

「――はぁ……CP9を3人も送る案件か? 情報集めなんざ他のCPでもできるだろ。現に、他の奴らも何人か入ってるんだろ?」

 

 ジャブラの言うとおり、W7にはCPが数人張り込んでいる。

 だが、ガレーラには潜り込んでいない。

 

「確実にアイスバーグが設計図を持っているなら、身近に潜入させるのは必要なことだ」

「んなことはわかってる」

「………………」

「なんだよ」

 

 なんとも言えない表情になるテディに、ジャブラが目を細めると、少しだけ視線を落とし、逸らした。

 

「またルッチに実力不足で排除されると困る」

 

 納得してしまった。

 むしろ、頭を抱えてしまった。

 

「カクならその辺大丈夫」

「だったら、これ以上の増員が必要な時は俺ってか?」

「ジャブラは歳的に厳し――」

「うるせぇ」

 

 報告書で叩かれた。

 

「チャパパ。ジャブラ、心配してるなら、はっきりしてる言った方がいい。だから逃げられるんだ」

「お前いつからいた!?」

「最初から」

 

 チャパパパパと笑うフクロウは、音も無く壁から降りてくると、テディの持っていた紙束を指さす。

 数分前にテディが受け取った報告書だ。

 

「長官に報告してくる。ふたりはしばらく待機。ジャブラは、心の傷を癒してていいよ?」

「チャパパ……ひとりにしてやるぞ」

「変な気遣いするな!! 気持ち悪い!」

 

 言い争うふたりの声を聞きながら廊下に出る。

 誰かの騒ぎ声が聞こえるのは、ずいぶん久しぶりだ。カクがいた時も、別に騒がしかったわけではないが、会話がないわけでもない。

 テディは少しだけ表情を緩めながら、長官の部屋に向かえば、叫び声。

 

「……」

 

 少しだけ聞き耳を立てれば、その叫びは焦りと恐怖といった感情。

 また緊急の案件で、難しい案件かと、ジャブラたちも休めないなと、表情を戻しながら、ノックした。

 

「ちょうどいい所に来た! テディ!」

「はい。ジャブラとフクロウからの報告書です」

 

 焦っているのか、椅子から立ち上がるスパンダムに、いつものように報告書を差し出せば、スパンダムは一瞬固まるが、乱雑にそれを受け取ると、机に投げ置いた。

 それほどの案件かと、テディがスパンダムに視線を戻せば、スパンダムは今までに見た中で最も青い顔でそれを告げた。

 

 

「ショカンが生きてやがった」

 

 

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