頭に乗った重み。
「報告書だ。てか、マジでカクまで寄越したのかよ」
随分と機嫌の悪いジャブラが、舌打ち混じりに誰もいなくなった執務室を見渡す。
数日前、カリファから入った情報から、アイスバーグが確実に設計図を持っていることがわかった。
同時に、当時、アイスバーグと身内のような関係であったカティ・フラムが生きており、フランキーとしてW7で解体屋をしていると。
「じゃあ、そっちが持ってるかもしれねぇってことか?」
「可能性は捨てきれないが、低い。フランキー一家は、それこそ傍若無人。正直、昔の好で見逃されてる部分が大きいだそうだ。そっちにはブルーノが探りをいれてる」
「だったら、なんでカクまで送ったんだよ」
「……なんでそこまで気にする? 必要だと判断したから意外になにもないだろ」
「――はぁ……CP9を3人も送る案件か? 情報集めなんざ他のCPでもできるだろ。現に、他の奴らも何人か入ってるんだろ?」
ジャブラの言うとおり、W7にはCPが数人張り込んでいる。
だが、ガレーラには潜り込んでいない。
「確実にアイスバーグが設計図を持っているなら、身近に潜入させるのは必要なことだ」
「んなことはわかってる」
「………………」
「なんだよ」
なんとも言えない表情になるテディに、ジャブラが目を細めると、少しだけ視線を落とし、逸らした。
「またルッチに実力不足で排除されると困る」
納得してしまった。
むしろ、頭を抱えてしまった。
「カクならその辺大丈夫」
「だったら、これ以上の増員が必要な時は俺ってか?」
「ジャブラは歳的に厳し――」
「うるせぇ」
報告書で叩かれた。
「チャパパ。ジャブラ、心配してるなら、はっきりしてる言った方がいい。だから逃げられるんだ」
「お前いつからいた!?」
「最初から」
チャパパパパと笑うフクロウは、音も無く壁から降りてくると、テディの持っていた紙束を指さす。
数分前にテディが受け取った報告書だ。
「長官に報告してくる。ふたりはしばらく待機。ジャブラは、心の傷を癒してていいよ?」
「チャパパ……ひとりにしてやるぞ」
「変な気遣いするな!! 気持ち悪い!」
言い争うふたりの声を聞きながら廊下に出る。
誰かの騒ぎ声が聞こえるのは、ずいぶん久しぶりだ。カクがいた時も、別に騒がしかったわけではないが、会話がないわけでもない。
テディは少しだけ表情を緩めながら、長官の部屋に向かえば、叫び声。
「……」
少しだけ聞き耳を立てれば、その叫びは焦りと恐怖といった感情。
また緊急の案件で、難しい案件かと、ジャブラたちも休めないなと、表情を戻しながら、ノックした。
「ちょうどいい所に来た! テディ!」
「はい。ジャブラとフクロウからの報告書です」
焦っているのか、椅子から立ち上がるスパンダムに、いつものように報告書を差し出せば、スパンダムは一瞬固まるが、乱雑にそれを受け取ると、机に投げ置いた。
それほどの案件かと、テディがスパンダムに視線を戻せば、スパンダムは今までに見た中で最も青い顔でそれを告げた。
「ショカンが生きてやがった」