テディベアの傍らに   作:こっここーまん

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5話 理由

「センゴクさん」

 

 気怠げなクザンの声に、書類から目を離さず耳だけ傾ければ、クザンもそのまま言葉を繋げた。

 

「俺の次の副官、テディちゃんにするって言ったらどうします?」

「CPが見つけられてすらいないヤツをどうやって副官にする気だ」

 

 だが、どこか確信に満ちているような言葉に、一度目を上げれば、手を頭にやっている。

 

「そうなんすよねぇ……」

 

 完全に考えなし、という訳ではなさそうだ。

 

「仮に見つけられたとして、断られるのがオチだろ」

「……100回くらい殴られたらなんとかなんねぇっすかね?」

「テディに100回殴られる気か?」

「……………………さすがに死ぬな」

 

 想像して体を震わせるクザンに、センゴクも呆れたように書類に目を落とした。

 

「でも、おかしいと思いません? 海賊になったってんならわかりますけど、そうじゃねぇのに組織抜けるなら命を賭けろだなんて」

 

 海軍ならば退役して、普通に暮らすことだってできる。もちろん、海賊となれば話は別だが。

 だが、CPは別だ。組織のために、生涯を捧げ、組織を抜けることが裏切り行為であり、暗殺理由となりえる。

 

「で、テディを殺させないために副官したいってのはわかったが、どうしてそこまでする?」

「そこは惚れたとかで、なんとかならないっすか?」

「もっとまともな理由考えてこい」

「え゛ー……」

「テメェ、歳考えろ!」

 

 ふざけた理由以上に、歳が違いすぎる。

 

「愛に年齢は関係ないっていうじゃないっすか」

「親子ぐらい離れてんじゃねぇか!」

「そこまで離れてないでしょ!? つーか、テディちゃん何歳だっけ……!?」

 

 確かに10歳以上は離れていた気がするが、親子まではいかないはずだ。

 クザンとセンゴクが思い出していると、ちょうど部屋に入ってきたつる。

 

「ちょうどよかった! おつるさん! テディちゃんの歳覚えてないっすか?」

「覚えてないよ。なんだい……藪から棒に」

「俺の副官にする理由で、惚れたで行こうと思って」

「却下だね。歳考えな」

 

 バッサリと切り捨てられたクザンは、肩を落とした。

 書類処理も終わり、部屋を出ようとすれば、後ろからかけられる声。

 

「テディを副官にするって意味、わかってるんだろうな?」

 

 重い、重い一言。

 

「もちろん」

 

 わからずに発する言葉ではない。

 冗談でも言えるはずのない。

 世界政府諜報機関、CP9の構成員であり、リーダー格でもあった名を。

 裏切り者として世界政府から狙われる、その名を。

 

「だから言ってんじゃないっすか。惚れたって」

 

 あの少女に向けた優しげな表情。

 政府の人形であったCP9の時には、触れることすら不可能だった、テディの感情。

 

「それを守ってやるのが大人ってもんでしょ」

 

 クザンはひとり、そう呟いた。




おそらくおつるさんはテディの年齢覚えてる。

ようやくテディが元CP9ってはっきり出せました…
時代としては、原作の2、3年前くらいです。
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