テディベアの傍らに   作:こっここーまん

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6話 黒いでんでん虫

 テディと会ってからすでに数日。クザンの家から外に出ることも増え、マリンフォードに住む人たちともそれなりに顔見知りになってきた。クザンの隠し子といったおかしな噂は流れているものの、クザンも特に訂正しないため、噂が噂を呼んでいた。

 

「ん……」

 

 小高くなった塀によじ登れば、海軍本部が見えた。

 ガープにヒマなら遊びに来いと言われ、同じくらいの子供と都合が合わない時には遊びに行っていたが、今日はどうしようかと悩んでいれば、

 

「おぉ~い。そんなところに登っちゃ危ないよぉ?」

 

 下から声をかけられ振り返れば、帽子をかぶった海兵。正義の羽織りをかけているから、それなりに偉い人。

 身長が高いため、そのまま脇を抱えられて下ろされてしまう。

 

「危ないことはほどほどにするんだよぉ」

 

 あれくらいで落ちはしないが、素直に頷いておけば、海兵からでんでん虫の音。

 海兵にも聞こえたのか、腕につけられた黒いでんでん虫に声をかけている。だが、音はポケットから聞こえていた。

 

「あれぇ? おかしいなぁ……」

「そっち、盗聴……こっち! ポケット、鳴ってます!」

「おぉ~こっちか。ありがとうねぇ」

 

 ようやく気がついたのか、海兵はポケットからでんでん虫を取り出すと、ようやく会話が進んだようだ。

 内容は、戻ってきて欲しいという内容。

 

「急ぎじゃないんなら、ゆっくり歩いて帰るよ」

『まぁ、光の速度で帰ってこなくても大丈夫です……』

 

 乾いた笑いと共に切れたでんでん虫をしまうと、海兵は一度ユイに手を振ると、去っていった。

 

「うわっすげぇ……黄猿じゃん!」

「黄猿?」

 

 近所に住む同じくらいの少年だ。

 

「海軍大将のひとりだよ」

「え……あの人、大将なの?」

 

 海軍の最高戦力である大将のひとり。ユイも噂では聞いたことがある。常に3人が大将の座にいるが、今は2人しかおらず、最後のひとりを選出している最中だという。

 まさか、そんなすごい人物だとは思わず、ユイもなんとなく背中をずっと追ってしまった。

 

***

 

「おかえりなさい。ボルサリーノさん」

「ただいま~またでんでん虫、間違えちゃったよ」

「でしょうね……」

 

 もはや、でんでん虫にすぐに出るとは思っていない。

 

「でも、今日は優しい子がいてね。すぐに、ポケットから音が鳴ってるって教えてくれたんだよ」

「それで、今日は少し早かったわけだ……というか、いい加減、黒でんでん虫は盗聴用って覚えてください!」

「ごめんごめん」

 

 ボルサリーノは臨時に舞い込んできた書類を手に取ると、首をかしげた。

 

「そういや、あの子、盗聴用って言ってたような……」

 

 何故、あのような小さな子供が盗聴用でんでん虫など知っていたのか。

 少し疑問には思ったものの、ここに住んでいるということは、親は海兵だろう。なら、教えていたのかもしれないと、書類に意識を戻したのだった。

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