「どうやら床にセンサーが仕掛けてあるようだな」
と熊田という男が言う。敷井ら七人は罠に
「床だよ。踏むと感じるんだ。名札を持った人間は黙って通してくれるんだろうが、そうでない者には銃を向ける。警告に従わなけりゃダダダダダ」
ビームマシンガンの餌食と言うわけだ。
「厄介だな。工兵隊でも連れて来れたら、どうにでも潰しようがあると思うが……」
と流山が言う。続いて尾有が、
「名札を持ってりゃ通れるのか?」
「と思うよ」
「じゃあ、まず宇都宮さんが向こうへ行って、名札をこっちに投げるのはどうだ。そうやってひとりずつ向こうへ行く」
「そんなのがうまく行くのか?」
全員で広間を見渡して、誰からともなく首を振った。
「無理だ。そんなのできっこない」「機械を騙せるものかどうかわからんだろう」「だいたい名札なんてもの、そううまく飛ばせないよ。途中で床に落ちて終わりだ」
それで尾有もため息をついた。「試す価値もなさそうだな」
「だが行かないわけにもいかんぞ」足立が言った。「このトラップの本当の役目は、たぶん時間稼ぎじゃないか。あの機銃は侵入者をちょっと足止めするためのもんだよ。おれ達が進めずまごついてるうちに、向こうから銃を持った護りの兵がドッとやってくるわけだ。そうなったらそれこそ進みようがない」
敷井は言った。「つまり、あの銃は威嚇用?」
「そんなとこじゃないかと思うね」
――と、そこで大平が言う。「じゃあ、どうだ。今この七人が全員であれ目がけて一斉に撃てば、ひょっとしたら殺れるかもしれんが……」
今は宇都宮も銃剣付きのビーム・カービンを手にしている。死んだ兵が持っていたのを拾い取ってきたものだ。
広間の向こうにあるビームガン。天井のどこから降りてくるのかもわかっているわけだから、この七人で一斉に部屋に飛び込み、広がりながらそこをめがけて撃てばいい。ひとりかふたりこちらも殺られるかもしれないが、この罠をとにかく潰せはするのじゃないか――敷井は思った。思ったが、
熊田が言う。「ああ。けどそのときには間違いなく、中で警報が鳴るだろうな。〈
「うん」と大平は頷いて言い、「この罠の本当の狙いはむしろそれなんだろう。でも逆に言うと、ここをうまく通り抜ければ、侵入を気づかれないことになるんじゃないか?」
「そりゃそうかもしれないけど、どうやって……」
「床を踏まなきゃいいんだろう」
「はっ」と熊田は言った。「だからどうやるって言うんだ。空を飛んでいこうってのか?」