「上方ニ熱源反応。大型船ノえんじん熱ト思ワレマスガ……」
森に代わってレーダー手席に着いたアナライザーが、赤外線探査装置が捉えた像を見て言った。しかし、
「ヨクワカリマセン。みさいるノ爆発ニ乱サレテシマッテ……」
「ふむ」
と沖田が言った。その間にも艦内はロデオのように揺られている。艦橋内も霜に覆われ、窓も霜で白く曇ってしまっていた。まるで地球の雷の日の夜のように、窓がパッと明るくなったかと思うとしばらくしてガーンと振動がやってくる。
沖田は自分のコンソールのパネルを見て、「出してきたな。これはおそらく戦艦だ」
「はい」言って新見が機器を操り、情報を素早く分析に掛ける。「数は三隻――おそらく、いま氷の上をまわり動いているのでしょう。三枚羽根のプロペラのように……」
「そうだろうな」沖田は言った。「〈ヤマト〉が海を出たところを、その三隻で集中砲火か。しかし、それだけではない。もうひとつ……」
*
「そうだ」とシュルツが言った。「〈ヤマト〉が海から出てきたときを狙って三方から砲撃をかける。いかに〈ヤマト〉が格上だろうと、これにはたまったものではあるまい。だが、まだそれだけではない。もうひとつ……」
「は? と申されますと?」
「何。決まっておるだろう。〈反射衛星砲〉だよ」
シュルツは言って、スクリーンに今の状況を図に出させた。〈ヤマト〉を待ち受けまわり動く三隻の船。その上、はるか高くのところにもうひとつの指標がある。言うまでもなくビームの反射衛星だ。
「これをやつが出てくるだろう真上の宇宙空間に置き、垂直にも狙い撃ってやるのだ。今度は手加減なしでな」
「出力を上げて撃つのですか」
「そうだ。今度は首振りで
ドーン!と〈カガミ〉のビームにより、〈ヤマト〉艦橋を上からひと突きと言うプランの説明が、アニメーションでスクリーンに映し出される。
「〈カガミ〉を真上に置くのには、もうひとつの理由がある」シュルツは言った。「やつのあの中型の砲だ。〈副砲〉とでも言うのだろうか。
「あれですな」ガンツが言った。「〈ヤマト〉を撃つたび、あの砲で〈カガミ〉を殺られてしまいました。おかげでもうあといくつも残っていません」
「それだ。しかしよく見ろ、あの砲身を。何をどう見ても真上は向かん」
「ええまあ」
とガンツ。〈ヤマト〉の主砲副砲は、どう見てもその砲身を高く上げられるように造られていない。ビーム反射衛星をだから〈ヤマト〉の真上に置けば、あの中型砲塔にもう撃たれずに済むはずだ。他の小型の砲台では宇宙に届かぬだろうから、〈カガミ〉を殺られる心配を今度はしなくていいことになる。
「しかし……」とガンツは続けて言った。「なんなのでしょうな、あれは。どうしてあんな設計なのか……あの船を造ったやつは何を考えていたのでしょうか」
「わからんな、宇宙人のやることは」
「とにかく、今度という今度は……」
「そうだ。変な設計をしたのを後悔させてやる」シュルツは言って、ニヤリと笑った。「さて、どうするかな、〈ヤマト〉め。こちらの考えが読めんこともないはずだが……」