縮めて見れば
水金地火木土天海……そして冥王星。すもももももももものうちなら、冥王星も惑星だ。しかしこれらの星々は、決して等間隔に並んでいるわけではない。
ここで宇宙のスケールを七百万分の一にしてみよう。するとほぼ、太陽系を地球の日本国土の上に重ねて見ることができる。太陽を七百万分の一にすると直径200メートルの玉。これを東京中心の皇居の上に置いてやるのだ。すると水星は直径70センチの玉となって半径8キロの円を描いて回ることになる。これは都心の十区ばかりをグルリと囲むといったところか。
で、次に金星だが、これは直径170センチの玉が水星の倍の16キロを皇居から離れて回る勘定になる。ちょうど東京二十四区がすっぽり入るほどの円だ。
そして人類の星、地球。直径2メートルのかつて青かった玉コロが半径20キロの円を回る。埼玉のさいたま市と神奈川の川崎を南北に囲むくらいの円だ。つまり首都圏というところか。
次が火星で、1メートルの球が30キロ離れて回る計算――都心勤めの人間にとって、通勤圏とされるほどの円だろう。
そしてここからが遠くなる。木星は太陽から110キロ離れる計算。茨城の水戸、栃木の宇都宮、群馬の前橋、山梨の甲府と、各県の中心都市の上空を直径20メートルの球がグルリと渡っていくと考えてさほど大きなズレはない。
土星はさらにさらに遠い。軌道は半径200キロだ。福島、新潟、長野、静岡のそれぞれ真ん中を貫いていくほどの円。
天王星はそのまた倍の400キロ。岩手・秋田と宮城・山形の県境から、日本海をグーッと回って京都や大阪の辺りに行く。で、それからまた海に出て太平洋を回る感じだ。
海王星は700キロ。ちょうど津軽海峡の上をゆくくらいの計算で、島根・広島と四国の真ん中を抜けてまた海の上に出る。
番ごとにほぼ倍々と遠のいていくわけである。おわかりだろう。つまり地球を千葉県
地球と火星の間などは早ければ一日、火星が遠くにあるときでも四日で渡ってしまう今の宇宙技術をしても、冥王星までは遠い。普通の船で二ヶ月ほどかかるのだ。距離が六十倍なのだから当然だ。イスカンダルへ行かねばならぬ〈ヤマト〉が遅い艦隊を連れて基地を叩きに行ける道理があるわけがなかった。
波動エンジンを持つ〈ヤマト〉でも冥王星はまともに進んで一ヶ月だが、しかしそんなもの相手にせずに外宇宙にサッサと出て行くことはできる。〈ヤマト〉にはその力が備わっている。〈ワープ〉と呼ばれる超光速航行法だ。イスカンダルへ急ぐのならば、太陽系でグズグズせずにすぐにもそれを使うべきかもしれないのだが――。