『〈アルファー・ワン〉、聞こえるか? 通信制限を解除する。ユニフォーム、インディア、ヴィクター』
通信機に相原の声が入ってきた。最後に何やら付け足したのは、これが敵によるニセの通信でないのを確認するための符合だ。作戦前に、『今日は制限解除するとき「
これは毎回アトランダムに変えるので敵が知ることはできないはずで、ちゃんと暗誦できたなら『間違いなく〈ヤマト〉からの通信だ』と考えていいと言うわけだ。
古代はマイクのスイッチを入れた。「制限解除了解。ウイスキー、タンゴ、デルタ」
『確認した。現在の位置座標及び残存機数を知らせよ』
教えてやった。すぐ返信が返ってくる。
『今から送るデータが示すエリアに全機で向かってくれ。そこに〈魔女〉が居るとみられる』
ディスプレイに地図とそこへ行くために取るべき方位が表示された。古代がいま向かう空域の少し先に、リンゴをひとくち齧ったような
『〈魔女〉の居場所を、ほぼ
と相原の声。示されたのは、二百掛ける百キロほどの歪んだ四角形。なるほど日本の四国とほぼ同じと考えて良さそうだ。
古代達は北海道から沖縄まで飛ぶのと同じほどの範囲を探す覚悟でここまで来た。それが大きく手間が
これは――と古代は思った。これならいける。〈ゼロ〉と〈タイガー〉ならば充分――。
『後は君達で見つけてこれを殲滅してくれ。なお、戦闘機による迎撃が予想される。言える言葉はひとつだ。勝て』
「了解!」と古代は応えた。
*
「敵戦闘機隊がまた進路を変えました。砲台のある方角です」
冥王星ガミラス基地でレーダーのオペレーターが告げる。シュルツはフンと鼻を鳴らした。
「気づいたな。〈第二の死角〉に」
「この動きはそう取るしかないでしょう」ガンツが言った。「おそらく、まだ死角に死角を重ねただけ。〈反射衛星砲台〉の位置を〈点〉で突き止めたわけではないでしょうが」
「無論だ。しかし同じことだ。こいつらに砲を叩かせはせん。その前に全機叩き墜としてやるのみ」
「では、こちらも戦闘機を……」
「そうだ。バラノドン隊、全機発進させろ」シュルツは言った。「今このときのために残った者達だ。必ず、体当たりしてでも、地球のやつらを途中で止めてくれるだろう」