「線?」
と古代は言った。レーダーマップに表示された湾曲した一本の〈線〉。通信で〈ヤマト〉が送ってきたものだ。相原の声が、その〈線〉に沿って飛べと告げてくる。
古代は言った。「この上に〈魔女〉が居ると言うんだな?」
『そうだ! 計算でそこまで出した! だが〈点〉まではわからない。後は君らに見つけてもらうしかない。その線上を飛んでくれ!』
「了解……」
と、脳酸欠を起こしかけている頭で応え、それから操縦桿を戻してレーダーマップを見直してみた。点ではわからぬが線ではわかる。後はおれ達がこの線を飛べ?
地図に引かれている〈線〉は長さ百キロばかりらしい。さっきまでは二百掛ける百キロの四国程度の範囲を皆で捜索する話であったのが、今ではもうその高速道路のような〈線〉の上さえ飛べばいいと言うこと。計算では〈魔女〉はそのどこかにいる――。
いける、と思った。ここまで特定できたのならば、もうこんなS字ループを描き続ける必要はない。おれひとりがこの〈道〉の上を飛べばいいだけだ。無論、敵はすぐさまおれを狙ってくるに違いないが、それも望むところと言うもの。
タイガー乗り達や山本は、百戦錬磨の
「よし」と言った。「わかった。行くぞ、みんな!」
『おうっ!』全機が声を返してくる。
「ありがとう、〈ヤマト〉!」
『幸運を』
相原が言った。古代は〈ゼロ〉をそれまでと逆方向にターンさせてループを抜けた。上向きのGが掛かって血が頭に送られて、視力が戻ってくるのを感じる。
そうだ、ありがとう、〈ヤマト〉! この計算をしてくれたやつよ! おれは必ず、君が見つけた道を突き抜けてやるぞ! 古代は思った。必ず、〈魔女〉を討ってみせる!
古代は〈ゼロ〉を反転させて〈線〉への進路を取った。
*
「〈面〉のものが〈線〉になるなら後はその上を行くだけでいい。敵がそのどこかにいるなら、ただまっすぐ前を見て進むだけ……」
〈ヤマト〉第一艦橋で真田が言った。眼はメインスクリーンの、南部が算出した地図上の〈線〉を見上げている。
遂にやった――そう思った。この〈線〉が出せたのならば上出来だろう。〈面〉どころか、最初は冥王星と言う大きな球体のどこに〈魔女〉が居るのか見当もつかなかったのだ。
けれどもやった。おれはやったぞ、古代守よ。おれは〈ジャヤの
そうだ。行け、古代進。〈魔女〉に勝ってこの〈ヤマト〉に帰ってきてくれ。お前にはまだやることがあるはずだ。兄に代わって〈でっかい海苔巻〉を見る務めが……。
そしておれも、〈イスカンダル〉でサーシャがおれに見せる気だったすべての答を見ねばならない。そのためにもお前の力がきっとまだ必要なのだ。
だから行け、古代、と真田は思った。横で南部がペンを握って祈るようにつぶやいていた。
「頼む、頼む、頼む、頼むぞ……後は、君達が頼りだ!」