強者の責務
22世紀末の地球で、日本は経済力において他国を大きく引き離す最強国となっていた。それは日本の不幸でもあった。経済の強さは軍事力の強さとなり、ガミラスとの戦いにおいて常に先頭に立たねばならないことを意味したからである。
そうなった最大の要因は、この世紀の中頃に日本が生んだ画期的な地熱発電システムにある。石油も石炭もウランも
これによって日本はかつての食糧自給ができない国ではなくなった。逆に世界を飢餓から救い、国の力を強くして、地球のリーダー国家としての地位を確固にしていったのだ。
そしてまた、これがガミラスとの戦争で人類に延命の機会を与えることになった。地下に農場や牧場を造る技術は、地下深くに街を造って放射能を逃れるための役に立つ。水が刻々と汚染されていくのはどうにもならなかったが、日本の技術で人類は即時の滅亡を免れたのだ。
結果、〈ヤマト計画〉も、国連主導の
そ、それは、確かに、まあ、なんと言うか、ええと、あの、その、おっしゃる通りと申しますか、実にもっともな疑問であります。ハイ、まったくそのような疑問を持つのが当然のことでありまして、そのう……イヤハヤ、大変に心苦しい限りではございますが、それについてはどうかひとつ胸にお収めになられまして、心の広い皆々様のお許しとご理解を願う所存でございますです。とにかく全員日本人と決まったものは決まったのだ。
リーダーとして地球人類を救う責務を負わされてしまった日本。そして重過ぎるその使命をただ一隻で背負わされてしまった〈ヤマト〉。クルーひとりひとりの肩にそれは重くのしかかる。
ことになったわけではあるが……。