今回はコメディー要素たっぷりの内容となっております。若干、酔った勢いで書いてる部分もあるのでまた日を改めて訂正もするつもりです。
ですが、ひとまず待たせる訳にもいかないのでお先にどうぞ!
評価、感想など気軽にお待ちしております。
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ありがとうございます!これからも是非よろしくです!
◇◇◇
蔵。地下部屋。
「
俺はそう聞き返す。
確かに沙綾の事をさーちゃんと呼ぶのは渾名の類いに入るだろうが何もそこまで対抗しなくても。
だが、香澄の事だ。邪心は一切なく単純に俺と沙綾の関係が羨ましく思っただけかもしれない。
「うん!そうしたら、蒼真君………じゃない!蒼君と仲良くなれると思うから!」
「香澄、さっきから間違えそうになってばっかだな」
「それは今まで私が蒼真君を蒼真君だと思っていたからだよ?有咲!」
「意味わかんねぇよ!」
おっと鋭い突っ込み。
お手の物とばかりの歴戦並なやり取りを目撃してしまった俺は感嘆の拍手を送る。
「………な、なに………気持ち悪………」
どんどん彼女に距離を取られる俺。
彼女からの信用を勝ち取るのはまだまだ先の話のようだ。
「そういうことで蒼君には私達に渾名で呼んで欲しい!」
「か、香澄ちゃん、流石にいきなりお願いするのは迷惑じゃないかな―――」
「構わんけど」
「え?」
「あ、良いんだ」
りみちゃんがびっくりしてる。
こちらとしても、渾名を通して彼女たちと仲良くなれたら嬉しいのでむしろ大歓迎。
「さて。早速、渾名を付けるとしてまずは………」
誰にしようかな。
各々の様子を窺うように俺は視線を移していく。香澄は私を選べと言わんばかりのキラキラ瞳。うん、スルーやな。
途中に見えた沙綾の不機嫌そうな態度が気になる。とは言え、ここでそれに触れるほど俺の度胸は残念ながら不搭載。
視線はやがて一人の少女に定まる。
「たえちゃんかな~」
「私が初めてだね」
「うん、さっきから怖い発言ばっかやな」
故意か、無意識か。
たえの発言には正直、俺の警戒心が最大まで跳ね上がっている。
「渾名は………おたえ、で良くね?」
「それだと、あんまり新鮮な感じがしない」
「お前は渾名に何を求めてんの?」
「でも仕方ないから、おたえ、で良いよ♪」
「そりゃどうも………」
もう突っ込む気力もないわ。次だ、次。
続けざまに俺の視線はベースを抱えているりみへと移行する。
「牛込さんは………りみりん?」
「はわゎ………!!」
「えぇ!!私が考えたのに!!」
何故か香澄から反論が返ってきた。
肝心の本人は俺、というよりかは男に名前を呼ばれた事に戸惑いを覚えているみたいな反応をした。
「あっ!!私は別に………良いかな?」
「りみりん?」
「山吹さん―――あ、沙綾ちゃんと一緒………」
「俺のことは名前でも渾名でもお好きに」
「あ、ありがとうございます。ソウ………さんは沙綾ちゃんの従兄で会うまでは怖かったですけど、実際に会ってみてば、思ってた通り、沙綾ちゃんと同じ優しい人で………それに私もここ臆病な性格を直したいのもあって………」
「その最初の切っ掛けとして、ソウ君には渾名で呼ばれても良いってこと?」
「………うん」
沙綾の問いにりみは小さく頷く。
彼女の喋っている間、メンバーは黙って耳を傾けていた。いつも奥手な彼女にとって、これは勇気を持っての発言なのだろう。
とまぁ、隣にいた香澄は心打たれたらしく、唐突に手をピシッと敬礼のごとく上げる。
「蒼君!特別にりみりんをりみりんと呼ぶ許可を授与します!代表、戸山香澄!」
「香澄ちゃん?」
「おぉー表彰式だー」
「あざっす!」
「………有咲の出番だよ?」
「いや、いちいち突っ込んでたら私の精神が持たないから」
そこの二人が止めとけオーラを出してる。気にしないのが一番。
俺はギラリと視線を香澄に向ける。
「次は……君だ」
「わ、私!?………なんだとっ!!」
「もう何も言わないからな」
ちょっとした芝居も突っ込みが不在。
というより香澄ちゃんは見た目通りにノリが良い。こういうショートコントもちゃんとやってくれる。
「て言ってもなぁ………皆から呼ばれてるのってあんの?」
「香澄は香澄だね」
「えぇー」
「かすみん?」
「おたえ、それ完全にりみりん」
「そう言えば、香澄ちゃんを渾名で呼ぶ人、私見たことないかも………」
「ぶーぶー!!」
香澄による一人ブーイングが発動。
ある意味、これは重大責任になってしまったぞ、と俺は何となく感じている。
「よし、発表行くぞい」
「わくわく」
「かーちゃん」
「母親じゃねぇか!!」
「有咲?」
「はっ!!………つい」
「沙綾ちゃんタイプかな?」
「うーん、駄目!!」
ぶっぶー、と香澄は両腕でバッテン印を作る。
「駄目か………なら、かーくん」
「かーくん………あっ!!はぐにそう呼ばれてるよ!!」
「誰だ?」
「はぐみのこと。ほら、商店街にある北沢精肉店の娘」
「あぁ~、あの子か」
沙綾に説明されて納得する俺。
香澄とはぐみ。完全にボケがツッコミの容量をオーバーしてしまう異次元な組み合わせである。
「なら、かーくん、で決定やね」
「ありがとうございます!!蒼君!!」
順調に決定していく渾名。
沙綾は既に決まってるとして、最後まで残ってしまったのは有咲だ。
「ついに来たか………」
「蒼君、どのように致しましょうか」
「ふふふ………動かないでね、有咲」
「あ、あ、有咲ちゃん!!」
「何するつもりだ!?やめろぉ!!」
楽しそうだね、君達。
もはや有咲は香澄とたえの玩具にされている状況を俺は第三者視点で見ていた。
とっとと本題に入ろう。
「んじゃ、行くよ………ありちゃん」
「虫じゃねぇ!!」
「ありやん」
「さっきより酷い!!」
「あーちゃん」
「あ、私の妹だ」
「有咲X」
「秘密結社!!」
「ア、リーサ」
「外国人風に言ってるだけ!!」
「何を言っても無駄だ!!」
無駄なのはこのハイテンションぶりである。
「有咲だけソウ君から名前呼びになるけどいいの?」
「そ、それは………」
沙綾の問いに有咲の返答が詰まる。
「あぁ見えて有咲って実は寂しがりなんだよ」
「へぇ~………」
沙綾の耳打ちに俺は感嘆を漏らす。
有咲は自分だけが仲間外れ、そんな感覚を覚えてしまったのだろうか。彼女の内面では寂しがり屋な節があるということ。
仲間のちょっとした部分も沙綾は昔から見抜くのが得意であったことを俺は思い出す。
「あ………あーりん、とかは?」
「そ、それなら何とか………」
「なら、それでよろしくやね、あーりん」
「う、うん………」
こうして、どうにか全員の渾名が決まった。
◇◇◇
帰り道。
「随分と今日は賑やかやったな」
蒼真と沙綾は並んで歩く。
有咲の蔵から二人の家までは途中まで一緒。二人揃って帰らない理由もないので、雑談と共に二人は歩いていく。
話題はずっとポピパの話。
「普段からあんな感じだよ?今日はソウ君が居たから香澄とかおたえが特に騒がしかったけど」
「楽しそうで何より」
「うん………そうだね」
バンドをやる上で互いの関係が気不味いと演奏にもそれが影響される。言わずとも、悪い方向で。
ポピパがライブで魅せるあのパワフルさも普段から彼女達が楽しい関係を育んでいる積み重ねの結果で成就しているのだ。
「そう言えば」
沙綾がそう切り出した。
「このソウ君って呼び方、他の皆も呼んでるの?」
「他の皆の定義によって変わるんやけど………そやね。基本的にバンドではソウで通してるから自然と」
「へぇー」
嫌みのあるため息。
「私だけかと思ってたのに………」
「ん?」
「ううん、気にしないで。それよりもさ、これからソウ君じゃなくて、どう呼ぼっか?」
「………さーちゃん、なんで俺の呼び方を変えようとしてんだ?」
「え?」
「今では結構な頻度でソウって渾名で呼ばれるけど、さーちゃんが切っ掛けで俺はソウって名乗ることにしたんやから」
「私が切っ掛け?」
沙綾にとって意外な事実が判明した。
よくよく考えてみれば、そういうことになるのは必然である。
「そりゃあね。小さい頃からの付き合いやし、さーちゃんには色々世話になってるよ?」
「あ………へ、へぇ~」
「顔真っ赤やな」
「っ!?そういうことは言わないのが正解!!」
理不尽に怒られた蒼真。でも、彼は無邪気に笑顔を浮かべていた。
ここで、山吹ベーカリーの看板が目に入る。
「な、なら………ソウ君!」
「なんよ、急に改まって」
「何でもな~い。呼んでみただけ」
「はいはい、そですか………ほら、着いたよ」
彼の家はまだ先。ここで今日はお別れ。
「それじゃ、またね、ソウ君」
「あぁまたね、さーちゃん」
手を振りながら蒼真は去っていく。
そんな彼の背中を見つめながら、沙綾は考えていた。
―――変わらない関係………。
幼い頃から随分と大人びた二人。それでもなお昔から続くこの渾名で呼び会う秘密の関係は誰のものでもない、自分と彼だけのもの。
「ふふ」
ふと零れた笑み。
端から見ればデレデレの沙綾。当の本人がそれに気付くことは今後を通してなかった。
………因みに沙綾の妹や弟には目撃されたらしい。
山吹沙綾編-2-『強制連行』終
*ようやくポピパの星四、全員が揃いました!
《なんとなくしたい補足シリーズ》
・渾名決めの結果
香澄←かーくん
たえ←おたえ
りみ←りみりん
有咲←あーりん
沙綾←さーちゃん
特に渾名に深い意味はないです。
・りみりん
→お誕生日おめでとうございます!
裏設定で蒼真とは同じ関西弁を話せるとあって無意識に親近感が湧いている。
・デレデレ沙綾
→シンプルに見てみたい
・予告編-3-
→宇田川あこ編を追加しました。時間があれば、ぜひ。