友A「これ、みてくれ」
自分「え?これ、Roseliaのバンドスコアやん。買ったん?」
友A「そう。いいやろ?」
自分「見てもいいか?」
友A「ほら。それでさ、何かやろうぜ」
自分「良いね。何やんの?」
友A「"Scarlet Sky"」
(Roselia関係ないんかい!!)
沙綾編もいよいよ後半戦突入。まだまだ頑張っていきますよ。
評価、感想、大歓迎。お待ちしております。
◇◇◇
山吹ベーカリー。
「おっーす」
気だるそう声と凛とした鈴の音。
店の扉を抜けた俺は店内を一望した後、パンを選ぶために近くへと歩み寄る。相変わらず食欲を刺激する良い匂いが俺の嗅覚をガンガン襲ってくる。
―――ん?
俺は何らかの違和感を感じ、頭をあげた。
特に店内に可笑しな様子はないし、朝のピークを過ぎたので人の気配もない。パンの数もあと少し、と言った所だ。
気のせいか、と俺はまたパン選びへと意識を向けることにする。
「あっ、来てたんだ」
「ん?さーちゃんか。おはよ」
「おはよー、ソウ君」
店の奥から顔を出した幼馴染。
俺は彼女の姿を一瞥すると直ぐに視線をパンへと移す。
と、ここで先程の正体が判明した。
―――あ、店に入った時に誰も居なかったのが違和感の原因か。
さて、気掛かりもさっぱり消滅したのだ。とっととパンを選んでしまいますか、と俺はトレーにご馳走をどんどん載せていく。
沙綾はというと、レジの操作確認でもしているようだ。
「これ、よろしく」
「―――うん?あ、うん」
レジの隣のスペースにトレーを置く。
沙綾が俺の買うパンを見て、計算を始めてレジに打ち込んでいく。いつもの光景だ。
「合計で………780円だよ」
「………え?」
「え?」
お互いに顔を合わせる。
「880円じゃなくて?」
「ほんと?………あっ………ホントだ。間違えてた」
「さーちゃん、大丈夫かいな?」
俺が冗談めいた風に言う。
「ごめんねー」
沙綾もそれは分かってる為、気さくな謝罪が返ってくる。
支払いの為に財布に手をかけ、小銭を幾つか丁度分になるほどに取り出す。
そして、小銭を渡そうと俺は手を伸ばした。ここで俺の視線はある一点に留まることになる。
「さーちゃん」
「んー何?」
「熱あるだろ」
「っ!?」
一瞬、面を喰らった素振りを見せた沙綾。
「な、ないよ?ご覧の通り、元気だけど?」
「嘘つけ。ご覧した結果なんだから。さーちゃん、今日の予定は?」
「よ、予定?えっと………午後からバンドの練習が………」
「休め。俺が連絡しとくから」
「ソウ君?さっきから言ってるけど、私、全然大丈夫だから!」
頑なに沙綾は肯定の意を示さない。
こうなれば最終手段を取らざるを得ないと判断した俺は顔を彼女の近くに寄せていく。
「ソ、ソウ君………!?」
俺が近寄ると、仰け反る沙綾。頬も徐々に赤らめていく。
キリがない。俺は右手を彼女の頭後ろへと回し、その頭を掴む。そして引き寄せる。
―――おでことおでこを合わせるのだ。
「っ!?!?」
俺がこの一連のやり取りで確認したいのは熱の計測ではない。
沙綾のリアクションである。
「やっぱ熱あるな………」
「ど、どういう理屈………」
「知らん?さーちゃん、昔から何かしらの病気で弱ってると全然抵抗しなくなる」
「そんなこと………え?何それ?」
今だってそうだ。
通常時にやれば、沙綾はあっさり避ける。もう何やってんのと蔑んだ視線付きで避けられる。
「ほら、行くぞ」
「ま、待って!!」
沙綾のいる側へと回り、彼女の手を掴んで半強制的に俺は山吹ベーカリーの居住スペースへと連れていく。
よく沙綾の一家とは家族ぐるみでお世話になる。互いの家で軽くパーティーもするぐらい。故に沙綾の家の中はある程度把握済み。
「ほら、部屋行くぞ」
「へ、部屋!?私、片付けしたかな………」
「そんなの知らん。てか、散らかってる時のも見てるし、今更そんなの気にしても遅い」
「っ!?ソウ君のバカっ!!」
「いった!?」
理不尽にお腹を殴られた。
病人のくせに一段と拳に重さがあるとは。女の子とは理解できない生き物だ。
「二人のチビ共はどうした?」
「こんな時間だし、まだ寝てるかな………」
休日とは言え、もう9時だぞ。
………俺も昼までよく寝てるな。
俺の言う二人とは沙綾の妹と弟・沙南と純の事である。
「取り敢えず今日は寝てろ」
「でも、まだ店番が………」
「俺がやっとくから」
沙綾の部屋の扉を開ける。
多少の家具の配置に記憶の誤差は覚えつつも幼少期の頃となんら変わりはない。
「おやっさんは下?」
「下………だと思う………」
沙綾の親父さんにも報告しないと。
偶然にも今日の俺に急ぐ用事はないのだ。とことん付き合わさせて貰う。
未だにぐずってる沙綾をベッドへと放り込み、俺は部屋を出ようとドアノブを掴む。
「さーちゃん、寝間着に着替えてから寝ろよ?」
「それは分かったけど………ホントに大丈夫なの?」
「平気やから。さーちゃんは熱を下げる事だけを考えてろ」
ここまで来て、ようやく観念したのか沙綾は小さく頷きを見せた。やはり、本人にも多少の自覚はあったようだ。
そして、俺は部屋を後にするのであった。
◇◇◇
沙綾の部屋。
「もう………ソウ君。強引なんだから………」
ベッドに足を伸ばして座る私。ぎゅっと毛布の端を握り締める。
混雑する時間を避けて来訪してきたソウ君。そして会計の時に私の顔を見て、一言、熱があると。
足元がふらふらして、思考がぼやける程度だけど、私に自覚症状があるのは認識していた。でも、この程度一日なら乗り切れると見越して、黙っていた。
その筈だったのに、ソウ君に一目で見破られてしまった。
あの時はやけに距離が近かった。なので、彼の顔が最接近した時にはつい別の意味で体温が上がってしまったけども。心拍数も格段と上昇した。
―――着替えないと………。
私服のまま就寝すると皺が出来てしまう。私はタンスからお気に入りのパジャマを取り出して、ベッドに置いておく。
私は服を脱ごうと手で掴み、捲った。
―――その時、部屋の扉が開く。
「きゃっ!?」
「あっ………すまんな」
そして閉まる扉。
部屋に入るのはまだいい。幼い頃から、彼は私の部屋の内装を知ってるから高校生の今でも抵抗は全然ない。
けど、最低のマナーとしてノックぐらいはすべきだ。
「………どうぞ」
私はそそくさと着替えた。
ソウ君は悪びれた様子もなく、普段通りのまま部屋に入ってくる。
「体温計ね、これ」
「あ、ありがと」
体温計を手渡せる。
これを取りに、わざわざソウ君は一階へ行ってきたようだ。申し訳無い気持ちが芽生えてくる。
「というより、ソウ君」
「ん?なんや?」
「………見た?」
私も一応女子なのだ。裸や下着を見られるととても恥ずかしい。さっきも完全に上を脱いではいなかったものの、胸元まで服を掴む手は上がっていた。
肝心のソウ君は頭上にポカンとクエスチョンマークを浮かべるように首を傾げている。
ちょっとイラッと来た。
「んや、変なもんは見てへんよ」
「変なもんって………」
もう少し他の言い方もあるでしょ。
「取り敢えず、熱を測って」
「分かったけど………」
「ん?」
「あっち向いて!」
「へいへい」
羞恥心からつい彼に指図を出してしまう。ソウ君はあっさり私とは反対の方へ視線を向ける。
私は左脇へ体温計を挟んだ。
「あ、おやっさんには言っといたから」
「うん。何か言ってた?」
「娘を頼むって言われたな」
―――お父さん!?それ、どういう意味なの!?
十中八九、看病って意味合いだろうけど娘の結婚相手に告げる台詞でもあるので、本物の娘としての私は複雑な心境でもあった。
―――ソウ君が私の夫………。
「顔、だいぶ赤いぞ?」
「だ、大丈夫だから!!」
「そか?なら、いいんやけど」
「というより!まだ振り向かないで!」
「おっとそれはソーリー」
危ない、危ない。
つい妄想が入ってしまった。幼馴染としてのソウ君が今の私の当たり前。だけど、恋人としての、夫としてのソウ君も満足してそうな自分が心の何処かに潜んでいた。
「おっ、もう分かった?」
「ちょっとうるさい。37.8度だって」
「完全にアウトだな。てか、もう振り向いて良い?」
「待って………良いよ」
布団に隠れた私。体温計をソウ君に渡してすぐにその手を引っ込む。
「んじゃ、何かあったらスマホとかで呼んでな」
「うん」
「遠慮して我慢してたりしたら………ね?」
「わ、分かったから………」
念を押すかようにソウ君は言う。
考えを見抜かれて、一瞬ドキッとしてしまったが彼に気付かれてしまったかどうか不安だ。
「おやすみ、さーちゃん」
ソウ君は部屋を後にした。
一人になり、静寂となった部屋。と思えば、下の階から微かに喧騒が聞こえてくる。
「ふふ………」
きっとソウ君と弟達がやらかしてる。
そんなことを思いながら、頭を枕にそっと乗せた私は天井をじっと見つめる。
―――はぁ………ソウ君………。
私はそっと目を瞑った。
-3の2- へ続く。
*コラボやりてぇー(唐突)。一言くれたら、蒼真君使ってくれても良いですから誰かぁ~。ヒロイン被ってないキャラが特に最高です。
『実は乙女な補足シリーズ』
・「っ!?ソウ君のバカっ!!」by沙綾
→おっと~!蒼真に245084のダメージ!←さて、何の数字でしょうか?
・おやっさん
→沙綾の父親の名前が分からない。親父とおじさんが混ざって訛った結果が"おやっさん"。
・「おっとそれはソーリー」by蒼真
→ソーリー。ひげそーりー。じょりじょりー。
・妄想する沙綾
→恋する乙女なんだよ、きっと。