Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 ポピパ2章見ました。何故か切なくなりました。

 さて、Anfangがまだ届かないのでこっちでは投稿です。評価、感想お待ちしておりまーす。

 唐突ですがコラボって良いですよね~。誰か~居ないですかね~。




-3の2-

 ◇◇◇

 

 山吹ベーカリー。店内。

 

「おっはよー!!」

 

 颯爽と扉を開け、入ってきたのは猫耳の髪型をした少女である。俺、というより全国共通では、おっと嵐が来たぞ、という認識でよろしいかと。

 嵐の目"戸山香澄"はてっきり沙綾が店番してると思っていたらしく、俺と目が合うと動きが一旦停止してしまう。

 

「あれ?ソウ君?」

「ソウ君でっせ」

「さーやは?」

「上で寝てるぞ。熱出てるから静かにな」

「えっ!?」

 

 香澄は芸人並のリアクションを見せる。

 友人想いの人一倍強い彼女は友達が熱で倒れていると聞いてしまうとその場でじっとして居られないタイプだ。

 

 つまり―――こうなる。

 

「さーやぁぁ!!」

「待てやい」

「ぐへぇ」

 

 居住スペースに続く扉へ向かっていく香澄が隣を通る瞬間を見計らって、彼女の服の首元を掴み取る。

 女の子から出ては不味い声がしたが沙綾の安静の為にもお構い無しである。

 

「さっき寝たばかりやから起こす訳にはいかんのや」

「ぶー」

 

 渋々感全開で香澄は引き下がる。

 

「てか、ギターケースまで持って何しに来た?」

「さーやを誘いに!」

「………これは災難やな」

 

 あまりにも行動力が強すぎる友達を持ってしまった沙綾の身の将来を少し不安に思ってしまった。

 と、香澄は俺の言葉を沙綾と遊べない事と解釈したのか、背負っていたギターケースを床へと立てた。

 

「ソウ君、私の自慢のギター見てみる?」

「………まぁ見ては見たいかな」

 

 店内には香澄以外客はいない。朝と昼の境目の時間帯に客足は殆んど無いので、ギターを出しても迷惑にはならないだろう。

 香澄はギターケースのファスナーを一気に下ろした。ちらりと中のギターの赤色がうっすらと見える。

 

「じゃーん!!」

 

 香澄が取り出したギター。それは全身赤色に染められた星形の癖の強い種類であった。

 

 ―――名を"ランダムスター"と言う。

 

「………前にも思ったけど、それ………」

「それ?」

「変態が使うやつ………」

「私、変態じゃないよ!?」

 

 うん、知ってるけども。

 それを使ってるギタリストが揃って変態扱いされる人ばかり、と俺は自分のバンドのギタリストから聞かされていた。

 

「でも、そのギター高かったやろ?」

「有咲に譲って貰った!」

「へぇ~」

「あ、それでね。私がバンド始めようと思ったのもこのランダムスターと出会ったお陰です!というのも―――」

 

 ここから香澄によるポピパ結成までの歩みを存分に語られる事になった。俺は話を遮るタイミングを完全に逃したのでひたすら聞くに徹する。

 香澄の話のお陰でその頃の沙綾の様子もある程度知れて良かったけども、一体香澄は何をしに来たのか。

 

 ―――数分後。

 

「じゃあまたね!ソウ君!」

 

 ポピパの話をすっかり語り尽くした香澄はパンを買ってからあっけらかんと帰っていった。

 俺は視線を横に。ふと思った。

 

 ―――いや、ギターケース置きっぱやん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 夕方頃。

 

「ほい、純。お疲れ」

「あ、ありがと」

 

 俺は店番をしていた純に労いのジュースを渡す。

 昼頃では多少客が混雑してしまい、その接客のせいで純や紗南にも随分と苦労をかけたからそのご褒美として、だ。

 その際に地元のマダムの方々には何かと沙綾との関係を尋ねられたが、正直訳がわからん。

 

「後は俺がやっとくよ。純は晩飯の準備手伝ってこい」

「分かった!」

 

 元気良さげに奥へと駆け出して行った純の後ろ姿に、俺はつい子供との体力の格差を痛感してしまう。

 と、その時であった。

 

 ―――チャリン、と扉の鈴が鳴る。

 

「………あの」

 

 顔を出したのはベース少女。

 というのも、彼女の背中に体格に似合わぬ大きなベースケースを背負っているのが目に入ったからだ。

 

「おっ、いらっしゃい」

「お、お邪魔します………」

 

 その少女はまるで他人の家に入るかのように丁寧に挨拶をして店内へと入ってくる。

 

 ―――"牛込りみ"。ポピパのベース。

 

 そう言えば、前回の時に彼女はこの山吹ベーカリーの常連だったのを俺は思い出す。

 確か、彼女の大好物は―――

 

「チョココロネ、まだあるよ?」

「えっ?ありがとうございます!」

「うん、どうも」

 

 何故かお礼を言われた。

 りみりんも自分の行動に疑問を持ったらしく、これじゃないと首を横に振りまくり始める。

 

「あ、あのっ!沙綾ちゃんは………」

「さーちゃん?んー今は寝てんのかな?もう大分落ち着いてきたから明日には大丈夫やと思うよ」

 

 お見舞いに来てくれたようだ。

 あまりにも良い子過ぎて、健気に守りたくなってくる。

 

「そ、そうなんですか………」

「ん?」

 

 何かが引っ掛かった。

 

「あっ、私………関西出身なんです」

「マジで?」

「はい。普段は出ないようにしてるんですけど………油断したりしてると出ちゃうみたいで………」

「ならさ、俺の言い回しもある程度理解出来んの?」

「えぇっと………はい」

「おぉ~」

 

 ちょっと感激した。

 周りに関西人がいない俺は時折、意味が分からない言い回しをしてしまう事がある。なのだが、俺は特に意識せず話すために相手に指摘されるまでそれが分からないのだ。

 りみりんが関西出身だと知った今、勝手ながら彼女に親近感を覚えてしまった。

 

「ソウさん、ずっとその………関西弁で話してるんですか?」

「そやねー。もう癖やから、治せない」

「凄いですね………」

 

 りみりんはりみりんで訳有りのようだ。

 

「私………仲間外れになりたくないばっかりに関西弁は目立つから標準語で話すようになったんです。ソウさんは周りの目を気にせずに自分の進む道を突き進んでいて………」

「確かに最初は学校で関西弁使うと避けられる感じもしたな」

「そうなんですか?」

「珍獣………とまでは行かないけど、やっぱり珍しいらしくて。逆に怖いイメージが付くこともあったね」

「怖い?」

「大阪出身の人とかは特に喋り方が攻撃的に聞こえちゃうから。テレビとかでそんなイメージが付いちゃったんやろうな」

 

 まだ世間知らずの子供。

 自分の知らない未知の存在には恐れ、拒絶したい気持ちが一概にあったとは理解できなくもない。

 でも、これでも個性の一つだ。俺が選んだのは止めないと言う選択であった。

 

「まぁでもそのせいで友達は良い奴ばっか集まったな。今のバンドもそうやし」

 

 幼い頃から関西弁を使い続けた俺が手にしたのはそんな個性ぐらい気にしない懐の深い友達であった。

 

「りみりんちゃんもそうやろ?」

「はい………香澄ちゃんに有咲ちゃん、おたえちゃんに沙綾ちゃん………」

 

 青春やね。

 ここで彼女には悪いがイタズラ心が芽生えてしまった。

 

「折角やし、りみりんちゃんの関西弁聞いてみたいな?」

「えっ………は、恥ずかしいです………」

「そこは適当で良いから。では、"違う"を関西弁でお願いします」

「あっ!えぇ~」

「3………」

「そ、そんなぁ………」

「2………1………どぞ!」

 

 りみりんは決死の覚悟で口にした。

 

「ちゃ………ちゃうねん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 沙綾の部屋。

 

「んっ………」

 

 寝起きの沙綾。眠気に誘われ、目を擦ってから軽く頭を振る。

 壁時計を見て、時刻を確認。

 ちょうど晩御飯前。ということは四、五時間は睡眠をしていたようだ。

 

「お、グッドタイミングかな」

 

 と、ゆっくりと扉が開き、蒼真がそこから顔を出す。手元にはお盆と器が一つ。

 彼は沙綾の部屋に入ると、沙綾のいるベッドの隣に腰を下ろした。

 

「熱の調子はどう?」

「少しマシになったかな………」

「食欲はありそう?」

「うん、大丈夫」

 

 彼は丁寧に器を持ち上げる。

 どうやら中身はお粥だと推測される。彼が作ってくれたのだろうか。

 

「紗南が作ったお粥やぞ」

「えっ?紗南が?」

「そ。熱が移ると不味いから俺が代わりに持ってきた」

 

 妹にも随分と心配をかけてしまった。

 

「でも、ソウ君にも………」

「俺は別に沙綾のが移って熱出しても、すぐに治るし問題ないわな」

「そういう問題………?」

 

 論点が少しずれてるような。

 そんな沙綾の思考はお構い無しに蒼真は持ってきたスプーンを器に添える。

 

「ほれ」

「………ん?」

「まさか………自分で食べれるよな?」

「………?………っ~~!!」

 

 沙綾は顔が真っ赤になった。

 自然な流れでつい蒼真が食べさせてくれると考えてしまっていたからだ。彼に指摘されて、ようやく気付いた。

 

「あ、ありがと………」

 

 どうにか彼からお粥を受け取る。

 器を持つ掌に、それほど熱さは伝わらない。事前にお粥の熱は冷ませておいてくれていたようだ。

 試しに一口。スプーンでお粥を掬い、口元へ。

 

「あ、熱っ………」

 

 とは言え、熱いものは熱い。

 舌に一気にお粥が触れてしまい、思わず声が漏れてしまう。

 

「一応、冷ましてあるけど気を付けてくれ」

「先に言ってよ………」

「すまんの」

 

 そして、彼は立ち上がる。

 

「もう行くの?」

「店番してる純が心配やからな。そろそろ戻るわ」

「そうなんだ………」

 

 沙綾の表情が曇る。

 

「あ、食べ終わったら皿は適当に置いといてくれ」

「うん」

「んじゃ、また来るから―――」

「ソウ君!!」

「な、何や………?」

「あっ………」

 

 想定よりも大声が。

 それに驚いた蒼真を見てしまい、本人の沙綾は何となく気不味いと感じてしまう。

 でも、彼を呼び止めたからには後戻りは今更出来ない。

 

「もう少しだけ………居て………」

 

 彼は何も言わない。

 

「その………ずっと独りだと………寂しいから………」

 

 視線を下に向ける。

 沙綾の視界には自分の被っている毛布しか映っていなかった。ぎゅっと握り締める。

 彼に今の言葉はどういう風に解釈されたのか。気になるが、訊ねる余裕など既にない。きっと熱のせいであんなお願いが出てしまったのだ。

 

 ―――と、頭を撫でられる感覚が。

 

「珍しいな………」

 

 顔を上げると、其処には彼の顔が。

 蒼真はそっと沙綾の頭を、髪を撫でていく。久し振りに感じる懐かしい気持ちに心が包まれていく。

 

「沙綾の我が儘とか久し振りに聞いた」

「言わないで………」

 

 されるがままに沙綾はじっとしたまま。

 再び彼から顔を隠した自分の顔がどうなっているか。沙綾は知りたくもなかった。

 

「まぁ何かあったら向こうが呼んでくるよな………」

「え?」

「分かった。もう少し付き合ってやるよ」

「あ、ありがと………」

 

 彼は優しく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -3の3- へ続く。

 

 




『可愛いよ、沙綾の補足シリーズ』
・ランダムスター
→蒼真はあまりギターに詳しくないが、これが変態だということだけは知っている。つまり、作者もそんな感じ。


・かすみん&りみりん登場
→ってことで、次回では、パンと言えば絶世の………でお馴染みのあいつが登場します。


・「そやねー。―――」
→そだねー。


・りみりん、関西弁
→関西弁にも種類があります。蒼真が使うのは神戸辺りの関西弁だと思ってください。りみちゃんはどこ辺りかな?


・作者のぼやき
→ドリームガチャにあこちゃん来ましたね。と言うことで、作者が無事あこちゃんを当てたらあこちゃんの特別編出します。ドラマー五人で最後ということもあり、難産してますがどうにか仕上げます。
 まぁガチャ当たらなくてもいずれは投稿しますけどね!あこちゃん可愛いし!
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