Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 需要があれば、主人公やバンドのプロフィールも書きたい。それにしても、いりますかね?
 でも、その前に問題がひとつ。やる気と言う要素が必要不可欠なのだ。今まったくないけどね!



-1の2-

 ◇◇◇

 

 山吹沙綾の場合。

 

「もう帰ろうや………」

「早い早い。まだ始まったばっかだよ?」

 

 そうは言うが、とばかりに睨む蒼真。

 もう想像以上に精神面がガリガリと削られるのだ。相手が女の子だらけ、というのもあるが全員が美少女で緊張してしまうのも理由の一つである。

 今は乾杯を終えて、各自で相手を見つけて会話をこなす時間帯。中には食事に集中している子もいる。

 全体を軽く見回した蒼真は一言。

 

「さーちゃんが居てくれて良かった」

「え?………急にどうしたの?」

「んにゃ、こうやってみると、知っとる人がおって気持ち的に楽やから」

「………あぁ、そういうこと。確かにここにいる皆、綺麗だもんね」

「あれ?怒っとる?」

「ん?怒ってないよ?」

 

 いやいや、怒ってますやん。

 とも言えずじまいの臆病者、蒼真に沙綾はじっと見つめていた。

 

「因みにどの子がタイプ?」

「………さーちゃん?何を聞いてるのかな?」

「今すぐ答えること。さもないと、私、ここから離れて他の子と話に行くよ?」

「それは………あれやん。ちょっとタンマ」

「さぁて誰を選ぶのかなぁ?」

 

 沙綾は悪魔の笑みで脅す。

 蒼真にとって、此処は唯一の居場所。無くす訳にはいかない。でも、答えようによっちゃ、彼女の中の爆弾を着火させる可能性もあり迂闊に答えられない。

 背筋が凍る感覚に遭いながらも蒼真は慎重に動く。

 

「妹キャラ………いや、癒し系か?それとも姉御さん枠か………オタク系も捨てがたいな………」

「真面目に考え出したよ………」

 

 じっと黙考に入った蒼真。沙綾もここまでするとは思わず、つい心の本音が漏れてしまっていた。

 

「決めた」

「お?」

「さーちゃんかな」

「おお~………わ、私!?」

 

 またしても沙綾にとってこれは想定外の返答。

 たまらず沙綾が取った行動は言葉に出してしまい、慌てて口元を抑えることであった。

 そんな沙綾の苦悩も露知らず、蒼真は理由を話し出す。

 

「やっぱり隣にいて安心するからやな。さーちゃんは昔からの親友の付き合いやし」

「親友………親友だよね、うん………」

「ん?流石に、これじゃ駄目よなってーーー」

 

 蒼真の自問自答の最中、沙綾は唐突にその場を立ち上がる。

 

「ううん!全然!ありがとね!」

 

 そして、沙綾は彼の元を逃げるように去っていった。

 恥ずかしかった。が、それ以上に沙綾はそこに悔しい気持ちも紛れ込んでいたのを自覚してしまっていた。

 親友。それ以上でも以下でもない言葉。

 選ばれたとは言え、それは幼馴染みが理由であって蒼真が本当に異性のタイプとして選んだかは定かではない。

 それでも、それでもだ。沙綾にとっては嬉しいことに変わりはない。

 結果的に本人には悪いが、沙綾は蒼真と顔を合わせる余裕を一瞬でなくしてしまった。

 ポツンと一人取り残された蒼真。

 

「………結局、行くんかい………」

 

 質問の結末はどっちにしろ同じ。

 蒼真の儚い突っ込みは誰にも届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 宇田川巴の場合。

 

「隣良いですか?」

「どうぞ~」

 

 淡く飲み物を嗜んでる蒼真に一人の女性が話し掛ける。

 "宇田川巴"の名前を持つ彼女は先程まで沙綾が座っていた席に腰かけた。

 

「ぷはぁ~………うめぇな」

「お茶………ですよね?」

「そりゃあね。未成年やし」

 

 完全に酒飲みの態度を目撃した巴。

 思わず分かってるとは言え、確認をとるぐらい、彼の仕草は様になっていた。

 

「合同ライブお疲れさまです」

「お疲れ様です」

「あたし、後輩なので敬語はなしで良いですよ?」

「お、なら遠慮なく」

 

 やっぱりイケメンタイプだぁ。

 以上が現在の蒼真の脳内思考の様子。

 

「宇田川さんはあれかい?ライブを見たら相当ドラムに慣れてた感じやけど、相当個人で練習するタイプ?」

「そうですね………暇があれば叩いてます」

「やと思った」

「そう言う山吹先輩も結構やってるんじゃないですか?」

「まぁ………人並みかな」

 

 彼女のドラムスタイルを観た蒼真が第一に感じたのは基礎がしっかりしているということだ。

 リズムも曲を通して比較的安定していた。これはドラマーにとって大事な要素のひとつだ。

 

「というか………山吹先輩ってちょっと複雑ですね………」

「ん?そうか。さーちゃんと同い年か。確かにややこしいな」

「さーちゃん?」

「あ、沙綾の事ね。なんなら俺の事は名前呼びでも全然構わんからお好きにどうぞ」

「なら、あたしも巴と呼んでくれた方がありがたいです。妹のあこと交ざってしまうんで」

「了解」

 

 年長者的な立ち位置の二人。

 案外、お互いに通じる物があるのかもしれない。

 やがて、話題は巴のバンドについて。蒼真が気になっていたことを切り出した。

 

「Aftergrowってさ………あ、気に触ったらごめんな。なんか、王道ロックを突っ走ってるよな?」

「あ~それはですね、ウチのボーカルがそういう曲が大好きなせいですね。お陰様で」

「へぇ~………赤いメッシュの子か」

「そうです、そうです。蘭って言います」

「そうやな………たまには路線を替えてみるのも面白いよって言っておいて」

「え?あ、はい。分かりました」

「正直、あの子にはあんまり意味分からんと思うんやけど………」

 

 巴はどうしてなのか分からなかった。

 自身のバンドの方針を否定するような言い草だが、そこに悪意はなくただ単に親切心でアドバイスしてくれているのだけは伝わっていたので彼の助言を大人しく聞いていた。

 蒼真は不敵な笑みを浮かべる。

 

「一応、念のため………ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 宇田川あこの場合。

 

「ふふふ、いざ、妾と嗜好の宴を合わせるのだ」

 

 いつかこの子と相対するとは思っていた。

 私、いかにも中二病だ、な台詞を現在進行形で吐き散らかすこの少女はこの集いで最年少のドラマーさん。

 "宇田川あこ"。巴の妹。

 

「はい、乾杯ね。かんぱ~い」

 

 蒼真は通常モードで彼女の持つオレンジジュース入りグラスに自らのメロンソーダ入りのグラスを当てる。

 コツン、と響く音。なんの編鉄もない一連の動作のはずだが、あこは停止したまま機能しない。

 

「わ、分かるんですか………!?」

「分かるって何が?………あぁ、その話し方ね」

「まさか、先輩も世界裏の住人………!?」

「違うね。うん、違うから」

 

 実は半分、正解でもある。

 今は違えど、中二病は男の誰もが一度は通る道だと思っている蒼真にとって、あこの話す言葉の解釈など朝飯前だ。

 あこにとって蒼真はりんりんに続く、共鳴者であることをこの時、悟る。

 

「その調子やとゲーム好き?」

「はい!もしかして先輩もですか?」

「ーーーNFO」

「っ!?それは!!」

 

 蒼真のその一言が、あこの目をキラキラと輝かせる。

 

「今のイベント、結構きつない?」

「ですよね!?分かります!!」

「素材が全然落ちん」

「うんうん!!」

 

 あこが彼に気を許した瞬間である。

 

「蒼真先輩!!ってお呼びしてもよろしいでしょうか!!」

「良いぞ。ーーーあこちゃん」

「私の名前………前世から覚えてくれてたんですね………」

「いやいやいや、さっき君のお姉ちゃんから聞いただけやから」

「なぁ~んだ~。そうですか~」

 

 そこまで残念がらなくても、な落ち込みぶりを見せるあこに蒼真もつい自分が悪いのかどうか惑わされてくる。

 

「今度一緒にゲームやろうか」

「そうですね。あ、もし良ければですけど、あこの友達も誘って良いですか?」

「そうやね。予定が合えばその子ともやろう」

「はい!」

 

 根は素直で良い子。

 それが蒼真があこに対しての第一印象であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 松原花音の場合。

 

「………」

「………」

 

 静寂が訪れる。

 静かな空間に慣れている蒼真でさえ、この状況に焦りを感じていた。

 

「初めまして。蒼真です」

「は、初めまして………松原花音………です」

 

 明らかに怯えられている。

 そう感じた蒼真は優しく接することを心掛けるようになる。

 

「う~ん………男は苦手?」

「そんなことはない………です。あまり話す機会がなくて、それで………」

「緊張してしまう?」

「………はい」

 

 なら、と蒼真はある話題を。

 

「松原さんだっけ?」

「え?あ、はい」

「松原さんはどうしてあのバンドに?」

「ハロハピですか?」

「そうそう。ああいうバンドは滅多に見ないからね。そこに松原さんが入る経緯が気になって」

「やっぱり………私じゃ果たせないですよね………」

「ん?………ん!?」

 

 やばい方向に話が進んでる。そんな気がしてならない蒼真。

 

「そんなことはないと思う」

「え?」

「あの奇想天外なメンバーの中で松原さんは個性を失わずにちゃんと一員としてドラマーとしているんやから。そんな自信なさげにするんじゃなくて、ちゃんと誇るべきやぞ」

「あ、ありがとうございます………」

 

 蒼真は本心から言っている。

 花音は彼の表情、言葉から伝わってくる真剣さ。そして、相手から誉め慣れていないのでこういう耐性がまったくない。

 以上の理由から、思わず顔を伏せてしまうほどの照れようを見せてしまう。

 

「それで切っ掛けの話を聞いてもいいかな?」

「はい!ハロハピに入るきっかけはこころちゃん………あ!ボーカルの子が誘ってくれたお陰ですね。私、一度ドラム自体を辞めようとしてた時期がありまして、その時にーーー」

 

 緊張を解すのには、その子が話しやすい話題を提供するのがセオリー。

 過去に学んだ教訓を蒼真は無事活かすことが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 大和麻弥の場合。

 

「それでですね!蒼真さん」

「ん?何?」

 

 集会も終盤にかかる頃。

 蒼真は大和麻弥と言う少女と会話をしていた。

 

「蒼真さん、ドラムお上手ですね!合同ライブの際にお手並みを拝見させて貰いましたけど流石です!」

「いやぁ~ありがとやわ~」

「ジブン、実はずっと前からお会いしたかったんです」

「そうなん?」

「はい!蒼真さんの叩いた動画を偶然なんですけど見させてもらって、動画越しに分かります!!蒼真さんのあの繊細な技術!!」

「ありがとな。あ~………あれね。あれかぁ~」

 

 昔の企画の中に、それぞれのパートの演奏動画を四分割した画面に当てはめて動画にする物があった。そこに蒼真も参加した記憶があった。

 ただ、超ノリノリでドラムを叩いているので今でも見直すのが怖い蒼真の苦い思い出。

 

「蒼真さんって機材は何を持ってるんですか?」

「機材?ちょっと待ってね………」

「あっ………ジブン、質問ばかりで申し訳ないです………」

「それは良いんやけど………むしろ嬉しいくらいやぞ。あったあった」

 

 蒼真はスマホの画面を麻弥に見せる。

 

「おっ!!これは!!」

「むっちゃ高かった」

 

 画面に蒼真が購入したスネアの写真があった。

 

「なら、ジブンもこちらを………」

 

 と、麻弥も対抗心からなのか彼に写真を提示。

 

「これは………っ!?」

「他にもありますよ。最近ではそうですね………スプラッシュとか増えました!」

「えー!これ、俺が欲しかったやつやん!」

「ですよね!?残響音が良いんですよ、これ!」

「ふふふ………俺も買ったんだよ、チャイナ。これだ!どうだ!」

「なんですとぉ!?流石です、蒼真さん………」

 

 ーーーもう端から見れば二人が何なのか分からない。

 

「同士!」

「はい、同士!」

 

 がっちりと握手した二人を見れば、誰だってきっとそう思うだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 全員編-1-『ドラマーの集い』 終

 




 さぁ一周年記念、星四当てるぞ~

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