Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 もう完全に順番無視なのは勘弁してくだせぇ。

 今回、ガルパ25名中、14名台詞有(初登場の子もいます)と大にぎわいとなっております。一応、これでガルパ全員がこの小説に登場することが出来ました。



-3の1-『エキサイティングな学祭』*

 ◇◇◇

 

 山吹ベーカリー。

 

「え?ソウ君の学校の学祭があるの?」

 

 沙綾の耳にその情報が飛び込んだのは夕刻頃にお店に訪ねていた蒼真本人からの口によるものだ。

 そう言えば、蒼真の通う高校をあまり知らないと思い返した沙綾。この際なので、直接行ってみたいという気持ちが高ぶってくる。

 

「そりゃあるよ。時期はちょっと違うけど」

「いつ?」

「確か………来週の金、土やな。金曜が生徒だけの学園祭で、土曜は外部からの招待客も来るそうなんやって」

「来週か~。ライブとかもあるの?」

「あるね。土曜は俺らがトリをする」

「え!?トリ!?凄い!!」

 

 金曜は沙綾にも学校がある。でも、土曜の予定は今の所無し。バンド練習などが入ってくるかもしれないが沙綾は特に問題ないと判断した。

 最悪、香澄達に蒼真の学園祭へ行こうと誘えば良いからだ。最大の難関の有咲もライブの参考に一緒に観に行こうと誘えば文句の呟きは免れないが、ちゃんと付いてきてくれるはず。

 

「まさか、さーちゃん、来んの………?」

「え………何、その言い方」

「まぁ………大丈夫か」

「何?え?何?」

 

 含みのある蒼真の頷きに沙綾は問い詰める。

 とは言え、彼がこれごときで白状するとは思えない。大抵、話をそらしたりして言い逃れる。

 

「来てくれても良いよ。ただ、俺当日は忙しいから案内は出来んけど」

「あ、それなら全然大丈夫。ソウ君の学園祭観に行くね」

「はいはい。これの会計お願い」

「もぅ、適当なんだから。合計で480円だよ」

「ま、でも、さーちゃんが来るんなら全力で()()()()やるよ」

「ふふふ、それは楽しみだね。はい、お釣り」

「んじゃ、また」

「うん、またね」

 

 購入したパンが入った袋をぶら下げ、蒼真は店の扉を開ける。

 

 学園祭まで後、10日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 CiRCLE。受付前。

 

「ありがとうございまーす」

 

 バンドの子達がバイバーイと手を降って来るので小さく微笑んで手を振り返す蒼真。

 はい。蒼真、只今バイト中です。

 久し振りの業務。長期休暇をくれたオーナーに感謝をしつつ、忘れかけていた仕事をどうにかこなしていた蒼真はやがて、先程の子達が見えなくなると一息つく。

 

「ふぅ~」

「あ、ソウマじゃない!」

「その声は………!!」

 

 入れ違いに入ってきたのはハロハピの子達。

 中でも筆頭して受付前まで突撃してきたはボーカルの"弦巻こころ"であった。他の子達も歩いて近づいてきてはいるが、こころの相手だけで手一杯だ。

 

「こんな所で会うとは珍しいわね!ソウマ、ここで働いてるの?」

「まぁね。最近復活したばかりやけど」

「ソウマ………聞いたことがある名だ」

「薫さん。山吹さんとは合同ライブで共演しましたけど、覚えてないですか?」

「はぐみは覚えてるよ!!」

「はいはい。はぐみさん、騒ぐのはスタジオ入ってからね~」

 

 目まぐるしいほど個性揃いのメンバーを軽くあしらっていく一人の女の子の存在が目立つ。

 その女の子―――"奥沢美咲"はハロハピではピンク色の熊のようなキャラ"ミッシェル"の着ぐるみを着て、DJを担当する器用な子だ。

 他にもこころ、薫、はぐみの暴走を抑制する大切なストッパーでもある。

 

「大事な事を私、思い出したわ、ソウマ!」

「ハロハピは今日Aスタジオだぞ」

「今度、ソウマの学校で文化祭があるんでしょ?」

「おぉっと~完全無視ですね、はい。ん?どこで聞いたんだ?そんな情報」

「うーん………どこだったかしら?とにかく!私達もライブ観に行くことにしたわ!」

 

 もう止めれないこころに蒼真は無心になる。

 一部始終を見ていた美咲は静かに彼にご迷惑をおかけしますと両手を合わせていた。

 

「さて、Aスタジオね!皆、行くわよ!」

「………そこは聞いてたんか」

 

 蒼真の突っ込みは勿論、スルー。

 

「私は予言する。今日の練習でまた一段と私は儚き存在へと変貌するだろう、と」

「はぐみも頑張っちゃうよ!」

「おーい。二人ともまだ楽器を持つのは早いですよー」

 

 通称、三バカトリオは今日も通常運転である。美咲もお疲れ様である。

 そして、嵐のあとの静けさ張りに静寂を感じる蒼真であったが忘れていないことがまだあった。

 

「花音ちゃんは行かんの?」

「えっ………あっ、うん。蒼真君に聞きたいことがあって………」

「俺に?」

 

 今までずっと一番後ろを陣取っていた花音も一人だけとなったので蒼真の元へ近付いてきていた。

 どこか他人行儀な花音に蒼真も不思議そうに彼女の言葉を待つ。

 

「学園祭に蒼真君のバンドも出るの?」

「二日目のトリでね。存分に暴れる予定やで」

「なら、私!絶対に観に行くから!」

「お、おう」

「あっ………じゃあ私、皆待ってるから、もう………」

 

 急な宣言に驚いた蒼真。

 花音も自身の予想以上の声の大きさに恥ずかしくなってしまった。その場から逃げるようにスタジオへと早足で去ってしまう。

 その花音の後ろ姿を何となく目で追っていた蒼真。かと思えば、花音が引き返して戻ってきているのが視界に映る。

 やがて、蒼真の前へと戻ってきた花音は気まずそうに顔をあげる。

 

「あの、蒼真君の学校って………どこかな?」

 

 学園祭まで後、8日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 CiRCLE。受付前。

 

「おっ、蒼真先輩じゃないですか」

 

 ハロハピがスタジオ練習に来た日とはまた別の日。今度はアフロのメンバーの子達が姿を見せる。

 全員が自分の楽器を背負っており、まさにバンドマンのオーラを醸し出していた。

 一人の少女が一歩前へ出てきた。

 

「お久しぶりです!」

「えっと………ひまわりちゃん!」

「おしい!ひまりです!」

「わーほんとだー」

 

 蒼真は名前を覚えのが苦手。

 

「後は分かるぞ。青葉に蘭ちゃんに巴、それと………」

 

 最後の一人、つぐの瞳がキラキラと光る。

 

「珈琲の看板娘やな」

「合ってるけどなんか違う!つぐみ、ですぅ!蒼真君、よくお店に来てくださってるじゃないですか!」

「流石蒼真さん、つぐってる~」

「モカちゃん!?それ、どういう意味!?」

 

 すまない、羽沢珈琲店の娘。

 

「それはそうと~一人だけ名字呼びなのは人一倍優しいモカちゃんでもショック~」

「はいはい………今度からね」

「むぅ~しょうがないな~許してあげよう」

「モカ、誰目線で話してんの」

 

 これとは別にまた独特の喋りを放つモカの不満に蒼真は適当にあしらう。彼女達は気にしないとは言え、蒼真はバイト真っ最中だ。態度を柔らかくし過ぎる訳にはいかない。

 

「山吹さん、この前はどうも。来週のライブ観に行くことにしたから。生半可な演奏したら文句つけるから覚悟して」

「………やたら当たりが強い」

 

 一方でボーカルの蘭は蒼真に敵対心剥き出しだ。原因は蒼真が巴に告げた蘭宛の伝言を巴本人がちょっと尾びれを付けて、蘭に話してしまっていた為。

 勿論、蒼真が知る由がないので永遠の謎に包まれたままである。

 

「てか、誰からライブがあるって聞いたんよ」

「巴」

「いやぁ~沙綾からメールが来てな。つい」

「さーちゃんか。ただ、別に隠してるわけではないから良いんやけど………あんまり来て欲しくないというかなんというか………」

「ん?」

 

 区切れが悪い蒼真に巴は少し違和感を覚える。

 

「一先ず、この話はお前らの練習が終わってからでも良いやろ。因みにアフロは今日Aスタジオやな」

「蒼真先輩、二時間後もいるんですか?」

「今日一日は俺担当やからね。居るよ」

「やった!延長できる!」

 

 ひまりが跳ねる。

 

「おい、こら。どういうことやねん」

「教えません!ほら、皆、行くよ!」

「あっ待ってよ~!」

 

 去らば、と逃げるひまりと追いかけるつぐみ。

 

「それじゃ私達も行きますか~」

「そうだな。蘭、行くぞ」

「………逃げるなんて考えないでよね」

 

 最後にそう蘭に告げられた。

 

「むっちゃ目の敵にされてるやん、俺」

 

 学祭まで後、7日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 ファミレス店内。

 

「あこ、怒ってます!」

 

 ぷんぷん、と鼻息を荒くするあこ。

 仁王立ちするあこを向かいの席に座ってただ眺めている蒼真。

 異様な光景なのは最早普通。

 

「取り敢えず座ろうね、あこちゃん」

「あっはい。すみません」

 

 とは言え、店にも迷惑をかける訳にもいかないので大人しくあこは蒼真の指示に従う。

 

「お姉ちゃんから聞いたんです!今度、蒼真先輩の学祭があるって!」

「うん、あるね」

 

 Roselia全員のバンド練習帰りの寄り道にCiRCLEのバイト終わりであった蒼真も連行されていた。

 

「何で私には言ってくれないんですか!」

「言おうとしたよ?でも、あこちゃん。直ぐにどっかに行っちゃうんだからタイミングがなかったんだって」

「ぐぬぬ………それなら仕方ないですね」

 

 だが、どうしてか現在はあこと蒼真の二人席。他の四人はまた別のテーブル席に案内されていた。

 別の席、と言えどあこの背後に居るが。

 

「でも、ぜぇぇぇっ対に行きますから!」

「うん、ありがと。ただ俺、当日は忙しいから案内は出来んよ?」

「えぇ!?」

「………してもらうつもりやったんか」

 

 見え見えな態度のあこに蒼真はたまらず苦笑する。

 

「あこちゃん、悪いけど俺もう行くね」

「そんなぁ~。もうちょっと喋りましょうよ~」

「ごめんね。俺も今日はこれから練習があって、機材を取りに帰りたいんよ」

「練習ですか………むぅ」

 

 これは本当だ。

 練習内容も勿論、学祭に向けてであり、メンバー全員が気合いを持って挑んでいる。

 あこも食い下がる訳にはいかないことは承知していたのでテンションは下がっているが蒼真を見送ることに。

 蒼真はテーブルを一望。注文したものの、まだ完食しきれていない品があった。

 

「お詫び代わりにこのポテト、Roseliaで食べてくれ」

「はぁ~い、分かりました~」

 

 この会話にある人が大喜びしていたとか。

 蒼真の耳に入ることはないが、その人は心の中で感謝していたという。

 

 学祭まで後、6日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 羽沢珈琲店。

 

「今日は来てくれてありがと、麻弥ちゃん」

 

 店内の窓側席で相対している二人の少年少女。蒼真と麻弥の姿がそこにあった。

 用件は打ち合わせである。

 

「いえいえ、蒼真さんの頼みとあらば全然っすよ」

「まさか、依頼を受けてもらえるとは思ってなかったから俺がこの担当になったもうたんやけど………ちょうど良かった」

「そうですね。蒼真さんじゃなければ、ジブン達も断ってたかもしれません」

「おぉ………それは怖い」

 

 蒼真の依頼。それは"Pasttle*Palettes"に学祭の出演をしてほしい、との内容だ。

 有名人を高校の学祭へ招待して、ライブ等をしてもらう、のが毎年恒例らしい。特に今年は軽音部の人手不足によるバンド部門が著しく規模が小さくなっていたので、バンド関連の有名人に来て貰おうと生徒会が決定を下した。

 と言いつつ、生徒会内ではそんな宛は一切出てこない。なので、軽音部のリーダー格でもある蒼真にこの話が回ってきたのだ。蒼真が真っ先に候補に上げたのが他でもないパスパレであった。

 

「でも、ホントにありがたいお誘いです。パスパレも少しずつ人気は出てきたとは思ってるのですが、ライブの経験は数えるほどで………特に同世代の子達がたくさん観客にいるとなると良い刺激になりますから」

「まぁ俺らも人気のパスパレが来てくれるってことで集客もしやすくなるからお互い様だな」

「はい、そして何より同士の頼みです。断るわけにはいきませんよ」

「同士………っ!!」

「っ!!」

 

 がっちりと握手を交わす。

 そこに単なるドラマーの友情を越えた何かが生まれた。

 

「これが………闘いで芽生える友情、ですか!………」

「イブさん!どうされました?」

「そうでした!コーヒーをお持ちしました!」

 

 パスパレのメンバーかつ羽沢珈琲店でアルバイトをしているイブはどこか一風変わった少女、というのが蒼真の認識である。

 

「ありがとうございます、イブさん」

「うん、ありがとうな」

「いえいえ。ところでなんの話をされてたのでしょうか?」

「ん?何なら聞いてく?」

「えっと………良いんですか?」

「良いも何も君も当事者の一人やからね。居てもらった方がありがたいかな」

「少し待ってください!聞いてきます!」

 

 店内も客は疎ら故の蒼真の提案。それに対して、イブは許可を貰いに店の奥へと走っていく。

 

「先にちょっと始めますか」

「そうですね」

「んじゃ、早速、学祭についてやけど―――」

 

 学祭まで後、5日。

 

 

 

 

 -3の2- へ続く。

 




《どうでも良い補足シリーズ》

・「―――()()()()―――」
→つまり、それ以外は?


・ポテトの行方
→大半はとある風紀委員長の胃袋へと呑み込まれた。


・蒼真VS蘭
→全員編-1の2-より、蒼真は巴に伝言をお願いしたが、結果的に「蘭は王道ロックしか歌えへん奴」的な意味で蘭に伝わってしまっている。
 友希那と言い、ボーカリストからは好かれるか嫌われるかの両極端な蒼真であった。


・イブさん
→最近、ようやく蒼真は彼女の名前と彼女がハーフであるのを知った。
 「へいらっしゃい!何握りやしょか!」と言われた蒼真は平然と「なら、鮪で」と答えたらしい。
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