アフロの二章読みました。奥が深い………ってことでちょっと此方でも噛らせてもらいます。
後、今日からBOXガチャ回したいので更新頻度遅れる、と予告しておくスタイル。
――では、どうぞ。
◇◇◇
お化け屋敷、ゴール地点。
「………やっと出た」
体感時間は約一時間。
実際は二十分かけて、俺達はゴールと書かれた扉を開けた。
振り返ると俺の予想と一致したらしく、驚き要素はあの化け女のみ。ポイントを一点に集中した珍しいタイプのお化け屋敷だった。
故に遭遇する度、マジで恐怖。背筋が凍りつくなど五回目ぐらいから数えてない。
俺でさえリタイアしたいと思うぐらいだ。巴やつぐみこ二人はよく最後まで乗り切ったと讃えたい。
無駄に凝る製作者の思惑通りに嵌まりに嵌まった二人の様子はというと―――
「お~い?終わったぞ~?」
「………イヤイヤイヤ」
―――ぶるぶるぶるぶる。
巴は俺の手を離さない。
つぐみは俺の肩にがっつりしがみついて顔を埋めたまま制止。
ソイヤ、とたまに巴から聞こえる。
半分、瀕死に浸かってるような状態ですね。
「正気に戻………れ!!」
「はっ!?ゴールしたのか!?」
「えっ?………あっ、ホントだ」
ようやく日常へ生還した。
巴とつぐみは辺りをキョロキョロ。勿論、子供達の喧騒が響き渡る遊園地の景色が映るだけ。
今はそれだけで安心する。
「にしても、マジで凄かったんやけど………このお化け屋―――」
「そそそ蒼真君!!」
「ん?」
一瞬だけ、ぴくっとしたつぐみ。
肩から離れた彼女が焦ったように俺を呼んだ。
「その話は止めましょう!!今後、未来永劫どれだけ地獄の尋問されようとも、止めましょう!!」
思い出したくない気持ちが凄い。
「分かった。うん、分かった」
「巴ちゃんもそれで良い!?」
「あ、あぁ。良いけどさ………つぐみ?」
巴も引いてしまっとる。
「取り敢えず、これからお昼にしませんか!!丁度良い時間なので!!」
「そう………やな。巴もそれで良い?」
「はい」
つぐみの血相変えた提案。
これは暫くお化け屋敷の恐怖から忘れられなさそうな彼女に俺は密かに無事を祈る。
つぐみの連れの子供達を回収しつつ、俺達一行は食事スペースへと向かった。
ここから―――後日に判明した話。
巴があことの世間話でその話題が出たのが切っ掛け。
どうやらお化け屋敷の道のりには幾つか選択肢が用意されてあり、挑戦者は自由に選べるスタイルを採用している。
ここまではまだ良い。
道中、それっぽい所も何度か確認した。
だが、驚いたことにあこと悠希コンビはあれを余裕でクリアした。不思議に思った巴が尋ねたらしい。あの女の人は出てきたのかと。
………出てきていないそうだ。
あこと悠希が体験したのは、ゾンビメイクした人が普通にばっと影から驚かしてきたぐらい。
もしかすると、だ。俺と巴、つぐみの三人は恐怖のレベルが最上級の道を無意識に選択してしまったかもしれない。
………なんでやねん。
◇◇◇
ある行列の前。
「あれ?巴にソウ君?」
偶然にも沙綾と再会した。
一緒にいるはずの弟と妹の姿が見当たらない。沙綾はベンチに座り、一人で退屈そうにしていた。
聞けば、どうやら、純と紗南はこの行列の先にあるアトラクションへと行ったらしい。
二人乗りなので沙綾は大人しくお留守番。
「二人もこれに乗るの?」
「あぁ。此処のは世界レベルらしいし、折角来たんだから乗ってみたいと思ってな」
「巴は案外、平気なんだね―――」
―――ジェットコースター。
「ん?余裕だぞ?何回でも乗れるぐらいだ」
「へぇー。でもね、巴、じゃない人が後ろにいるんだよね~」
ニヤニヤ顔の沙綾と目が合う。
うるせぇよ。まったくもって、余計なお世話だ。
んなもの、金輪際苦手だ。こん畜生。
「先輩………苦手なのか?」
「苦手で悪うござんしたな!ちっちゃい頃に乗ったのが未だにトラウマなんやけど!?悪いか!!」
「………すごい豹変ぶりだ」
「巴。ソウ君、高い所は苦手だよ」
「え?そうなのか?でも、午前中は普通に乗れてた気がするが………」
「あれは建物の中にあるタイプやったから、どうにか耐えれた」
「先輩なりの理論的な何かがある?」
「残念ながら、今回のジェットコースターは完全に外だもんね~」
挑発してくる従妹が心底うざい。
「先輩、どうします?」
「そんなに乗りたいんか………?」
「はい」
「即答………」
巴の真っ直ぐな瞳が今は辛い。
滅多にない本人たっての希望なのにどうしてこうなる。
よし―――最終手段、決行。
「さーちゃん」
「な~に~かなぁ?」
「………勝ち誇った目がうざい」
「悪口を言う人のお願いは聞きませんよ~」
「好き勝手言いよんな………今度、スティックでも何でも奢ったるから」
「うーん、考えとくね。それで?」
「俺と代わって?」
悪いな。無理なもんは無理なのだ。
「私は良いけど………巴はいいの?」
「え?なんでアタシに聞くんだ?」
「だって、巴、ソウ君と一緒に乗りたかったんじゃないの?」
「なっ………!!」
「あれ?違った?」
数歩後ずさった巴。
俺と一緒に乗りたいと指摘されてのその反応。
まるで拒否反応。ちょっとショック。
男と二人きりで乗るのは流石にどっちもキツいか。
真っ赤になった頬の巴が反論。
「い、いや!!アタシは一人より誰かと一緒の方が楽しいってだけで………!!」
「そっか………そっかぁ~」
「めっちゃ納得してるやん」
他にも何か悟った目をする沙綾。
普段から察しが良すぎる従妹は今回も感知センサーが好調に機能したらしい。
「んじゃ、はい。荷物はちゃんと見といてね。私は巴と行ってくるから」
「了解、了解」
「純と紗南が戻ってきてもちゃんと居ること。私達が戻るまで此処から動くの禁止」
「そこまで言わんくてもちゃんとおるっての」
「ソウ君、すぐどっかに行くから」
沙綾が立ち上がり、俺がそこに座る。
「巴!行こ!」
「沙綾………?目が怖いぞ………」
「う~ん?気のせいじゃない?あ、でも、どちらかっていうと楽しみになってる」
「な、なんで………?」
「一言で言うなら、巴関連のせい………だよ?」
「………」
同い年。ドラマー同士。
会話に花を咲かせる程になった二人は仲良く列へ向かった。
巴の顔が青ざめていくように見えたのは気のせいだと思いたい。
◇◇◇
観覧車。
「もう夕方か………」
静かに揺れる乗りカゴ。
ぐるりと廻る観覧車。時計で例えるなら十時の位置に俺と巴は居た。
眺める景色は儚き物。
海際にある遊園地なので膨大な海面がいっぱいに広がっている。太陽は沈みかけており、夕日が窓ガラスを突き刺していた。
「大丈夫なんですか?」
「………何が?」
あまりにも唐突だ。
巴の質問の意図が読めない。たまらず聞き返してしまった。
「高い所は苦手ですよね?」
「正確には高い所から一気に下る感覚が苦手なだけ。観覧車みたいにのんびりとしたのは平気」
「にしては席のど真ん中に座ってますが」
「………揺れるやん?」
「頂上に来たみたいですね」
「何故、このタイミングで言うねん」
俺の両手は座席に。
「てか、ジェットコースターはどうやったん?」
「急に話題を変えましたね。楽しかったです」
「へぇー………乗ろうとは思わんけど」
「苦手な人は遠慮しておくのがベストなくらい、凄かったですよ」
「そっか………そう言えば、待ち時間にさーちゃんとは何喋ってたん?結構、待ったから時間はあったやろ?」
「えっ………」
地雷を踏んでしまったのか。
巴の様子がこの質問を軸にぎこちなくなる。
「………ドラムの話ですよ!?最近のお気に入りフレーズとか機材とか、ばっかり!!」
「さーちゃんが俺の悪口とか言ってなかった?」
「い、言ってませんよ?むしろ………」
「むしろ?」
「何でもないです!!」
「ちょっ!?揺れるって!?」
「あ、すみません」
やっぱり恐怖心は捨てきれない。
巴の態度も気になりつつ、揺れる乗りカゴにそんな余裕はない。
雑談は続いていく。
彼女と共通する話題は案外多い。
ドラマーやバンドだったり。和太鼓の話も少しは分かるようになった。
やがて、話題は遊園地の感想へと―――
「今日は久しぶりに遊んだな………」
「ですね。アタシだと普段と違うメンバーなので新鮮な感じがしました」
「それって、"Aftergrow"の?」
「はい。蒼真先輩は知ってますか?Aftergrowの名前の由来を」
「いや、知らんな」
「"夕焼け"………です。学校の屋上でメンバー五人と一緒に見た夕焼けがアタシ達の変わらない日常の証なんです」
赤く燃えたぎる光。
移り行く空の元に写し出された幻想の炎は彼女達の何かを燃やした。
「良い由来やね………変わらない日常、か。巴達はそれを大事にしていきたいって訳ね」
「はい。特に蘭は………蘭は変えたくないから、変わりました。自分に何が足りないのか、ちゃんと考えて、実行して、結果を出して。見ていただけのアタシ達もまた蘭の背中に追い付こうと必死になり初めて………今のAftergrowが成り立っていくんです。最近、ようやく気付いたばかりの話ですけど………って、ややこしいですね」
「んなことないよ。ただ、巴がそうありたいんであるんなら、俺は真逆の意見やなー」
「え?」
「俺が今のあいつらとバンドをした理由は………日常を変えたかったんだと思う。その頃はもう平凡な日常に飽き飽きしてた。時期が時期だけに精神面もだいぶやられてたから………いや」
俺は首を横に振った。
「全てを
「………不純な動機ですね」
「まぁ俺にも色々事情ってのがあるんだよ。てか、もう着くね」
外を見れば、地上が見えた。
どうやら観覧車も終わりが近いみたいだ。
やがて、スタッフの人が乗りカゴの扉を開けた。
指示に従って降りる。通路を進み、遊園地の広場へと移動した。
スマホの画面で時刻を確認する。
「もうこんな時間か」
美咲の指定した時間まで僅か。
代表者の俺が遅刻するのはちょいと不味いかもしれない。
「先輩?行きますよ~?」
「あいさー」
前を行く巴に呼ばれた。
俺は再び歩き出したのであった。
巴編-3-『遊園地』 終
*活動報告にて、リクエスト募集中でーす。
『二章の蘭モカが当たりません補足シリーズ』
・展開について
→基本的に飛ばし飛ばしです。はぐみやあこ、美咲の出番が一切ないのは主人公、巴にと関わりがないせいでもあります。
需要があれば、番外編でやろうかなぁ程度に考えてます。
・蒼真の高所恐怖症
→作者も幼い頃に某アトラクションパークの恐竜コースターに乗って、あの時はしばらくトラウマになりました。
今では普通に乗れますが。
・「い、言ってませんよ?むしろ………」
→沙綾が知っているソウ君の彼女事情とか、どういう女性が好みとかを聞いちゃいました。
・予告編 巴編
-4-『本質魂』
初めてのこの感情。
巴は内心に秘めた未知の正体に怯えつつあった。時々、胸が苦しい。
それでも巴は誰にも相談せずにいた。幼馴染にさえ。
いつも通りの日常を大切にするアフロ。
巴は知っていた。自分の隠し持つこれを話してしまえば、自分達の変わらない何かを壊してしまうかもしれないと。
でも、日に日に膨らむそれは気づけば爆発寸前まで追いやられていた。
―――そんなある日。
巴はうっかり白状してしまう。
それを聞き逃さなかった幼馴染の彼女達は動き始めた。
まずは情報収集から。
つぐみの実家、珈琲店に呼び出された巴は事情も分からずにいると一人の来客が訪れる。
その人は他でもない。
蒼真と同じバンド"アークラ"メンバーの一人。
ギター担当―――吉宮ルーズであった。