なのでこちらも妹バトルが開幕されますぞ(妹違い)。
評価、感想、お待ちしております。
◇◇◇
リビング。
「ぐぬぬ………!!」
これはあれだろうか。
「むぬぬ………!!」
修羅場って言う一人の異性を多数の同性が取り合い、互いに物凄い形相になるやつだろうか。
テレビでは恋人と愛人がやり合う的な展開がお約束かと。
ただ、実際にこれと遭遇するとはあらま、びっくり。
俺の妹の悠希と友希那の訪問に引っ付いてきたあこがソファに座る俺を中間地点として、バチバチ火花を散らしているのだ。
「何故、兄さんとそんなにくっつくんですか。必要ないはずです」
「あこにはいつだってソウ兄が近くに欲しいんです~!!」
「なっ!?なんて破廉恥な!?私だって、黙ってそれを見過ごせる程、甘くはありません!!即座に離れなさい!!」
「べっ~、だっ!!」
「~~~っ!!」
うん、不毛な争い。
互いに俺の腕を小さな体で抱き締めて、主張のぶつかり合いをする。至って平凡なレベルの言葉で、時には顔で、端から見れば無様なまでに頑なに張り合う。
普段の妹なら、そこまで頑固にならないのだが今日はとても反抗的だ。宇田川あこ、という同年代の少女に何らかの面で感化されたとでも言うのだろうか。
一方で肝心の友希那は―――
「にゃー?あらあら………にゃーねー」
家の猫とじゃれあってた。
名前は"響"と立派な名を持つ雌猫。おおらかな性格をしてるのか、初対面の人でもすんなりなついてしまう。
そんな響に対して、クールに接しているつもりの友希那。頬が少しずつ緩んで来ているのは気のせい。
今日の本題を忘れてなければ良いが。いや、冗談抜きで。
さてと。いい加減こちらを止めないと不味いか。
「二人とも喧嘩になるからあんまりヒートアップはすんな―――」
「兄さんはどうなんですか?」
「へ?」
「私とこの人、どちらが妹として相応しいと思いますか!?」
「妾は大魔王あこだぞ!!」
「………あこさんと」
悠希の目にふざけはない。
むしろ、真剣に質問の答えを知りたいらしく迷いなき視線を自身の兄へ向けていた。
あこもまた同じ気持ち。抱き締めた俺の腕をぎゅっと再度締め直す。
困ったのは俺だ。この時、なんて返せば、正解なんだ。教えてくれ、神様。
―――ちらっ。
「ふふふ………可愛いわ」
あれ、いつまで続くんかな。
今度は床に寝そべり、丸出しされた響の腹をそっと撫でる友希那。響は無抵抗にそれを受け入れている。
外部からの助けもないとなれば、ここは上手くやり過ごすしかないと俺は密かに決意する。
「どちらの方が妹としては相応しい存在かと問われれば俺はこう断言する―――両者、ともに今は否、だと」
「なっ!?」
「ふぁ!?」
「そもそもだ。真の妹とは己からそれを問いただすという愚かな行為には走らんのよ。常日頃から妹として振る舞い、そこに一切の隙を見せべからず。それこそが妹の真髄というべきやないかと俺は思う」
「な、成る程………です?」
「あ、あこは………ソウ兄の妹として相応しくない………?」
稲妻の落ちる衝撃の如く。
あこにストレートに落下した稲妻は彼女のこれまで培った妹魂に亀裂を走らせるのには十分すぎる威力であった。
「でも、二人とも妹だとかそういうの無視してもさ、普通に女の子として可愛いし―――」
「「可愛い!?」」
「うん?………どした?」
二人の表情が伺えない。
と、悠希がいきなりソファから立ち上がる。その頬は少し赤い。
「だとしてもです!兄さんの理想とは私達が程遠いかもしれんが、せめてどちらかがその真の妹に近いのか決めてください!」
「えぇ………」
あれ。あれれ。
「そんなの、あこに決まってるから、聞くまでもないよ」
「甘いですね、こう見えても兄さんは黒髪ロングヘアーがタイプなんです」
「はっ………!!でも、ツインテールもいけるって言ってたし!!」
「苦し紛れの言い訳にしか聞こえませんよ」
「ぐぬぬ………!!あこだってもっと知ってるもん!!ソウ兄がこっそり好きなフレーズとかも全部!!」
「一体、何の話を………まさか、最近になって兄さんのトレンドが変わりつつあるっ………!?」
「えっ?俺の空評被害がどんどん増えるやん」
シンプルに怖い。
「このままだとキリがありません。ですので、こうしましょう」
「そっか。なら、俺はここらで―――」
「逃がしませんよ、兄さん」
「………はい」
「私とあこさんで真剣勝負をします。勿論、勝負のテーマは"妹"に関して。内容は、先に兄さんに真の妹として認められた方が勝利ということで………構いませんね?」
「受けてたつ!」
「よろしい。正々堂々、勝負です!」
ふむ。整理しよう。
兎も角、これだけは理解した。話をどうにか切り上げようとしたが、これだと完全に裏目に出てしまった。
一人では抱えきれないと判断した俺は唯一の部外者でもある彼女を呼ぶ。
「姫さん、ちょっと」
「………?何かしら?」
「あからさまに距離を取ってんな………じゃなくて、ちょいとだけでも良いから手伝ってくれ」
「嫌よ。貴方が勝手に起こした問題じゃない」
「―――常時、響の膝乗せを許可」
「―――っ!!」
「それで手を打とう」
「そ、そう………えぇ………仕方ないわね………」
ちょろいな、おい。
◇◇◇
リビング。
「では、始めます」
絨毯に降り立つ二人の妹。
仁王立ちのあこと余裕な態度の悠希。
審査員として俺と友希那がソファに座りつつ、勝負の行方を見守っていた。
因みに予め決めた協定通り、猫の響は友希那の太ももの上で丸まってる。
今回の対決、進行担当は悠希。
「まずはシンプルに兄の事をどれだけ知ってるか。兄さんにとって、より相応しい妹として比べるのであるんなら、これ冥利に尽きます」
「確かにそうかも。でも、勝負ってなるとどうするの?」
「お互いに質問をしましょう。解答が出来ないもしくは不正解であればそこで試合は終了です」
第一ラウンド。"兄の質問対決"。
兄に関しての質問を交互に繰り出す。どちらか一方が解答に不備を出せば、即座に勝敗が喫するとの事。
肝心の俺の役目はというと、質問の答えを正しいかどうかの判断役らしい。ということは、間違いが出るまでは出番なし。友希那はただ見守るだけの監督役。
「どっちが先攻かじゃんけんだね!」
あこの提案により、先攻後攻を決める。
掛け声と同時に出したのは、あこがパーで悠希がグーであった。
つまり、あこが先攻となる。
「ふふふ………長期戦になるのも面白くなかろう、この試合。即座に決着をつけようではないか」
いざ、勝負開始。
「ソウ兄が好きな撫で撫でポイントはどこ?」
「頭です」
―――お、おう。
いきなり質問がマニアックでは無かろうか。
確かに、記憶を思い返せば、あことの触れ合いに自然と彼女の頭を撫でている場合が多いがそういう意味合いを含んではいない。
悠希も悠希で躊躇なく答えたけどもさ。妹界では共通認識で通っちゃってるのだろうか。
「兄さんの誕生日!」
「7月25日!ソウ兄の大好物!」
「揚げ出し豆腐!兄さんの困った癖!」
「貧乏揺すりが両足!ソウ兄の宝物!」
「初めて折れたスティック!兄さんの好きな色!」
「ブルーだよ!ソウ兄の持ってる機材ケース、大体青色!ソウ兄の―――」
―――すげぇ。どんどん出てくるわ~。
互いに敗けを許す気配はない。
眼前の敵を打ちのめす。目的は一致しているが闘志はぶつかり合い続ける。
一部始終を何気なく見ていた、そして唯一の第三者視点である友希那が唐突に俺を見つめ、ぼそっと呟く。
「ソウ………あなた………」
「止めて。そんな哀れみの視線を向けんといてくれ。俺が一番分かってんねん」
◇◇◇
―――数分後。
「はぁはぁはぁ………」
「へぇへぇへぇ………」
猛烈な言葉の羅列による殴り合い。
果てしなく続くかと思われたその激闘も決着はついに付かず。息を忘れる程に白熱したせいで二人共、大幅に呼吸が荒れる。
「やりますね………」
「そっちこそ」
「まさか、兄さんの○○○(兄の威厳が損失する危険性ありなので自己規制)まで知っとるとは………」
ほんと、それだよ。
心の隅から隅まで完膚なきまでに晒し者にされた気分だ。ただただ、めっちゃ恥ずかしい。
悠希は兎も角、あこからも何処からそんな情報を仕入れたのか謎過ぎる解答もちらほら飛び出した。お陰様で、犯人に目星はついた。
というよりか。よりにもよって、俺の愛用スティックの値段まで知ってるとは。妹、恐るべし。
「次はこれです」
悠希は冷静に口にした。
ではでは、俺的には非常に不本意なのだが、全国の可愛い妹持ちの兄の皆さん、心して聞くように。
「"妹に言われたい台詞で対決"………です!」
第二ラウンドが始まる。
-3の3- へ続く。
『シスターズ!補足シリーズ!』
・猫と友希那
→隠れ猫好きの友希那。普段は猫から構って貰えずにいるが、蒼真家の猫は殆ど動かない。つまり、逃げない。故に猫の可愛さに夢中になっている。
どっちも可愛い(作者目線)。
・響
→由来は不死鳥の次女より。もしくはアイドルプロデューサーからの推薦。
・悠希
→山吹家(沙綾のいとこ)の長女。普段はクールに冷静に物事を判断するが、一度スイッチが入れば、周りが見えなくなるほどの負けず嫌い。
普段は標準語を使うが、咄嗟に素である関西弁が溢れることは多い。
本人は隠しているつもりだが、ブラコン。
両親が多忙で家に居ないことが多く、代わりに蒼真が世話をする場面が多かった為。
・貧乏揺すりが両足
→ドラマーあるあるかな?
・あこの情報源
→どっかのパン屋さんの娘
・作者のぼやき
→crowsong来たァァァァァァ!!