Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 ふへへへへへへへへへ。(訳:今回はちょい短めとなります)



-4の1-『真夏のラバー』*

 ◇◇◇

 

 真夏日。

 

「ぐへぇ~」

 

 日射しが容赦なく照り付ける。

 お陰で十二分に熱された道路の上を歩くだけでも、汗がどんどんかいてしまう。

 

 あこの現在の様子は、というと―――

 

 今日の服装が黒を基調としているので、より暑く感じてしまうのはまた別として、帰り道をとてとてと歩いていた。額の汗を拭う。

 バンドの練習もリサが提案した熱中症が危ないからと早々に切り上げてしまい、午前中でありながらも既にあこは本日の予定なしとなっていた。

 リンリンは欲しい物を買いに遠出をするらしい。あこにこの暑さの中、遠出など自ら灼熱に飛び込む覚悟はなかったので遠慮させてもらった。

 他のメンバーも各々用事があるみたいで、あこは手持無沙汰に暇を持て余す羽目に。

 実家でも姉の巴は不在。ゲームも候補に浮かんだが、不幸にも昼頃からメンテナンスが入ってしまい、出来ない。

 夏休みの宿題はまだまだ余裕があるので後回しでもきっと大丈夫、のはず。

 今のあこは面白い何かを探してる真っ最中である。とは言え、バンド練習の帰り道にすぐに見つかるなどとは思っていないので一度家に戻り、クーラーで涼もうと企んでいる。

 

 ふと先の十字路の角を曲がると―――

 

「………先輩?」

 

 見覚えのある背中。

 真夏にあった軽装姿のドラム先輩が迷いなく歩いて進んでいた。

 折角なので、後を追う。

 

「あれ?駅?」

 

 商店街を抜ける。

 道中、店の人から貰った食べ物を頬張りつつもあこは見失う事なく追跡に成功して今。

 肝心の本人はどうやら遠出をする様子。少し先の最寄り駅へと向かう道を一直線に歩いていく。

 

 ―――と、いきなり彼が道の角を曲がった。

 

「あっ!!」

 

 ヤバい、とあこは焦る。

 曲がり先の道は目的地が駅だとすれば、遠回り方向。てっきり駅だと思い込んでいたので痛恨の凡ミス。

 曲がり角まで走る。同じ所であこも道を曲がろうと試みれば―――

 

「わっ!?………せ、先輩………!!」

 

 あこの先輩、蒼真が待ち構えていた。

 彼の表情は何とも読み取れない。やっぱりお前の仕業かと思わせるため息を深く一つだけ吐く。

 

「あこ、俺に何か用?」

「えっと、あの、その、この………面白そうだったので蒼真先輩の後をつけてました!」

「素直でよろしい。それに免じて今回は許してやろう」

「やった!!」

「デコピン一発で」

「痛っい!!」

 

 あこのおでこに痛烈な打撃がヒット。

 ヒリヒリするのを我慢しつつも次回に向けての反省点を模索したいあこは研究者熱心である。

 

「………いつから気付いてました?」

「あんなに背後をちょこまかされると流石に誰でも気付くんやけど」

「そ、そんな!?」

 

 確かに電柱の影に移動していた。が、あっさり見破られていたらしい。

 今日はここまでかと諦めムードのあこ。

 でも、まだ昼前の真夏日。ここで予定が白紙になるのは嫌だとばかりにやけくそな行動に出た。

 

「蒼真先輩、どこかに行く予定ですよね?あこ、暇なので連れていってください!」

「なんじゃいそりゃ。出来なくはないんやけど、あこが来ても面白くはないよ?」

「全然OKです!」

「文句は一切受け付けんからな」

 

 蒼真が来た道を戻る。

 と、駅への最寄りルートへ入るとそれに沿うように進み始めた。

 やはり、さっきのはあこを誘き寄せる罠だと判明しつつもあこは置いていかれないように彼の隣へと追い掛ける。

 仲良く並んで歩く二人。

 

「ところで何処に行くんですか?」

「ん?そういや、言ってなかったな―――」

 

 蒼真は一呼吸置いた。

 

()()()だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 墓地施設。

 

「………随分と伸びたな」

 

 それは、墓の側に植えられた小さな木。余計な枝はバッサリ切られてスッキリとした様子。

 そして、丁寧に添えられた花束を交換したお陰でお墓が随分と綺麗に変化した。

 彼は思い出を噛み締めるかのように墓の前にしゃがみこみ、両手を合わせる。

 

「あこもやっとく?」

「え?でも、あこ、よく知らないし………」

 

 赤の他人のあこ。

 此処に着いてからは他人行儀に蒼真の後ろでじっとしていただけである。そもそも、誰のお墓参りすらかも分かってないのだ。

 

「この中に入ってるのは俺の元カノ。俺が中三の頃に亡くなってからは定期的に来るようにしてる」

「元カノ!?先輩、彼女が居たんですか!?」

「失礼だな。ちゃんと居たよ」

「じゃ、じゃあ………あこも」

 

 墓の前でしゃがむ。両手を合わせる。

 

 ―――えっと………初めまして。蒼真先輩の後輩の宇田川あこです。先輩からはドラムを教えてもらってます。

 

 蒼真の彼女がどういう人だったのか。思いを寄せるあこはふざける様子を全く見せずにやり終える。

 

「んじゃあ、帰るか」

「えっ?もう帰るんですか?」

「長居する必要もないしな。それにさっきも言ったけど、あこにはあんまり関係ないからつまらんだろ」

「そんな事無いですけど………」

 

 ふと、墓石を見る。

 まだ中学生のあこには墓石に刻まれた言葉は難しい。人の名字だと言うのは分かるが、全てを理解するまでには至らない。

 

「でも、お墓参りって確かお盆休みとかに来るのが定番じゃあ………」

「もう一つあるやろ」

「あっ………命日」

「そ。今日がこいつの誕生日やから」

 

 妙な謎も納得した。

 と、蒼真がズボンのポケットからスマホを取り出し、画面を見つめていた。

 

「電話。ちょっと待っててくれ」

「はーい」

 

 人気の無い場所へ離れる蒼真。

 二人きりで来たので、必然的にあこは独りぼっちに取り残される。

 墓地園で孤独にいるのはちょっと怖い。

 

 ―――と、その時。

 

「あら?珍しい。今日は可愛い子がいるじゃない」

 

 あこは振り返る。

 

「え?」

「ふふふ。こんにちわ、お嬢ちゃん」

「こ、こんにちわ………」

 

 そこに居たのは―――

 一人の小さなお婆さんであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -4の2- へ続く。




*2019バレンタインのバンドリ特別会話がまさかのドラマー勢にまじ、歓喜です。

 感想、評価、どのヒロインや話についてでも構いませんのでお待ちしてます。
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