Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 今更ですが無事それぞれの2nd.Singleを計三枚ゲットしました。
 ハロハピのCDにはなんと花音ちゃんのカードが同封。神様、ありがとうございます!!
 CDケースも応募で貰えるようですが、ハガキの書き方が分からず困っているのがソウソウでございます。

 今回で花音編-1-は終了ですので、ごゆっくりどうぞ。



-1の3-

 ◇◇◇

 

 水族館。3号館。 

 

「ふぇ~………ここどこ………?」

 

 その場をゆっくり一回転。

 家族連れが目立つ中、私の目当ての人やその手掛かりは見当たらない。

 私、花音は完全に迷子と化していた。高校生なのに。恥ずかしい。

 数分前に蒼真君にベンチで待っているように言われたのだけれど、一人っきりの小さな女の子を見つけてしまえば、誰だってじっとしていられない。

 その子は私と同じクラゲグッズが目当てで両親と来たそう。でも、販売場所付近ではぐれてしまったみたい。幸運にも、その販売場所は私でも分かるので連れいくことに。

 

『あ、パパ!ママ!』

『愛ちゃん!すみません、うちの子がとんだご迷惑を………』

『いえいえ、無事に再会できて良かったです』

 

 目的地まで案内すると、不安そうにキョロキョロとしている大人がいたのでもしかしてと思っていたがやっぱりこの子の母親であったようだ。

 後から聞いたが、この時、母親はこの子が帰ってくるかもしれないとその場で待機。代わりに父親が捜索に出掛けていたそうだ。

 

『ばいばい、お姉ちゃん!』

 

 可愛らしく精一杯に手を振るその子に癒されながらも私は早く戻らないと、と思っていた。

 だが、しかし、だ。

 結論から言うと私は戻れなくなっていた。来るときはスムーズに行った。でも、帰りでは道が多く別れており何処から来たのか判断がつかなくなっていた。これでは、あの子も迷子になるはずだ。

 

 ーーー早く戻らないと。

 

 その気持ちとは反対に目的地は段々遠ざかっていく。そんな錯覚を覚えるほどの道の複雑さに私の頭は参っていた。

 

「お、いたいた」

 

 彼と再会したのは、その時であった。

 

「あ、蒼真君………ごめんね」

「やっぱりこの辺で迷うよな。なんかアマゾン川みたいな構造で一旦、本流に入ってしまうと戻れない設計らしい。すごいこだわりやね」 

「そうなんだ………」

「んじゃあ、とっとと行こうか。ショーまでまだ時間はあるけど席は良いとこ取っておきたいし」

 

 彼は私に背を向け、進み出す。

 

「あ、あの!」

「ん?どうした?」

「………私に何も聞かないの?」

 

 わざとではない、とは言え、結果として彼の言葉を破ってしまった。それなのに彼から一切の追求がないことに私は不思議で仕方がなかった。

 と、彼の返答はあっさりしていた。

 

「迷子を案内してたんやろ?」

「へ?どうしてそれを………?」

「さっき来る途中に父親っぽい人からお礼言われたんよ。どうやら、俺が君と一緒に来てるって覚えられてたみたいでな」

 

 彼は静かにそう言った。

 

「迷子を案内するのは良いけど、自分が迷子になったら意味ないよな、はは。ミイラ取りがミイラになるってやつ?」

「ご、ごめんなさい………」

「謝らなくて良いって。迷子探しは慣れるんやから」

「え?」

「俺の妹が………ね」

 

 優しく微笑む。

 それにどうしてか、少しだけ私の胸が疼く。今の私にその理由を探すだけの余裕はなかった。

 

「これは答えなくても良いけど、今日一日通じて思ったん感想としてだよ?………もしかして迷子になりやすいタイプ?」

「………はい、方向音痴です………」

 

 気恥ずかしいが、手遅れにほどがある。既に殆ど彼にバレてるので大人しく白状することに。

 勿論、方向音痴になりたくてなってない。こればかりは治しようがない。

 

「俺の妹も迷子の天然記念物並みやからな。いっつも対策としてやってるのがあるんやけど………まぁこれは無理やな」

「私じゃ駄目なの?」

「そういうことじゃないんだよ」

 

 なんかここだけは譲れない。そんな対抗心が私の中で燃え上がる。

 自分でも抑えきれないほどの自分に驚く私もいた。

 

「妹さんと一緒のこと、私にして欲しいなぁ。そうすれば、これから私達がはぐれることがないってことでしょ?」

「………今日は人も多いしな、しょうがない」

 

 彼は渋々と言った感じで諦めた。

 小さく「いつも通り………いつも通り」と呟く彼にちょっと私もやらかした感が芽生えてきて不安になる。

 

「ん」

 

 と、彼は右手を差し出す。

 

「………???」

「いや………手を繋ぐんだよ」

「手を繋ぐ?………ふぇ!?」

 

 思考がパニック。

 男の子と私が手を繋ぐ?いやいやいや、そんなカップルみたいなこと………でも、二人で来てるから今更では?

 といつの間にか、導かれるように私は何故か彼の掌をじっと見つめている。

 

「蒼真君の手………綺麗」

「そか?ドラムの練習で結構ひどいもんやと思うけど」

「だからこそだよ。うん………すごい………ドラマーの手をしてる………」

 

 彼の手は私より大きくて何より逞しい。

 きっと絶大な練習量で傷ついて、より強く治ることを何度も繰り返したのだろう。繰り返して、また傷ついて。そうして人は立派に成長していくと私は知っていた。

 

「………やっぱり止めようか?」

 

 ぺたぺた、と掌を触る私に彼の照れ臭そうな声が飛ぶ。

 あ、ごめんね!と私は彼の手を離した。

 

「ううん………やる。手、繋ご?」

 

 そう言うと私は彼の手を掴んだ。そして、彼の隣に肩を並べる。

 これには彼も慌てふためく。

 

「え?か、花音さん?………唐突やな」

「あ、蒼真君。やっと私の名前言ってくれた」

「名前?」 

「うん。蒼真君、なかなか私のこと呼んでくれないんだもん」

 

 と言っても、彼に全ては分からないだろう。これは私の小さな競争心に過ぎないのだから。

 朝、集合した時だ。彼は先週会ったばかりの彩ちゃんを名前呼びしていた。それが少し胸に引っ掛かる感触がして、あまり気分が良いものでないのは覚えている。

 

「そうやっけ?」

「彩ちゃんはもう名前にちゃん付けだもんね」

「それは本人からそう呼ぶようにって言われたからやぞ?」

「………なら、私も、ね?」

 

 いつになく積極的な私。

 それはきっと手を繋いでるせいだ。彼の肌から伝わる温かさが私を混乱さしているからに違いない。

 

「花音ちゃん………で良いのか?」

「え!?あ………うん」

 

 びっくりした。何の前触れもなく言うんだもん。

 

「なら、折角やし言うけど、自分では気づてへんのかな?いつの間にか敬語が外れてる気がするんやけど」

「わ、私が?そういえば………ホントだね」

「まぁ俺は今のままで構わんよ。そっちの方が花音ちゃんらしいし」

 

 彼の指摘につい頷いてしまう。

 本人は気にしないと言ってくれているが改めて言われてしまうとどうしても意識してしまう。

 

「じゃ、じゃあ!行こ!」

「おおっ、と。花音ちゃん、そっちじゃないよ」

「………むぅ」 

 

 ーーーこの後。

 

 私達は予定通り、イルカショーを観賞して思う存分に楽しんだ。水飛沫が飛んできたり、イルカの派手な回転ジャンプに、とショーは無事に成功を収める。

 ショーが終わる頃にはもう夕暮れ。遅くなるわけにもいかない、と彼は帰ることを提案し最寄り駅まで一緒に帰ることに。

 電車に乗るまで手を繋いでいたという事実にお互い照れてはいたけど………。

 それを含めて今日は充実した一日と言える。彼も同じことを思っているのかな。思ってくれてたら嬉しい。

 

「んじゃ、また」

 

 朝、出会った場所でその日、彼と別れた。

 ただ、朝と違うのは、朝に感じることのなかった空虚感を誤魔化すように私は帰り道の最中、今日の戦果であるクラゲキーホルダーの感触を味わっていたことぐらい。

 そのまま、自分の気持ちに整理をつけることはなく、私はその日を終えることにしたのであった。

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 羽沢珈琲店内。

 

「それで花音ちゃん、水族館はどうだったの?」

 

 あの水族館デートから数日後。

 偶然のタイミングで学校からの帰り際に彩から直々のティータイムの誘いが来たので、花音は約束場所に指定された羽沢珈琲店に立ち寄っていた。

 こんな質問が飛んできたのは彩の向かいに座り、店員兼友人のつぐみにドリンクの注文を頼み終えたその時である。

 

「え?」

「え?じゃなくて!!私にも聞かせてほしいなぁ~」

「そんなぁ………誰にも話してないから~」

「なら、尚更!!ね?お願い!」

「う~ん………」

 

 若干の照れと一緒に天井を仰ぐ。

 

「とは言ってもね、あの日は予定通りに蒼真君と水族館に行っただけだよ?あ、クラゲキーホルダーも無事に買えたんだ」

 

 バッグに付けてあったそれを見せる。

 ただ、彩はそんなことでは満足してないようで。

 

「そうじゃなくてね、ほら!………どう言えば良いんだろう………」

「うん?」

「あ、蒼真君とは何か進展あったの?」

「進展?」

 

 果て、何のことやらと首を傾げる花音。

 その反応に彩はこれはまさかと言わんばかりに問い詰めることに。

 

「え?花音ちゃん………蒼真君の事、好きじゃないの?」

「ふぇ!?」

「勿論、ラブの方だよ?」

「ふぇー!?違うよ!?」

 

 一気に熱が頬に帯びる花音。

 

「てっきり花音ちゃん、蒼真君の事を好きだって思ってた………」

「確かに蒼真君は良い人だけど………」

「だってだよ、花音ちゃん。蒼真君と喋ってる時、とっても嬉しそうにしてたから」

「えっ!?ほんと!?」

 

 思わず両手を顔に当ててしまう。

 まだ少し頬が熱いことが肌を通じて己に伝わってしまう。

 

「本当に蒼真君の事は好きじゃないの?」

「………分かんない。蒼真君とはまだ知り合ったばかりでお互い知らない事が多いだろうし………でも、あの日から蒼真君の事を気になってるのは確かで………え、あ、これは違うから!」

「うん、そうだね~そうだもんね~」

「もう!彩ちゃん!今のは違うから!忘れて!!」

 

 わたわたとする花音にたまらず微笑んでしまった彩。内心では、これは面白い展開になってきてる、と気持ちが浮き浮きしてしまっていた。

 

「花音ちゃん、お待たせ~ってあれ?花音ちゃん、どうしたの?」

「つぐみちゃん!!それがだよ、花音ちゃんが恋をーーー」

「彩ちゃん!?」

 

 花音はまだ恋を知らない。花音にとってまだ男の人は怖い存在のイメージが定着していた。

 

 ーーー私って………蒼真君の事………。

 

 でも、この日を切っ掛けに恋の一端へと足を踏み入れてしまった。今はわからずとも、彼女は後に知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 花音編-1-『Aquarium』終

 




 因みにアフロではモカちゃん(絶世の美少女)。
 パスパレではイヴちゃん(ブシドーです!!)のカードを入手しました。

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