Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 花音ちゃん、マジ天使(挨拶)。
 まだ-1-が終わってない所もありますが、花音ちゃんが可愛いのが悪いんです。



-2の1-『Shopping』*

 ◇◇◇

 

 駅前広場。

 

「ん?あれは………」

 

 偶然とも言えるのかな。

 あの見覚えのある赤い服装。あれは俺らのボーカルがいつも着ているやつだ。

 俺は声をかけるべきか迷った。どうやら奴が誰かとお話し中という判断からである。

 また次の機会で良いや、と思考を巡らせながら歩き続けてると、奴の背中から徐々に別の人影が見えてきた。

 ふと、気になったので誰だろうと確認した。

 

 ーーーそして、俺の足が止まる。

 

 あの爽快な空模様を思い出す髪色をした少女。俺の知ってる人ではあの人しかいない。

 "松原花音"ちゃん。

 たまたま髪色が一致した別人の可能性もあるだろう。きっとそうだ。俺らのボーカルと花音ちゃんにはそもそも接点が存在しない。二人が此所で会話をしているなど意味不明だ。

 でも………。

 

 ーーーあの………それは………。

 ーーーちょっとで良いんだよ。教えてくれないか?

 ーーーわ、私………っ!!

 

 うん、わたわたしてる。花音ちゃんだ。

 彼女は目の前に意識を持っていかれているのか後ろ越しの俺に気づく様子はない。

 両方とも知り合いなので、変な方向へ話は行かないだろうが花音ちゃんが困っているのも事実。

 

「………めんどいな」

 

 愚痴を溢しつつ、二人に近づくことに。

 

「あんたって確かこの前の合同ライブにいたはずだろ?だったら少しでも良いから教えて欲しいんだけど」

「で、でも………知らない人には………」

 

 聞こえた感じ、ボーカルが無理に詰め寄って、花音ちゃんがそれに四苦八苦しているようだ。

 本来の奴はあまりしつこく迫ることはしない性格なので、俺が慌てることはない。 が、花音ちゃんの方は明らかに限界に近付いてきている。

 

「おーい」

「ん?………お」

「えっ………」

 

 軽く呼んでようやく二人が反応した。

 シンクロ率MAX並みの華麗に一致した動作で二人はこちらを見る。

 

「蒼真か」

「蒼真君!!」

 

 次に、二人して俺の名前を呼ぶ。

 

「「………え?」」

 

 そしてまた顔を会わせた二人。

 その反応の一部始終をくっきり見てしまった俺。

 つい一言が漏れてしまう。

 

「お前ら、知り合いちゃうんかい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 駅前広場。

 

「ーーー花音ちゃん。こっちが"秋野藍斗"。俺らのバンドのボーカルね。同い年やから敬語はなくても全然構わん」

「う、うん。分かった」

「はぁ~。んで、藍斗や、この子が"松原花音"ちゃん。俺と同じドラマー。天使。以上」

「おうよ」

「て、てんし………?」

 

 話を纏めよう。

 どうやら事の発展は我らのボーカル、藍斗のせいらしい。

 断定は出来ないが、駅前で花音ちゃんを偶然見かけて声をかけたは良いが話が噛み合わなくなって困り果てていた。そこに俺がちょうどよく登場した、とのこと。

 ………俺、花音さん関連だとぴったりのタイミングで毎回登場してる気がするな。

 

「それより、藍斗」

「ん?何?」

「なんでこんな所で花音ちゃんに喋りかけてんだよ。ほら、お陰で怖がってるやんか」

 

 花音ちゃんは藍斗視線では俺の背中に隠れるように配置取りをしていた。指で少し自分の服をつままれる感覚も何となくする。

 藍斗が怖かったのだろうか、花音ちゃん。分かるよ。こいつ、茶髪だからパット見、チャラそうにしか見えない。

 恐る恐るこちらの様子を伺う藍斗は諦めたように本音を口に出す。

 

「名前を聞きたかったんだよ」

「………ナンパやない?お前………」

「ナンパ?………ち、ちげぇよ!?」

 

 なら、何だというのだ。

 見知らぬ女の子に名前を唐突に尋ねる現象を他に言い表せる言葉があるのか。

 

「バンドの方だよ!!」

「え………?」

 

 これは俺ではない。花音ちゃん。

 よし。大体、大まかな状況は掴めてきた。こいつの悪い癖が引き金となっている。

 藍斗は昔から言葉足らずな少年であった。肝心なときに肝心の要素を無意識にふっ飛ばしてしまうので、勘違いされることも日常茶飯事。

 その癖は高校生になっても変わらない。

 

「花音ちゃんのバンド名はハロハピ」

「う、うん。"ハロー!ハッピーワールド"って言います………はい」

「ハロハピ………そう!それ!それだ!」

 

 藍斗の声に驚いた花音ちゃんがぎゅっと俺の服の端を握りしめた。

 そして、こいつは理由を語り出す。

 

「この前の合同ライブの時に出てたのは覚えてたけど、バンド名をどうしても思い出せなくてさ。その時にあんたを見かけたからつい!すまん!」

「あ、はい………そういうことなら」

 

 藍斗が頭を下げた事に花音ちゃんも少しは警戒心を緩めたようで、俺の隣へと移動してきた。

 

「そう言えば、藍斗。時間は大丈夫なんか?何か大事な用事あるとか言っとったやろ」

「………お、お!?ヤバイ!?遅刻してまう!?じゃ、オレ、もう行くから!!」

 

 そそくさと退散する藍斗。

 相変わらず一つ覚えると一つ忘れる馬鹿の象徴みたいな行動しやがって。

 ライブでの藍斗のボーカルの実力は素直に認めてるのだが、こういうプライベートになると一気に堕落してしまうのだから人はそう簡単に行かないものだと毎回思う。

 他のメンバーも藍斗と似たようなめんどくさい部分を持ってるのだから毎回纏めるのには一苦労。

 さてと。

 今は置いてきぼりの花音ちゃんのアフターケアをするのが最優先事項だ。

 

「ごめんな、花音ちゃん。あいつ、悪い奴ではないんやけど………馬鹿な奴なんよ」

「ううん。私こそ変な勘違いしてたみたいだったから。お互い様だよ」

 

 この件はどちらにも非がない。

 というのも少しおかしい気もするが、藍斗のあれに慣れるのには時間がかかる。

 今回は俺が早めに仲介に入れてたので一安心。

 

「あ、そういえば………」

「どうしたの?」

 

 俺はここで重要な事を思い出す。

 

「藍斗の奴、彼女おるで。れっきとしたリア充やな」

「えぇっ!?」

 

 ナンパ?と俺が呆れて聞いたのもそれが理由の一つ。とは言え、藍斗がナンパをするとは思っていなかったが。そもそも恋愛面では相当のヘタレだし。

 話を戻すが、俺は藍斗の彼女さんとは数回会ったことがある。特徴を上げるとなると、年上の包容力高そうな女の人。なので藍斗のあの癖も普通に見抜くぐらいの寛容さを備えている。

 花音ちゃんにはこれが相当衝撃の事実だったようで、驚嘆してるまま停止。

 と、思えば、視線を下に向けて小さく口を動かす。

 

「………蒼真君は………」

「ん?」

「………ううん。何でもないよ」

 

 花音ちゃんが何か言おうとしていたのは気付いたが、まったく聞こえなかった。

 本人が首を横に振って微笑みを見せてくれるのだから下手な追求は出来ない。

 

「それよりも蒼真君はどうしてここに?」

「買い物。最近、欲しいものが店に入荷されたって聞いてな。暇がある内に買いに行こうかなっと思って」

「ほんと!?私も今日は買い物行こうかなって思ってて………それで………折角だから………」

 

 モジモジと恥ずかしそうに人指し指を合わせる花音ちゃん。

 

「助けてもらったお礼も兼ねてなんだけど………買い物、一緒に行かない?」

 

 花音ちゃんは小首を傾げる。

 顔をトマト以上に真っ赤にして、加えて花音ちゃんの目元もうるうるとしてしまっていた。彼女が決死の勇気で告げたのだと思い知らされる。

 もう、これは………断れまい。

 

「全然いいよ」

「あぁ………良かったぁ~」

「俺が責任もって、花音ちゃんが迷子にならないように見ておくわ」

「え、え?………あ。そ、そういうことじゃないよ!?もぅ!!」

 

 からかわれた、と気付いた花音ちゃん。違う意味で頬を赤く染めていた。

 可愛い、と脳内思考を埋め尽くされていた俺は近くに詰め寄ってくる彼女の懸命な抵抗を適当にあしらう。

 

「ほら、まずは切符から買うよ。お金はーーー」

「流石にそれぐらい分かるもん!!蒼真君!!私のこと、馬鹿し過ぎだよ!?」

「ははは」

 

 一回目はファーストフード店。傍らには彩ちゃん。二回目は駅前の広場。藍斗が引き金。

 

 ーーーなんともまぁ花音ちゃんとは奇妙な再会続きだこと。

 

「蒼真君、早く行くよ」

「花音ちゃん………だからそっちじゃないって」

「えっ!?」

「………嘘やで」

「っ!!??もぉぉおお!!!」

 

 俺はそんな思考を心の片隅に押し寄せ、不機嫌気味の花音ちゃんと共に電車に乗るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -2の2- へ続く。

 




 ボーカルの彼女はバンドリ関係ないです。

お気に入りの話はどれですか?「花音編」

  • -1-『Aquarium』
  • -2-『Shopping』
  • -3-『Conclusion』
  • -4-『Braeker』
  • -5-『Proof』
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