って、ことでこれを軸に他のドラマーの話も広げていく予定なので頭の片隅に放り込んでおいてください。
後、いきなり話が重くなります。シリアス。特に次回。
最後に……-3-はこれだけです。最終話へのプロローグ的な回と思ってくれたら読みやすいかな、と思うんでごゆっくりどうぞ。
◇◇◇
都内の喫茶店。
「今日はありがとうね」
窓際のテーブルに腰かける二人の少女。
ライトブルーな髪をツインテールに括った少女は"松原花音"。対して、ブラウン髪をポニーテール風にしてあるもう片方の少女の名前は"山吹沙綾"。
「いえ!急な誘いだったのはびっくりしましたけど今日は練習もないので全然大丈夫です」
「うん………本当にごめんね」
「謝らないでくださいよ~。反応に困りますって」
二年生と一年生。
ドラマーという共通点をあるとは言え、上下関係はちゃんとしておきたいのは沙綾の意思である。
でも、花音がしつこいほど罪悪感を感じているので対処に沙綾は困ってしまう。
沙綾に連絡が来たのは一時間ほど前。大事な用件があるとそこに書かれており、沙綾は約束場所に指定されたこの喫茶店に足を運んでいた。
「それで話って言うのは………」
「あー………うん。そうだよね………」
言葉の切れが悪い花音。
その一部始終を見ていた沙綾は恐る恐る己の予想を口に出すことに。
「山吹蒼真について………ですね?」
「ふぇ!?な、なんで!?」
「私への相談なので、花音さん先輩と私の繋がりからじっくり考えてみて………ドラム、もしくは蒼真関連の二択が真っ先に思い付いたんですけど………」
最後の決めては勿論ある。
「もしドラムの相談なら、花音さん先輩は蒼真本人に言うんじゃないですか?」
「えっと………それはその時にならないと何とも言えないけど………」
「なら」
「うん、今日は蒼真君の事で沙綾ちゃんに聞きたいことがあって………」
「私に答えれることなら何でも」
「ありがとうね、沙綾ちゃん」
―――あ~………そうだよね。
花音の微笑みに沙綾の胸は何故かきつくなる。
ざわつく不安なこの感情を沙綾は目の前の彼女に悟られぬように必死に抑えていた。
「まず………なんだけどね」
「はい」
「沙綾ちゃんと蒼真君って………付き合ってたり?」
「そんなことはないですよ?今も昔も親戚の関係のままですし」
「あっ、そうだったね………なら、蒼真君って………その………今、彼女さんとかは………居たりするのかな?」
「ソウ君の彼女………うーん………」
びくびく、と返答を待つ花音。
あまりのその華麗な待ち姿に沙綾の心ではいたずら心が芽生え始めていた。
「いたらどうするんですか?」
「えっ!?」
「どうするんですか?」
「もしそうだとしたら………私は………諦めるだけ………だね」
「告白はしないんですか?」
「告白っ!?そんなの私には無理だよ!?」
「それじゃあ花音さん先輩の片想いになりますよ?」
「………うん、そうなっちゃうね………」
「ぷっふ………あはは!!」
「ふぇ?」
顔を真っ赤にして否定する花音にたまらず沙綾は我慢できずにとうとう大爆笑。理解が追い付かない花音はポカーンとただ沙綾の笑う姿を眺めるだけ。
一笑いして落ち着いた沙綾はゆっくりと花音に対して説明をしていく。
「花音さん先輩、ソウ君が好きなんですね」
「ふぇぇ~。私ってそんなに分かりやすいのかな………」
「先程の会話を思い出してみてくださいね。私、花音さん先輩がソウ君を好きなのを前提で話してるんですよ?」
「えっ?あっ、確かに。言われてみれば………」
「私だったから良かったものの、今後は気を付けてくださいよ~。特にソウ君本人に気付かれてしまうと堪ったもんでもないですし」
「お勉強になりました………」
一手を盗られてしまった花音。いつにもまして萎縮してしまっている。
これは流石にやり過ぎたか、と思った沙綾。
ちゃんと質問に答えようとした矢先―――
「それにしても、こういう所は二人とも従妹らしく似ているんだね」
「え?どういうことですか?」
「蒼真君と沙綾ちゃん、どっちもイタズラ好きな所」
「ソウ君は否定しないですけど、私はそんなにですよ?」
「なら、蒼真君のイタズラ好きが沙綾ちゃんに移っちゃってるのかもしれないね」
「………」
自分の無意識を他人に指摘される。そうなってしまった人は気恥ずかしい気持ちに包まれるものだ。
余計な事は考えまいとした沙綾は誤魔化すかの如く話題を変換。
「話を戻しますね!」
「ふふ、うん」
「ソウ君………あっ。蒼真のことなんですけど」
「どっちの呼び方でも私は気にしないから、沙綾ちゃんの好きにやっても全然いいよ?」
「すみません………話が全然進みませんね」
「ふふ、そうだね」
からかうと可愛い。けど、やはりこの人は先輩だと痛感した沙綾。
「私の知ってる限りではソウ君に彼女はいないはずだと思います」
「………こういう時はどういう反応をすれば良いのかな?」
「良かった、で良いんじゃないですか?」
「良かった………」
「いや、そんなドラマ風に言わなくても」
花音に変なスイッチが入ってしまった。
「ただ………」
「他に何かあるの?」
「うーん………あることにはあるんですけど………」
様々な事情が重なり、話せない。
そんな態度を見せる沙綾ごときでは今の花音は止まらない。
「沙綾ちゃんには知ってることだけでも話してほしい。私、蒼真君のこと何も知らなさ過ぎるから。少しでも蒼真君に近づけるのなら………私は後悔なんてしたくない」
「花音さん先輩……」
「でも、同時に沙綾ちゃんには無理に話して欲しくはないかなって気持ちもあるんだよ。だって………沙綾ちゃんも蒼真君の事、好きでしょ?」
「………えっ?」
花音はにっこりと笑顔を浮かべる。
「今日会ってみて私、確信したんだ。沙綾ちゃんも私とおんなじ女の子なんだって」
「ちょちょ!ちょっと待ってください!」
一人進める花音に沙綾の慌てぶりが目立つ。言葉の意味が徐々に飲み込めてきた沙綾はようやく否定モードへ起動する。
「私がソウ君を!?好き!?ですか!?」
「うん」
「な、何でそうなるんですか!?」
落ち着こう。
蒼真とは沙綾にとって単なる従兄だ。ドラムの師匠でもあるが、そこに恋愛などの感情はない………はず。
確かに、彼との時間は心地よいと思ったことはある。それだけ、それだけだ。
「あれれ?違うの?なら、ごめんね?」
「ぐっ………」
台詞だけで見れば、花音は自らの失言を反省して謝ってるように見えるだろう。
だが実際は違う。こうやって挑発して沙綾を正直な乙女の世界へ誘っているのだ。
「正直………まだ分からないです………」
「そっか………余計なお世話だったね」
「いえ、優柔不断な私が悪いんです」
互いに話がしにくい方へと進む。
その空気を破ろうと、その場に立ち上がり両手を合わせた花音がきっぱりと宣言。
「よし、沙綾ちゃんの恋ばなは今日はこれで終わり!沙綾ちゃん、良いよね?」
「はい、分かりました!」
今日は………である。沙綾は気付かない。
「それで、話を振り返すようで申し訳ないんだけど………沙綾ちゃんがさっき言おうとしてたのは………?」
「そうでしたね。私が中学生の話です」
「うん」
「軽音部の子達から噂程度で聞いたんですけど………」
ごくり、と息を飲む花音。
やがて、沙綾はそれを口にした。
「ソウ君にはその頃―――」
◇◇◇
後日談。
―――
花音にとって、あの日の沙綾の発言は彼を成している根源へと触れる一歩の始まりとなる。
だが、花音本人はまだ知らない。
それが彼を苦しめていると。それから彼は必死に逃げていると。そして、それを彼は今でも掴んで放さないことを。
沙綾も知らない山吹蒼真の空白の一年間。
………扉はゆっくりと開いていく。
松原花音編-3-『Consultation』終
*ロゼリアのライブ、外れたぁぁぁ!!
さて、やたらUA数が伸びてるなぁ………と不思議に思っていたら、4月3日の夜、ランキングに92位とは言え、載ってました。ありがとうございます!やったぜ!
今後もよろしくお願いいたします。
《特に意味もない補足シリーズ》
・花音ちゃんが恋を自覚してるだと!?
→既に別の何人か(美咲など)に相談した結果、主人公を好きになってしまっていたと知ってしまった花音ちゃん、可愛い。
・花音と沙綾
→個人編でドラマーが二人以上で会話をするのは初!でも、呼び方が分からない!
・沙綾の恋心
→安心してください。沙綾編でじっくり炒めていきます。
・蒼真の空白の一年間
→沙綾自身も母親の入院やバンド脱退の時期と被ってしまい、その頃の蒼真の詳しい事情は知らない。
お気に入りの話はどれですか?「花音編」
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-1-『Aquarium』
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-2-『Shopping』
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-3-『Conclusion』
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-4-『Braeker』
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-5-『Proof』