Dreamer of Drummer   作:ソウソウ

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 アンケート機能追加されたみたいだけど、どうやるのかがまず分からない………。

 花音ちゃん、まじ天使!(挨拶)



-5の2-

 ◇◇◇

 

 電車での移動中。

 

「卵も良いけど、やっぱり丸やない?」

「蒼真君のバンドスタイル的には丸が一番合ってると私も思うよ?でもハロハピだと、卵か涙で落ち着いちゃうかな………細かいおかずが多いからその分、粒もはっきりさせないといけないし」

「あ、それもそうか。ハロハピの曲はパレードっぽい雰囲気の曲が多いもんな。やっぱり、シングルよりもダブルストロークを使う機会が多い感じ?」

「そこまで頻繁には流石に使わない………あっ。でも、ダブルを高頻度で使わないと叩けないフレーズ、ハロハピだと多い気がするのは確かかもしれない」

「となれば、花音ちゃんはテクニカルタイプのドラマーかもしれんな」

「ふふふ、ありがとう。だとしたら、蒼真君もテクニカルだと思うよ。ツーペダとか私、使ったことすらないもん」

 

 電車のとある座席に座る二人。

 何を題材に話すかと思えば、まさかのドラム機材。赤の他人が盗み聞きを立てても意味不明な単語が飛び交う。

 

「今度、蒼真君に教えて欲しい事があるんたけど、良いかな?」

「内容による」

「えぇ~。ゴーストノートを覚えてみたくて………周りにそれが出来る人がなかなか居なくて」

「あぁ………うん?ゴーストノート?花音、ライブで既にやってなかったっけ?」

「ううん。ちゃんと意識し出したのはここ最近になってだよ?でも、ダウンストロークのやり方でちょっと躓いちゃって………蒼真君のアップダウン奏法、とっても綺麗だから、私にもそのコツとかを教えて欲しいなって」

「別に教えるのは構わんけど………にも、って何だ?にも、って」

「え?だって蒼真君、あこちゃんとか色んな人のドラムの先生やってるって聞いたから」

「ただアドバイスをしてるだけなんやけどな………まぁ良いや。今度、都合が空いた日にでもスタジオで」

「うん」

「俺の指導は只じゃ済まされないぞ?」

「楽しみにしてるね」

 

 ―――まもなく、次の駅の………。

 

「あっ、この駅。次の駅で降りるよ」

「さいですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 ショッピングモール。

 

「んで、花音ちゃんはどの店をご所望なのかな?」

 

 目的地には無事に到着。

 俺にとっては初見の場所であったが、予め名前だけは花音から聞いていたのでスマホの地図アプリを参考にどうにか。

 と言うか、改札口を通れば目の前に案内板があったからそこまで苦でもない。

 相変わらず、方向音痴の花音は真逆の道を進みそうになっていたが。ここまで来れば、尊敬に値するレベルに花音の方向音痴問題は深刻なのである。

 

「えっと………ここの三階にメンズのお店が揃ってるらしいから、一先ずはそこに行きたいかな」

「三階ね、了解」

 

 エスカレーターを利用し、三階へ。

 人混みはボチボチ。昼の時間帯からなのか、多くの客はレストランやフードコートのある別の階層に集中してそうだ。

 と、考えていれば自然とお腹は空いてしまうというもの。

 

「そういや、昼飯どうする?」

 

 興味は現在、それしかない。

 

「あっ………どうしよ?私は何でも良いよ。蒼真君の好きな物でも大丈夫」

「言ったな?」

「へ?」

「なら、辛い系で。折角やし、地獄並の奴とか無いかな~」

「か、辛い………?ぜ、全然………?へ、平気だよ………?」

 

 見栄を張る花音。目が完全に泳いでいる。

 

「ま、嘘やけど。俺も辛いのは無理やし」

「………」

「痛っい!?―――ん??」

 

 左側の腰元をつねられる。

 たまらず痛みの原因へ目を向ければ、冷酷なまでに冷えた視線を送る花音の姿があった。

 

「何か言いたい事はありますか?」

「………昼飯は奢るから」

「うん。なら、さっきの嘘は許しておきます♪」

 

 この子、怒らせたら怖いタイプだ。

 肝に命じておこう。命だけは惜しい。

 

「あっ、この店だよ」

「此処?先に入るんか?」

「もう店前まで来ちゃったし、店内を見てからご飯でも遅くないと思うけど。良いかな?」

「花音が良いなら別に構わんよ」

「なら、入るね」

 

 奥行きある空間に並ぶ店の数々。

 その一つに足を止め、店内へと俺と花音は踏み入れる。

 落ち着いた雰囲気の店。花音の見立て通り、男向けの洋服が狭しばかりに陳列されてある。

 だが、俺が気にしたのはそれでない。

 

「お客、女性ばっかだな………」

「レディースも沢山置いてあるからかな?あっ、男の子向けの服はこっちだって」

 

 この店は二刀流スタイルなのか。

 いや、単に男女どちらでも使用可な商品を取り扱う数がシンプルに多いだけのようだ。女性客は勿論、男性客もちらほら確認できた。

 店内を眺めつつ、先陣を切る花音の後ろを付いていく。

 

「蒼真君はここで待ってて」

「え?俺は待ってるん?」

「うん。私が何個か持ってくるから蒼真君は試着して気に入った物を選んで欲しいなって」

「そうなると花音に全部一任するけど………えぇの?」

「任せて」

 

 そして、花音は店の奥へ姿を消す。

 完全に彼女頼りな展開になってしまった。実質、服のセンスに関しては全く理解不能なレベルなのでとても有り難いのは確か。

 適当に空いていた椅子に座って待つ事に。

 

「蒼真君、これちょって着てみてくれないかな?」

「………持ってくるの早いな」

「予め目星だけは付けてたから。ほら、お願いします」

 

 これはパーカーかな。

 試着する服を持たされた俺の背中を押していく花音。俺を早く七変化させようとするのは分かるが、そこまで躍起になる理由は不明。

 誘導先は案の定、試着室。

 注意書きには店員に一言かけるようにとあったので目についた近くの女性店員に声をかけておいた。

 

「着替え終わったら出てきておいてね!私、また別のお洋服を取ってくるから!」

 

 花音さん、上機嫌ですね。

 試着室に入り、花音選別のパーカーへと衣装チェンジを行う。上半身だけなので特に時間もかかる事なく終了。

 

「ほい終わったぞ~………っと、居ないか」

 

 扉代わりのカーテンをひらり。

 花音の姿が無いのでまだ店の何処かで選んでいるようだ。

 

「今日は彼女さんとおデートですか?」

「え?」

 

 めっちゃびっくりした。

 先程、声をかけた女性店員が話し掛けてきたのだ。正直、花音が戻るまでは平和だと油断しまくっていた。

 

「彼女とはそんな関係じゃ無いですよ」

「あっ、そうなんですね。私、てっきりお二人はカップルかと」

「ちょっとした楽器仲間?って感じです」

「それは羨ましい事で。お店に入ってからの一部始終を見させて貰いましたが、お二人は仲が良いんですね」

「そうですかね?まぁ悪くは無いかと」

「加えて彼女さん、とぉぉ~っても!!可愛いじゃ無いですか!!貴方もそうは思いません?」

「えぇ………あっ、はい」

 

 めっちゃぐいぐい来るやん、この人。

 

「私の見た感じでは彼女さんも貴方の事、悪くは思ってないと思います。行くなら今がチャンスです」

「は、はぁ………」

「あっ、戻ってきたみたいですね。ではこれで失礼します。ごゆっくりお楽しみくださいませ~」

 

 嵐の如く、店員は去っていった。

 

「なんか………すげぇな………」

「蒼真君?どうしたの?」

「いや、花音………何も無い。何も無かったんだ」

「ふぇ?」

 

 インパクトが有りすぎて、もう………ね。

 さてと、この後についてだが。

 残念ながら特に詳細に語るような場面はな

い。

 あえて、言うなら何回か試着からのお披露目が続き、花音がやたら俺の着た服にチラチラ視線を外したりする等の反応をしていたぐらいだろうか。

 疑問に思いつつも無事に何を買うかは決められたので結果オーライとする。

 

 その後―――。

 

「花音ってさ」

「うん」

「どうして俺なんかに………やっぱ良いや」

「えっ?そこまで言っちゃったのに止めちゃうの?」

「今のは忘れてくれ。それよりも―――」

「話逸らそうとしてもダメです~。最後まで言ってくれるまで蒼真君とは今後一切話しません」

「そこまで拗ねなくて………あっ、クラゲアイス販売してるやん」

「クラゲ!?ど、何処!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 帰り道。

 

「今日もまた色々買ったな………」

 

 蒼真はぶら下げる荷物を他人げに眺める。

 女の子の買い物は長期戦と知識はあった。とは言え、これまでの蒼真の身近な人物に実現するような者は居なかった。

 妹の悠希は買い物は淡白に済ます。沙綾とはそもそも二人で出掛ける機会がない。そして、昔の彼女もまた同様に。

 大量の紙袋。それ自体一つ一つの重さは無いが、まとめて持ってみれば腕がキツイと感じるのも仕方がないのだ。

 

「これで今年の分は大丈夫だと思うよ」

「今年………?」

「うん、今年」

「ってことは来年も………」

「まさか、蒼真君。これだけで一年をやり過ごそうと思ってる?」

「ちゃうの?」

「ちゃいます!!」

 

 花音に関西弁で怒られた。

 男女で洋服の価値観の違いが顕著に出てしまう。蒼真はファッションに関しては無頓着を一途に貫くように。今日の成果の期限が季節一個で切れてしまうなどと、蒼真は想像すらしていない。

 

「またしばらく経ったら、行くからね!」

「またぁ?」

「文句言わない。勿体無いよ?蒼真君。折角カッコいいのに普段からお洒落しないなんて。ライブの時以外もちゃんと気を付けないと―――」

「カッコいい?カッコいいのか」

「うん?あっ…………」

 

 花音の歩く足が止まる。

 少し進んだ蒼真が遅れて停止。振り向くと、顔を真っ赤に俯く彼女の姿があった。

 完全な自爆である。

 無意識に口から出た思い。花音にとってそのまま過ぎ去れば良いものを、耳の良い蒼真は拾ってしまった。

 

「蒼真君のけち………」

「なんでやねん。でも、ありがとう、花音」

「ふぇ?」

「今日一日ずっと俺に付き合って貰って。ここまで助けて貰って。誰にも言うチャンスが無かったからこれまで放置してたんやけど、花音のお陰で色々助かった。ありがとう」

「ど、どういたしまして………」

 

 さっきとは違う照れが襲う。

 彼のこういう所がズルいと花音は必死に邪念を抹消する。いきなりお礼を言うなんて卑怯極まりない。

 

「………帰ろっか」

「うん」

 

 気温も一段と下がる時間帯。

 彼の隣に並び立とうとした花音がまた新たに一歩を出して―――

 

「………っ!!」

「花音?どうした?」

 

 唐突に発生した痛み。

 顔が少し歪み、不意に漏れた声。蒼真は聞き逃さなかった。

 

「………」

 

 蒼真は花音の足元を見た。

 

「だ、大丈夫だから。何でもないよ?段差に躓いちゃっただけだから」

「お前は何処まで俺を助けるつもりなんだ?」

「ど、どうしたの?蒼真君こそ………」

「足、見せてみ。右足」

「それは………」

 

 完全に見破られている。

 抵抗も虚しく、花音は素直に従った。ちょうど近くにベンチがあったので其所に移動。

 ゆっくりと座り、右足の靴を自ら脱ぐ。

 花音の足元に膝ついた彼はそっと右足を添えるかの如く優しく持つ。

 

「やっぱり靴擦れしてんね。ここまで無理せんでも」

「ごめんなさい。折角のお出掛けだったから、新しい靴にしてみたけど………逆効果みたいだったね………」

「そっか。応急処置だけでもしたいんやけど、生憎そういうのが今手持ちにないんだよな………」

「大丈夫、うん、大丈夫だから。家も近いし、これぐらい―――」

「信用ならんよ。今の花音のそういう台詞」

「ふぇぇ………」

 

 見事に撃沈。

 ただ、互いに困り果ててしまう。花音の家が近いのは本当だが、今の彼女にこれ以上の無理だけは禁物。

 と、蒼真が曇り空を見上げる。

 

「雨?」

「あっ、ホントだ」

 

 顔に触れるひんやりとした雨粒。

 ある意味、タイミングとしても最悪な天候の到来だった。

 

「もうこれしかないか」

「えっ?これしかないって、どういう………」

 

 雨足が弱い今の内に。

 蒼真は花音に対して、しゃがんだまま背中を向ける。

 

「ほら、乗ってくれ」

「えぇ!?で、でもそれだと蒼真君の負担が………」

「構わん。ドラマー舐めんな」

「ドラマーは関係ないと思うけど」

「そこは案外、冷静なんだな………」

 

 でも、選択肢は他にない。

 息を飲んだ花音は蒼真の背中を前に覚悟を決めた。

 

「それじゃあ………」

 

 ゆっくり。慎重に。

 蒼真の背中に体重を掛ける。密着した身体に緊張が高まりつつも彼の首元に両腕を回した。

 

「………大丈夫?」

「ど、どうにか」

「えっ?本当に大丈夫なの!?」

 

 と、大きく揺れる。

 花音は懸命に蒼真の背中にしがみつく。

 やがて揺れが収まる。瞼を開けば、見える景色がいつもより高くなっていた。

 

「おっ。雨が強くなってきた。このまま行くけど、準備はOKよな?」

「う、うん………」

「後は荷物を持って、と」

 

 ―――高鳴る心臓。

 

「うん?ん?そんなに力強くしがみつかれると、荷物がとれへんのやけど………」

 

 抑えきれない衝動に芽生えた花音。

 降り注ぐ雨の雑音に気持ちはひんやりと後押しする。

 二人の髪が水滴を含み、濡れていく。

 

「………待って」

「か、花音………?」

「………ごめんね、このまま待って欲しいの。後、もうちょっとだけ。もうちょっとで準備出来るから………」

 

 ぼそっと聞こえたのは小さな我が儘。

 何を待つのか。蒼真は空気を察してなのか、問う事はしなかった。

 

 じっとその時を待つ。

 

 ―――空は未だに雨模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -次回、花音編最終回!-

 




*ドラマー語句解説は下になりまーす。

『前半だけ補足しちゃうよシリーズ』
・最初のシーン、何これ?
→普段はカットですが、二人はこんな感じで雑談してますって感じで書いてみました。ぶっちゃけ、ただの文字数稼ぎ&自己満足です。


・卵、丸、涙
→ドラムスティックの先端部分の名称。
 先端の形が違えば、勿論、ドラムを叩いた時の音も変わる。ロックやジャズ等、ジャンルによって向き不向きが存在する。


・粒、おかず
→連打の時、一回一回叩いた音がちゃんと耳に届く連打は粒がしっかりしていると言う。逆に粒が悪いと、ドラムの連打がごちゃ混ぜに聴こえてしまい、あまり上手いイメージを与えられない。
 おかずとは曲の転換の際、ドラマーが派手なフレーズを叩く事が多い。その瞬間をおかずと言う。別名、フィルイン。ドラマーが目立つ時はほぼこれ。


・ツーペダ
→ドラマーが足で踏んでるあれ。
 それを両足でも踏めるようにしたのが、ツーペダル。ペダルを踏むと連動して、ピーター(バスドラをボコボコにしてる奴)がバスドラのヘッド(直接叩く平面部分)へと突き動く。
 因みにドラマーの中でも足の技術になると、ツーペダが出来るか出来ないかで二手に派閥が分かれてしまうと思っている。
 あこ、巴は確実に出来る(あこの場合はツーペダではなく、ツーバス)。麻弥は曲の都合上使用せずなので、実力は未知数。だが恐らく、個人的にツーペダは出来ると予想。
 残りの沙綾と花音は多分出来ない。どちらも演奏する曲の中でツーペダを使う機会が無いため。


・ゴーストノート
→エイトビート等を叩いてる時に微かに聞こえる小さな音を指す。主に左手によるスネアの音。
 上手い人がやると、全体にウネリが生まれ心地よいリズムを感じ取れる。
 初心者がやると、出した音が無駄に騒がしくなってしまい、全体の音のバランスが不安定となってしまう。
 案外、難しい技術。ギターやベースにもある。


・ダウンストローク、アップダウン奏法
→特にハイハットを叩く時に使用する。
 手首を駆使し、高い位置から打ち下ろし低い位置で停止させるテクニックをダウンストロークという。
 そこにアップストロークを合わせ、繊細かつ速くリズムを刻めるようにしたのがアップダウン奏法。

・「さいですか」
→意味、そうですか。

お気に入りの話はどれですか?「花音編」

  • -1-『Aquarium』
  • -2-『Shopping』
  • -3-『Conclusion』
  • -4-『Braeker』
  • -5-『Proof』
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