最近は執筆にまとまった時間が取れず、空いた時間を使ってでの執筆作業となってます。つぎの投稿までそれなりの時間がかかるかもしれませんこと、ご了承のほど、お願いします。
勿論、送られた感想などは読んでますのでお気楽にどうぞ。お待ちしてます。
◇◇◇
寝室。
「ふわぁ………」
早朝の日差しが眩しい。
上半身をベッドから起こす。腑抜けた体を伸ばそうと両手を組んで天井へ引っ張り上げた。
今日は久々の休日。
全国を一周するライブツアーも先日でラストを迎えた。チケットも全会場で即売り切れとらしく、もう何処も熱量が半端ないぐらいにしか記憶がない。
半年かけた割には怒涛の毎日続き。あっという間という言葉をこれ程痛感する羽目になるとは。
思い出に浸るのも程ほどに。
折角の休みだ。睡魔に従い、二度寝も有りだなと心の悪魔が決定を下した所でふと気付く。
「ん?………なんだ。沙綾か」
「んにゃ~」
視線を下に行けば、一人の女の子。
寝顔を存分にさらけ出し、挙げ句の果てにはむにゃむにゃ謎の寝言を呟く始末。
普段のキリッとした顔付きはない。ゆるゆるに緩んだ口元。きっと楽しい夢の中で満喫してるに違いない。
帰宅時には既に就寝していた筈の彼女がいつベッドに入り込んだのか疑惑はさておき、いたずら心に火が付いた。
試しに頬をつついてみる。
「ん………やぁ………」
なんだこの可愛い生き物は。俺の彼女だ。
存分に味わってやろうと再び、彼女にちょっかいをかけようと試みる。
人差し指を伸ばす。
沙綾の頬っぺたに触れようとした―――
「………ソウくん………」
「っ!?………起きた?」
「………zzz」
返答はない。ただの寝言か。
びっくりしたせいで瞬時に指を引っ込めてしまった。
何だか気が引いてしまった。
ふと、久しぶりに二人分の朝御飯を作ろうと思い付いた。普段は沙綾が担当だがたまには良いだろう。
ベッドを脱出しようと動き出す。
「………ソウ君?」
もぞもぞした気配に沙綾の意識がうっすらと目覚めた。
半目を開けて、寝惚けた視線を送る彼女は無言で俺に向けて両手を伸ばす。寝たままの姿勢で。
この行為はハグの要求を意味する。
「取り敢えず、起きなって」
「けーち」
「でも、来るんやね」
素直に指示は従う沙綾。
起きた、とまたしても無言の要求をしてくるが実際はただ上半身を上げただけ。毛布がお腹から足元全体に乗っかったまま。
これ以上、文句を言っても無意味。
仕方無しにしてやる的な反応を示しつつ、俺は沙綾の背中に両手を回した。
ポンポンと優しく俺の左肩に乗せた彼女の頭を撫でる。
「おーい。俺の肩で寝るなって」
「は~い………」
「駄目だ、これ」
片肩が重い。
ずっしりと体重をかけられた。挙げ句の果てには両手を腰に回され、がっつりロックされた。
これは昨晩、沙綾は夜更かしをしてたみたいだ。俺が久しぶりに帰ると連絡したから出迎えようとして寝落ちしたパターン。
脳裏に点と点が繋がる感覚。
だから、か。帰宅すればリビングに料理とテーブルに顔を付けて睡眠していた沙綾がいたのは。
「ソウ君の匂いがする………」
「止めなさい」
「ん?これは………女の子の匂い?」
「………」
まずい。
「ねぇ~」
沙綾が起動した。
理由がまさかの俺に尋問をする為。運が悪すぎるとしか言えない。
「あれだ。飲み会にもRoseliaのメンバーもいたからちゃうかな………?」
「ロゼリア?………あ~、あこちゃんの匂いかな、これ~」
「まだ寝惚けてんのか」
朝から俺達は何をしてるんだ。
いい加減、せめて自由に身動きだけは取らせて欲しい所。
沙綾の女の子特有の匂い、密着された体と体。感覚は鮮明に機能してしまっている。
「流石に、ちょっと離してくれ」
「ええ~。離れるのはいやー」
「何時でも引っ付いて良いから、今だけは勘弁してくれ」
「言ったね」
雰囲気が一変した。
「………へ?」
「今の台詞、忘れないから」
「さーちゃん………完全に目が覚めてんな?」
「うん」
ってことは演技ですか。さいですか。
言質を入手したい為の強硬手段に沙綾は出た。相手が許しをこうまでひたすらしがみつくだけ。
「何がお望みで?」
「今日は私だけのモノになること」
「普段から変わらん気がする」
「へ?………そ、そうじゃなくて!!えっとね………」
ようやくロックが外れた。
顔を赤らめ、指をぐるぐると回す彼女のその姿を早朝から眺めるのは彼氏ならではの特権。
「ソウ君に甘えさせてくれないかな~………って」
「んなの、わざわざ許可を取らんくても。勝手にやれば良いのに」
「本当?」
「ほんと」
「本当の本当?」
「めんどくせぇな。俺はさーちゃん、君だけに全てを尽くすよ」
「うん………ありがと」
言ってて、恥ずかしいな、これ。
恋愛は初心者の沙綾は他人の情報に惑わされ易い。誰かしらに打診でもされたのだろうか。
香澄か、薫辺りが有力候補。
―――刹那。
「おっと!!」
沙綾が飛び付いてきた。
ギリギリで彼女を抱き抱えることに成功するのもつかの間、沙綾は大胆な行動に出てしまった。
反応出来ない自分に大ヒット。
「………ぷはっ」
「………それはちょっと話が違うんやない?」
「あれ~?何でも良いって言ったんじゃなかったっけ?」
一言。唇を奪われました。
「そうやけどさ………」
「もう。男ならシャキとしないと!」
「分かりましたよ、お嬢様」
満足そうな笑顔。
彼女のそれを見せ付けられると何も反論出来ないのが彼氏の定め。
何とも儚い生き物だろうか。人間とは。
「んで、いつまでこうしてんの?」
「ソウ君はもう起きたい?」
「さーちゃんの奴隷ですよ、俺は今」
「奴隷って………なら、私まだ眠たいから寝よ?勿論、一緒に」
「ありゃ。さーちゃんが二度寝するとは珍しい」
素直に従うけども。
そして、ベッドに再び横になった。
仰向けになり、顔を横に傾ければすぐそこに沙綾の顔がくっきりと映る。子供の頃に比べれば、やはり沙綾も俺も大人に成長した。
今では随分と慣れたが当初は緊張しまくっていたのを思い出す。
「………ソウ君」
「何?」
「頭撫でて」
「はいはい」
俺の胸元に顔を埋めてきた沙綾。
今日一日は彼女の言いなりだ。黙って、沙綾の髪を優しく撫でていく。
そして―――
「おやすみ、さーちゃん」
「うん。おやすみ、ソウ君」
◇◇◇
数分後。
「さて………」
沙綾は起き上がる。狸寝入りは得意だ。
羞恥心で夢の世界に飛べないのも一理あるかもしれないが、それは一時、置いておくとして。
彼と久しぶりに揃っての休日。
ツアー終わりの彼は疲労困憊のはず。なので、今回はその疲労を取っ払いつつ、とことん彼を癒す計画を企てた。
今、思えば相談相手がポピパのメンバーなのはちょっと間違えたかもしれない。
だって―――
『なら直接、揉むとか』
『おたえちゃん!?それはちょっと直球かな………って』
『え?りみ?肩の話だよ?』
『か、肩………?なんだぁ』
『なら、りみはどこを想像したの?』
『へぇ!?い、言えないよ!!』
おたえの案は保留。
『う~ん。美味しい物を食べる!!』
『お、意外とマトモな意見だな』
『有咲に褒められた!?』
『そこまで褒めてない』
『よし!!沙綾をご馳走すれば良い!!』
『それは駄目だ!!』
『うわぁーーん!!』
それは前やった。酔って覚えてないけど。
美味しい料理を提供する案は採用した。
『ただ恋人と一緒に寝るだけでも癒しの効果はあるらしいってネットにあったな』
『へぇ~、有咲は試したことあるの?』
『ば、馬鹿!!あるわけ無いだろ!!』
『と言いつつ、ほんとは?』
『………』
『あるんだ』
春が来たらしい有咲の意見も採用。
以上等から、沙綾は色々と準備をしつつ、計画を実行しようとした。
度々、計画の範疇を越えてしまうかれしれないけど。というか、もう何度か越えてしまったのは内緒。
「ふふ………大好きだよ」
彼の頬に軽く口づけ。
ライブの時に見せるカッコいい彼の顔とは違い、自分にだけ見れる寝顔はまた貴重であった。
こっそり抜け出し、ベッドを脱出。
次は彼が起きる時間を考慮して、彼の大好物を作ろう。朝御飯、いや昼御飯になっちゃうかもしれないけど。
そして、昼御飯の後は――――
「だーめ。今日はソウ君の休日なんだから」
自然と高ぶる期待に沙綾は胸の鼓動を抑えつつ、部屋を後にしたのであった。
沙綾大人編-2-『早朝対戦』 終
*作者の星4ガチャ報告(自慢したいだけ)
→りみりん(フェス限定)[基礎を大事に]
薫君[昔の呼び名]
ひまりちゃん[私達、参上っ!]
燐子[孤高のウィザード]
有咲[可愛いともだち]
が、当たりました(やったね!!)。
ドリフェス30連&星3確定ガチャ10連の結果となります。正直、ここまで一気に来るとは思わず、奇跡のクリスタルを楽器のレベル上げに費やしてしまい、枯渇しました。よって未だに全員が覚醒出来てません。まじごめんね。