書き散らす、短編集?   作:B-in

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Fate
聖杯戦争のアレ


 

 

戦場が有った

 

戦争が有った

 

闘争が有った

 

策謀が有った

 

陰謀が有った

 

裏切りが有った

 

騙し打ちが有った

 

そして、絶望が振りまかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

焼け野原だ。

 

全てが燃えている。燃やされている。

 

瓦礫が積み上がっている。隙間から漏れ出る煙は異臭を放ち、僕の頭に、心に、理性に、身体に理解させる。

空に昇る黒い太陽が、溢れ出る(絶望)が空を大地を黒く、赤く染め上げて行く。

体操座りをするようにして何かを護る様に燻ぶる黒い人型は、何を思ったのだろうか。

何かを差し出す様にして、瓦礫から突き出した二本の焼け焦げた棒は何をしようとしていたのか。

 

「誰か・・・」

 

あぁ、分ってる。

 

「いない・・・のか・・・」

 

あぁ、僕は・・・

 

「誰か!! 返事をしてくれ!!」

 

地獄を作り出してしまった。

 

「ハァハァ・・・っ、誰か!!」

 

瓦礫をどかす。

 

「誰か!!」

 

黒い人型があった。

 

「頼む・・・返事を・・・」

 

何か足を取られた。

 

「だ・・・れか・・・」

 

崩れた何かが僕を見上げている

 

「生きていてくれ・・・誰か」

 

大地が赤い。空が明るい、まるで夕日の町中の様な空なのに・・・

 

黒い太陽が嘲笑うかのように、泥を吐きだしている。

 

「誰か・・・助けなきゃ・・・誰か・・・」

 

足が重い、重いんだ・・・アイリ・・・

 

「誰か・・・おーい!! 誰かいないかー!!」

 

体が重い・・・心が重いんだ・・・イリヤ・・・

 

視線が下がる。あぁ、分っている。誰も生きちゃいない。生きれる訳がない。こんな汚染された場所で生きていられるのは魔術師位だ。でも、それでも・・・足を止めてはいけない。

被害の中心地には誰も居ない、なら、少しずつ外側を回らないと・・・まだ生きている人が居るかもしれない。

思い足を引きずる様にして歩く。いや、走る。

いつの間にか、小さな道が出来た。恐らくは、この住宅地の大通りだった場所だ。瓦礫によって小さくなっているが、間違いない。

その先に、小さい何かが動いた気がした。

 

「い・・・た・・・」

 

強化した瞳が、その姿を捉えた。

 

子供だ。まだまだ小さな子供だ。足が軽くなった。心が重くなった。体が思う様に動かない。

 

「早く・・・早く早く早く!!」

 

僕の足はこんなに遅かっただろうか? あぁ、もどかしい。早くしないと、早くしないと、手遅れに成ると言うのに!!

 

視覚が捉える。

 

子供が倒れる。

 

小さな子だ。髪の短い・・・男の子だろう。

 

左手を空へとゆっくりと伸ばす。まるで・・・まるで、黒い太陽のその先に・・・何かを求めるかのように・・・

 

(ダメだ!! ソレに手を伸ばしては・・・ダメだ!!)

 

「time alter square accel!!」

 

その手を掴む。握りしめる、あぁ、もう足が動かない。でも、でもまだ心臓も肺も動いている。悲鳴を上げている。

少年の呼吸が浅く成って行く。早く、早く助けないと。

 

「これで・・・」

 

蒼い、蒼い鞘、宝剣の王剣の鞘。あぁ、今だけ・・・今だけは貴様等に感謝してやる!!

 

幾百のパーツ分れたソレが少年の体に溶けて行く。呼吸が正常に戻り始める。

少年が、目を薄らと開けた。

 

あぁ

 

あぁ・・・

 

「助かってくれて・・・ありが・・・とう」

 

涙がこぼれた。少年は不思議そうな顔をして再び眠りに就いた。

 

「ガッ!! カハッ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

血を吐いた、無茶をしたからだろう。あぁ、でも、もう少しだけで良い。この子を安全な場所へ移動させるまで持ってくれ!!

 

震える足に喝を入れる。抱え上げた少年はとても重かった。

命の重みだ。たった一つの掛け替えのない命・・・その重みだ!!

涙は止まらない。ひり付く喉から嗚咽が漏れる。この子を助けるんだ!! この子だけは助けるんだ!!

 

ガラリと、瓦礫が崩れる音がした。反射的に振りむき、声を出す。

 

「誰かいるのか!! 生きているか!!」

 

答えは、醜悪な叫びだった。言語化出来ない。したくない醜い音が反響した。

 

「・・・何故だ!? お前達はサマナーが・・・アギが世界の外側に追いやった筈だ!!」

 

答えなど無い。

 

醜悪なアレ等に、僕達人類の言葉は通用しない。通用してはいけないんだ。

 

それは、泥啜っていた。啜って増えていた。おぞましい配色の海洋生物の成りそこない、出来そこないなその物体は増え始めていた。

そして、こちらに向かい始めた。

 

「糞っ!! クソクソクソクソクソクソッ!!」

 

アレは放っては置けない。放置してはいけない。人類として放っては置けない!!

 

だが、この手に在る命を護らなければ・・・魔力もほぼ無い。足は鉛の様に重く、鼓動も呼吸も安定しない。

 

誰か。僕はどうなっても良い。八つ裂きにされていい、生きたまま喰われても良い。だけど、この命だけは、この少年だけは助けてくれ・・・

 

「僕の全てをくれてやる・・・だから・・・この子を救ってくれ・・・誰か・・・神でも悪魔でも何でもいい!!」

 

誰か・・・

 

醜悪な何かから触手が飛び出した。

 

「お願いだ・・・誰か・・・サマナー・・・アギ・・・この子を助けてくれぇぇえぇぇぇぇぇぇ!!」

 

僕には・・・叫ぶだけしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  イア・ハスター

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鮮烈な、名状しがたき旋風が醜悪な何かを消し飛ばした。

 

僕の目の前に、白紙の羊皮紙が浮かんでいる。

 

「あ・・・あぁ」

 

其処に在るのは僕の名だ。僕が彼と交わした契約だ。

 

白紙の羊皮紙に、文字が刻まれていく。

 

まさか、まさかまさかまさか

 

 

 

           我が、帰還の標に成る事を条件に我は汝を許し

 

                  汝が我を許し

 

             相互の罪を許し、手を取る事を誓う

 

           この契約が成りし時、対価として一つの希を

 

                  我が名を叫べ

 

                さすれば契約は成就せり

 

 

「あ・・・アギ、この子を助けてくれ」

 

掠れていただろう。僕の声は、しわがれていただろう。

 

絶望を振りまいた。なのに、希望が降って湧いてきた。

 

声が、久しぶりに聞く。やる気のない声が聞こえる。

 

 

          神も悪魔も俺の配下で家族なんだが・・・そっちの方で良い?

 

あぁ、やっぱり彼だ。僕の友人だ。僕の娘のヒーローで、僕の妻を守った王様だ。

 

「何言ってるんだ・・・これは僕と君の契約だろ」

 

僕がそう言えば、当たり前の様に彼は空間を裂いて現れた。

 

「ですよねー。あぁーあー・・・まずはお前さんの回復してから、残党退治に行きますかね。」

 

そう言う、彼は血まみれで、眼の下には隈が濃く出来ていた。

 

戦っていたんだろう。死闘だったんだろう。殲滅し合っていたんだろう。涙が滲む。誰よりも人間らしく、誰よりも人から外れている英雄が来てくれた。

 

「これが終わったら、墓参りに行くぞ。・・・たっく、少しは休ませろっての」

 

「あぁ、悪い・・・僕は・・・無力だよ」

 

あぁ、僕は本当に無力だ。瘴気に当てられたみたいだ・・・意識が・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もー!! 本当にどうなっちゃてんのさ!! 俺はハッピーエンド主義者なのにさぁ、もぉー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こうして、第五次聖杯戦争はえらい事に成る。




らしいですよ?












「ほう・・・やはり帰って来たか召喚王」

「なんで王様が居るのさ!! もうやだー!!」



らしいですよ?


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