翠のプロフィールというか外見等を全く書いていないので、前書きで書きますね。
国北翠(くにきたすい)(15歳現在)
身長170㎝
体重(56kg)
髪色:栗色
瞳の色:翠色
顔:美青年と美少年の中間くらい
プロフィールってこんなもんですかね? あんまり書き方とかわからないんで、気になることあったらお願いします。
翠は部屋に差し込む光で目を覚ます。翠は寝間着のまま、自分の部屋を出て、父がいるであろう工房に向かう。まだ日の光が登って間もない時間だが、翠の父はいつもこの時間には既に起き、作業をしているため、今日もそうだろうとあたりを付けていた。
自分たちの生活スペースと繋がっているものの、作業場の扉は重厚な作りになっている。最近油を挿していなかったためか、ギギギと耳障りな音を立てながら扉は開く。扉の先には自分の予想通り翠の父が作業をしていた。音を立てたにも関わらず、扉が開いたことに気づいた様子はなかった。どうやら集中しているようで、翠が側まで近づいても気づかない。翠はそんな父親の姿に苦笑しながら、昨晩自分が塗った漆器の出来を確かめるために、手を伸ばす。その伸ばした手でようやく父は気づき、翠に話しかける。
「ああ、翠おはよう」
「うん、おはよう。父さんそろそろドアに油挿さないとね」
「ん? そうだねぇ、油はどこに閉まってあったかな」
「はは、そういうのは母さんが気づいてやってたから、俺と父さんはどこに何があるかなんて覚えてないよね」
父が、その言葉に相槌を打つと、作業場に言葉はなくなる。ただ翠の父が器を磨く音だけが作業場に残る。外を走る自動車の音もない時間のため、時折鳥の鳴き声が聞こえてくる。そんな心地の良いと思えるような時間。幼い頃の翠はこの静寂が苦手だったが、今は心地良いと感じる。それが自分を成長しているように感じることができて、少し嬉しさを覚えていた。
「翠、昨日の話なんだけどね……」
そんな中、父が話を切り出す。
「うん、昨日考えてたよ。それでね、決めたことがあるんだ」
「聞かせてくれるかね?」
「もちろん、俺は父さんが俺を信じてくれてるってわかってるから。何年かかるかわからないけど、やるよ、俺は」
「すまない、翠。私のエゴに突き合わせ……」
「父さん、俺は確かに父さんのエゴに巻き込まれたのかもしれないけどさ、俺はそう思ってないよ。この世界をひっくり返す、とまではいかなくても、さ。世界で一番のIS技術者になって、せめてこの一年で根付いた女尊男卑の世界がまた男女平等になれるようにする! それが、俺が決めたこと。父さんの作った漆器が売れないなんて変な話だって思うから、これが俺の答えだよ。だから、生活を質素にしちゃうっていう迷惑かけるけどね」
翠が言い終わった後、頬を掻いて顔を赤らめながら、はははと照れ隠しで笑うと、父はまた、すまない、と言いかけて首を横に振りありがとう、と笑って言った。
朝、翠が父に自身の決意を語ってから数時間。翠は当然、ISの勉強を始めようと考えていた。ISの発表から未だに一年しか経っていない状況。更に男である翠には、ISの適正テストなどを行われることもなく、説明すら行われてこなかった。翠の持つISの知識は現代兵器を超えた兵器であること。そして篠ノ之束という人物が作ったということ。大前提としての女性にしか扱えないということ。ISがどういう原理で動いているか、などの知識は全くといっていいほど持っていなかった。
そこで、翠は考えついた。
(どうしたもんかな、大見得切ったくせに全く勉強の方法がないじゃないか……。いや、待てよ? ISの参考書とかあるんじゃないか? だって、日本政府が女子のためにISの勉強を取り入れたーとかいうニュースもあったはずだし)
これだ!、というアイデアを思い付いた翠。その顔はしてやったりと言った笑みが浮かんでいた。ニヤリという擬音が合うようなそんな顔である。しかし、その翠のアイデアは結局空振りに終わった。翠はいくつもの書店を回ったが全くそういった書籍はなかった。インターネットでも検索してみた。結果は同じようなものだった。
(って当たり前だろ、俺はバカか! そもそも参考書は、民間が発行するものじゃないか! だとしたらなんてバカなことをさも名案のように考えたんだ。教科書ならとも思ったけど、アレも結局専門家が作ったものを、文科省が正しいか鑑定するやつだしねぇ……)
自分がいかにバカなことを考えていたかが、はっきりと結果として突き付けられた翠はベンチにボーっと座っていた。その表情には覇気がなく、完全に落ち込んでいることが簡単に見て取れた。
その翠の姿を見て、道を行く女性たちはバカにしている。その内容はやっぱり男ってダサいよねー、だとか、あんな顔してるならさっさと自殺でもしたらいいのに、とか女尊男卑の思想がたった一年で根付いていることを証明しているようであった。
(ホントに、よくバカにしてくれるよな。一年前までは、女性が弱い立場だから守れ、とかなんとか言ってたんだろ。まあ、どっちもそんなこと言わない世界にしたいから頑張るか)
そんな心無い言葉に、いつか女性と男性が平等になる世界を目指している翠には、活動のためのエネルギーになった。
(とは思うものの、どうしたらいいのかな)
途方に暮れ、翠はそのまま帰路についた。
そして、家に着き力ない声でただいま、と声をかける。そして、居間の方からおかえりーと父の声が聞こえた。工房に父がいるときは大体声が返ってこないので、返事が来たことに驚きつつ、居間に入ると、キッチンから何やら音がしていた。更に、何種類ものスパイスの香りがしてきていた。そこで気になって、そちらを見ると、父が珍しく料理をしている姿が見えた。その姿に興味を惹かれた翠は父に話しかける。
「父さん、料理? どうしたの?」
「ちょっとね、息子にこれから贅沢はさせられないからな。これからは私が料理でもしようかと思ってね。昔たまに作ってあげてただろ?」
「そっか、確かに自分で作った方が安いって聞くね。でも、父さん凝り性だからやめといた方がいいんじゃない? なんか余計にお金かかりそうだよ」
「それは……私も薄々気づいていたよ。今日はカレーを作ろうと思ってね。市販のルーを見ていたはずだったんだよ」
「いつの間にかこのキッチンにあるスパイスに変わっていた?」
「まさしく! その通りだ! いやー困った困った、ハッハッハッ」
「はぁ……意味なくなるから、次から気を付けてよ」
「善処しよう、そして聞いてほしい。私は肉と野菜を買わなかったことによって節約に成功したよ。もちろん米はあるとも」
「それスパイスを大量に買ったから持っていったお金なくなってATMとかでお金下ろすのが面倒だっただけでしょ……」
「うん、その通りだね。さすが息子だ、お見通しだね」
「そりゃあ生まれてからずっと一緒にいるから当たり前」
楽しそうに笑う父を見て、翠は呆れたように視線を逸らすと、手を洗ってくると言って、スタスタと居間から出ていく。
そして、洗面所で手を洗いながら呟きが漏れる。
「全く、父さんは」
その声には先ほど見せた呆れの色はまったく含んでおらず、むしろ嬉しそうな声色になっていた。
父の作った具なしカレーを二人で食べ、二人とも皿を片付ける。今度は一緒にキッチンに立ち、翠がシンクで洗い物をしていく。洗ったものを父が拭く、という流れ作業だ。
「父さん、カレーうまかったよ、あんなにスパイス効いたの食べたの初めてかも」
「そうだろう? 私は料理に関しても天才のようだ。なにせ初めて作って、分量も適当だったんだからね」
「ちゃんとレシピ見て作りなよ。でもよくスパイスの材料はあってたね」
「ああ、それは店員さんに聞いたんだ。カレー作るためには何がいりますか?ってね」
「なるほどね、そりゃあ間違わないわけだ」
「そうだ、さっき翠は私のことをお見通しだったね?」
「? まあ、父さんの考えることは少しはわかるつもりだけど」
「では、その逆も然りということを教えてあげよう。翠、教科書とか何も手に入らなかったろう? それでどうしようと焦っているね?」
「えっ?……すごい、本当にお見通しだ。ちょっと驚いた」
「そこで一つ提案があるんだ。父さんの旧友に合ってみないか?」
「父さんの昔の友達ってこと?」
「ああ、そうだ。実は翠が出ていってから連絡を取ってみたんだ。そしたら繋がってね、ISのことを教えてくれないか? と持ち掛けたよ、その人は快く引き受けてくれたよ。資料を取り寄せるのに一週間かかるそうだ。それまで待ってくれと言われたけどね」
「父さん、どうやってそんな人と連絡、というか知り合い、じゃなくて、なんで? それにどうして俺に教える気に?」
翠は驚いているため、早口でまくし立てるように言う。父はその様子を見てフッと笑い、たまたまだよ、と笑顔で言った。
「ISの勉強を教える前に、その人の名前を教えておこう。彼の名前は|倉持技世≪くらもちぎせい≫。私の学生時代の友人さ。彼は倉持技研という国の持つ開発室の主任をしていてね。女尊男卑の風潮にも負けずにずっと耐えてきた男だよ。そして、お前に教える決め手となったのは、男女平等の世界にしたいというお前の志を気に入ったそうだよ」
「そう、なんだ……ありがとう」
翠は自分の考えに共感してくれる人の存在が嬉しくて、照れくさそうに笑う。しかし、一つの疑問が翠の頭に浮かぶ。
「父さん、国の開発室って一年で出来たわけじゃないよね? どうしてISの勉強が?」
「それはね、元々は自衛隊の装備の開発をしていた場所だからだよ。そして、ISの開発をする国にとってはうってつけというわけだね。なぜなら、国の開発機関なのだからね。つまり、ISの勉強も当然できるというわけだ」
翠は腑に落ちたようで、なるほど、と相槌を打つ。
「父さん、本当にありがとう。俺頑張るから」
決意から一日、されど一日。進んだ一歩は大きい。翠は次のステップに進んでいく。瞳の奥に眠る、未来を思い描きながら。
誤字脱字、感想等お待ちしております。
一つお詫びを、山田先生がヒロインとか言っているくせにあまり出てこないどころかしばらく出てこないです。タグ詐欺みたいになってすみません