先日の爆発事件。天狐はその際に自分の前に現れた老人が犯人と見てその事を鬼太郎に報告していた。
天狐の報告に鬼太郎は眉を寄せ厳しい表情を浮かべる。
「そいつは恐らく……『ぬらりひょん』じゃ…!」
「へぇ…アイツが」
『ぬらりひょん』 その名は天狐も聞き覚えがあった。ぬらりくらりと姿を紛れ込ませ、気づけば人に混じり、消えている。人が妖怪を畏れるキッカケを創り出した者で、日本妖怪の総大将ともいえる存在である。
「勿体無いことしちまったなぁ。あん時 闘っとけばよかった」
「何呑気な事言ってんのよ!」
尻尾でお手玉をヒョイヒョイとしながら舌打ちし、がっかりする天狐に猫娘はツッコむ。
早く対策を練らなければ第二第三の犠牲者がまた現れるかもしれないだろう。
「そういえば奴は鬼太郎を狙ってるんだっけな。おい、鬼太郎」
天狐はぬらりひょん が執着している鬼太郎ヘ目を向ける。
「……」
見れば彼はなぜか空を見上げていた。
「さっきからあんな調子なのよ。まったく…」
猫娘は鬼太郎はまさか助けた少女に恋をしたのかと思い嫉妬心が露わとなっており、機嫌を悪くしていた。
「らしくねぇな。まぁいいや。取り敢えず俺は外に出る。なんだか腹が減っちまった」
その様子を見た天狐は欠伸をすると、妖怪横丁へと出ていった。
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一方で、東京から 遥か北にある東北地方の『山口県』のそびえる山々のまた山の奥にある 雪が積もる 地の真ん中にそびえ立つ城『雪女の城』にて、住まう雪女達がざわめいていた。
「真白が九尾の狐に…」
「そんな…」
大切な仲間の死に雪女達は衝撃を受けながら涙を流す者もいた。
「落ち着きなさい」
すると 周囲の悲しむ声に鋭くも優しい声が響き、その雪女達を宥めさせる。その声の主は椅子へ 座り、他の雪女とは一味違う雰囲気を漂わせる雪女の頭領『雪女郎』だった。
「此度の真白の件…とても悲しく思う。皆には辛いと思うが…受け止めて欲しい」
そう言いうと雪女郎は1つ、空席がある事に気づく。
「葵は…まだ来ていないのかい?」
「はい…。真白の死を知った途端…1人で森へ…」
「そうかい…」
雪女郎は顔をしかめる。葵という雪女は真白と一番親しかった雪女であり、雪女郎は彼女をとても気に掛けていたのだ。
「ですが…真白はどうして…」
「奴は誑かされていたんだよ…『雪入道』と『ぬらりひょん』にね…!」
雪女郎の目には怒りが込められていた。
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雪女の城から少し離れた深い深い針葉樹林の森。その森に立つ全ての木には分厚い雪がかぶっていた。
名を『動かずの森』
雪に覆われた木々一つ一つが頑丈であり、雪女達の修行場である。
その森の中心に一人の雪女が立っていた。
「葵…雪女郎様が呼んでるよ…そろそろ…」
離れた場所にもう一人の雪女が立っており、表情を苦くしながらも女性に声を掛ける。
“葵”と呼ばれたその女性は空を見上げながら答えた。
「えぇ。分かってる。先に行ってて…」
その声は寂しさ…悲しさ…そして『怒り』が込められていた。
その返事に後ろにいる雪女は頷き城へと戻っていった。
一人の空間となると、葵という雪女は曇天の空を見上げながら拳を握り締める。
すると、彼女の感情に応えるかのように風が吹き荒れ、身体からは水色のオーラが溢れ始めた。
「待っていろ九尾…必ず私が殺してやる…ッ!!!」
拳を握り締め、復讐を誓った雪女。その鋭い瞳からは涙が零れ落ちていた。