漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語   作:かのんベール

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序章 艦娘も出てこないし、読まなくても大丈夫っぽい!
日本海軍爆誕!


第二回目の日本国憲法第4条の改正に伴い、自衛隊は軍隊へとその組織形態を変えた。

 

俺が高校二年のことの出来事である。

 

俺には自衛隊に入り、国防に携わりたいという夢があった。両親もこの事に反対はしていなかった。しかし自衛隊が軍へと変わったことにより、その任務の危険度は跳ね上がった。実際はそこまで変わっていなかったのかもしれないが、内情を知らない俺たち一般人には少なくともそう感じられた。結局俺は両親の反対を説得することが出来ず、一般の大学へと進学することにした。幸いにも防衛大の偏差値は結構高く、確実に合格する為に勉強は人並み以上に出来ていたため、東大へと進学することが出来た。なぜ東大かと問われれば、国家総合職試験の合格者が一番多い大学だからだ。この試験を突破出来れば面接をした後に各省庁の官僚となれるのだ。勿論防衛省が狙いだった。

 

自衛隊が軍隊となってから五年の歳月が流れた。それは俺が新卒となることも同時に意味していた。しかし自衛隊は軍隊となってもやはり自衛隊と本質的にはなにも変わらなかった。俺はしぶる両親を今度はなんとか説得することに成功し、軍隊への入隊を果たした。一般幹部候補生としての入隊だ。なぜ防衛省に行かなかったのか。それは俗に言う背広組よりも、現場で指揮を出す制服組の方が俺には向いていると思ったからだ。あと、船に乗りたかった。ジパングの影響を受けてだが、まぁそんなにふざけた動機でもないと思う。運転手や乗組員はその乗り物が好きな奴が大半だと思うからな。

 

一年の研修期間(と言う名の地獄)を終えて、俺は小尉として軍に派遣された。しかし入隊したての若造にとってこの階級は少し荷が重かった。まず指揮をする部下が自分よりも年上なのだ。当然経験値の差が違う。また同じ小尉でも叩き上げの幹部というのもいる。これは通常の隊員がその業績を評価されて幹部となったパターンだ。その圧倒的な差は経験値だけではなく、部下からの信頼だ。幹部は一年間地獄を経験したとはいえ、下級士官が経験してきた現地の辛さとは比べ物にならないのだ。だから幹部には部下の気持ちを理解することが難しい。故に配慮が足らなくなってしまう。ここに幹部候補生と部下との間に拭い去り難い確執が生じるのだ。

 

それでもなんとか信頼を得ようと努力している矢先の出来事であった。アメリカの空母が所属不明の艦によって撃沈させられたのだ。この知らせは世界を震撼させた。特にアメリカと同盟関係にある日本海軍に与えた衝撃は大きかった。すぐさま軍の上層部は会議を開き情報の収集と対策の立案に乗り出した。その日の消灯ギリギリの時間に幹部候補生も会議へと招集された。会議とは言っても俺たち若造は大本営の報告を聞くだけであるが...。

 

会議室に入ると見知った同期の顔もちらほらと見られた。だがその顔は皆一様に暗い。不安が滲み出ている。部下の不安を煽るまいと、不安を顔には出さないように今日の訓練は過ごしたつもりだが、やはり俺もこいつらと同じような顔をしてしまっていたのかもしれない。

 

緊張感の漂う会議室に毅然とした声が響く。

 

「これより大本営から元帥殿のテレビ中継が繋がれる!姿勢を正して静聴するように!」

 

皆が姿勢を正しているのだろう。衣服の擦れる音が会議室に更なる緊張感を与える。

 

程なくしてプロジェクターのスクリーンに一人の男が映る。シワの刻まれた顔に白髪混じりの髪、しかしそこには年老いて弱った気配は微塵も感じられない。むしろ画面越しにひしひしとのし掛かるような威圧感が感じられる。

 

「まずは我々大本営の会議が長引いたことで諸君らを夜中に招集することになってしまった非礼を詫びよう」

 

そう言って頭を下げる元帥に皆が敬礼で答える

 

「さて、諸君らもすでに耳にしているとは思うが今日未明アメリカ空母が所属不明の軍艦により撃沈された。同盟国である日本の我が軍も協力して敵艦の捜索に努めているが未だ発見には至っていない。生存者の証言によれば攻撃される直前までレーダーに軍艦の姿は無く、魚雷は何もない太平洋のど真ん中から発射されたとのことだ」

 

にわかには信じ難い内容だった。アメリカの最新鋭のレーダーに引っ掛かること無く、それもたかが魚雷で空母が沈められたと言うのだ。これには会議室にもざわつきが広まった。

 

「勿論何もない所から魚雷は生まれない。おそらくレーダーに感知されないステルス性能を搭載した軍艦だろう。またこれだけの捜索にも関わらず発見に至っていない以上、潜水艦の可能性が高いと推測される」

 

確かにレーダーに掛かること無く海の中に隠れられるのであれば、かくれんぼにおいては無敵だな。

 

「しかし、現在アメリカと合同で張っている包囲網を抜けることは不可能である。敵艦の発見は時間の問題と言えるだろう」

 

会議室に安堵の声が漏れる

 

「しかしだ、問題はもう一点ある。魚雷だ。報告によれば魚雷に対する迎撃は一切が効かなかったそうだ」

 

そう、たかが魚雷で空母が沈む筈が無いのだ。魚雷に対する対抗策は当然持っているし、ただ一方的に沈められると言うのは通常であればあり得ない事態なのだ。そう、通常ならば。

 

「魚雷の方向をある程度ずらすことには成功したそうだが、恐らく魚雷本体には傷一つ付けられていなかったであろうとのことだ」

 

レーダーから完全に逃れるステルス性能。最新鋭の迎撃システムが通用しない魚雷。恐らく軍艦本体の強度は現在の科学の常識を覆すレベルのものだろう...。時間の問題、とはいかなそうだ。一体どこの国が、なんの目的でかは分からないが...

 

「アメリカが攻撃された以上、日本も攻撃対象である可能性が高い。これより日本軍は警戒体制を厳とする。諸君らには今一度態度を引き締めて国防に努めて欲しい。以上!」

 

それから一週間がたち、俺の所属する部隊は海の上での警戒任務に就いていた。こうして穏やかな海を見ていると本当にこの海の何処かに敵が潜んでいるとは思えなかった。

 

(このまま何事もなく終わればいいんだがなぁ...)

 

どこか緊張感が緩んできていたその時だった

 

「入電!大本営より各艦隊へ!インド洋、大西洋、太平洋の順に相次いで敵艦が出現!レーダーの反応無し!水上に小さいながら敵影を確認!潜水艦の可能性有り!既に日本軍にも攻撃が行われている模様!各艦隊警戒を厳にせよとのことです!」

 

(もともと警戒は厳の筈なんだがな...)

 

そんな現実逃避気味な突っ込みは艦長の声で吹き飛ばされる

 

「総員戦闘準備!奇襲に備えよ!いくら相手がステルスを使おうともミサイルはレーダーに映る!どんな小さな影も見落とすな!」

 

(頼むからうちには来ないでくれよ...)

 

「魚雷音聴知!210度高速接近!」

 

(うわぁ...マジかよ...。しかも俺が哨戒してる方角じゃん...。...ん?なんだアレ、人影?)

 

「主機起動、異常無し!」

 

「軸ブレーキ離脱!最大船速!」

 

魚雷に対する対抗策。この船には回避位しか選択肢はない。数年前にアメリカが開発した魚雷迎撃システムの日本での配備はまだまだ進んでいない。

 

「こんな船で最新鋭のミサイルから逃れられると良いけどな...」

 

(最悪、数十秒後には海の藻屑になる覚悟も必要かもしれないな...)

 

「距離150ヤード!接触します!」

 

そろそろ着弾か...。最後に小尉らしいこと言っておくか...

 

「衝撃に備え!」

 

叫んでから頭を抱えてしゃがみ込む。

 

「後5秒、4秒、3秒、2秒、1秒」

 

研ぎ澄まされた神経のなかで一秒が何倍にも引き伸ばされる。しかし、なかなか衝撃は訪れない...。

 

「魚雷全弾かわしました...。遠ざかります...」

 

まさかかわせるとわな...。それにUターンしてくる気配もない...。固いだけで所詮はただの魚雷だったということなのだろうか...。

 

「新たな魚雷音を聴知!」

 

(ふざけるなよ!?しつこ過ぎるだろ!いい加減にしろよ!?)

 

「目標は!?」

 

「174きりしま!当艦ではありません」

 

確か174は迎撃システムを搭載してる筈だったな...。だったら俺達は撃沈に挑むしかないな。まぁ敵影の報告はしておかなくては。

 

「艦長!120度に敵影らしきものを確認!」

 

「本当にアレなのか...?」

 

「魚雷の角度からして間違いなないかと」

 

「人影のようにも見えるが...。それにレーダーにも反応は出ているが...」

 

「とても魚雷を発射出来るサイズの反応じゃないですね...」

 

「しかし魚雷があそこから発射されていることに違いはありません」

 

「分かった。大本営からも敵艦を発見次第速やかに攻撃に移行せよとの通達が出ている」

 

程なくしてアスロックとトマホークの発射がなされた。少し戦力過剰な気もするが、それくらいの方が今まさに攻撃されている俺達の精神的にはありがたいな。

 

「魚雷接触まで後5秒!」

 

は...?

 

「迎撃に失敗したのか...!?」

 

「後1秒」

 

直後、少し離れた場所で水柱が上がった。それは信じられない程の威力だった。皆が呆然とする中放たれたミサイルだけが動き続ける。

 

「アスロック接触まで後5秒!」

 

その声に皆が我を取り戻す。

 

「命中!」

 

「続いてトマホーク弾着します!」

 

「命中!」

 

船内に歓喜とも取れないどよめきが起こる。

 

「目標......っ!」

 

撃沈を知らせる筈の報告が一瞬途絶える。

 

「目標、目立った損傷無し...」

 

それはまさしく絶望。あれだけの火力を食らっておきながらの無傷。その時、乗組員の全員が奴に勝てないことを悟った。

 

結局俺達の艦が逃げ切れたのはただ運がよかっただけに過ぎない。敵の攻撃はきりしまにとどめを刺す為に向けられ、港まで敵に遭遇しなかったのはただの偶然であった。どれか一つでも欠けていれば俺は今頃海の藻屑だっただろう。

 




ブラック鎮守府建て直しが読みたい。けど意外に少ない。ので、にわかではありますがこの度執筆と相成りました。これからよろしくねっ♥
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