漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語 作:かのんベール
「艦隊、総員起こし!」
改革が始まった鎮守府に起床ラッパの音が響く
『昨日と同じだ!遅刻したら腕立て伏せだ!10分で整列しろ!』
今日は10分で全員が整列出来たようだ。遅刻はない。
「今日は点呼の取り方を教える。背の順に並び直せ」
背丈を比べながら列が再形成されていく。
「取り敢えず戦艦と給糧艦の金剛と間宮は見れば分かる。さて、お手本は軽巡に示してもらおう。ほぅ、天龍が先頭か」
「文句あんのかよ」
その位置で腰に手を当てられると小学生の先頭を彷彿とさせるな。
「いや。先頭から順番に番号を叫んでもらう。天龍は1だ。前の人間が番号を言ったら後ろの奴は次の番号を言ってもらう。始め!」
「い、いち!」
「2」
「3だよー」
「4」
「5」
「‥6」
「...7」
「天龍!キョドるんじゃない!」
「テメェがいきなりやらせるからだろぅが!」
「3番の那珂!ふざけた語尾を付けるな、ぶっ飛ばすぞ!」
「でも...那珂ちゃんはアイドルだから...」
「6番、神通!声が聞こえん!お前の喉は飾りか!引きちぎるぞ!」
「すみません...」
「後ろにいくにつれてテンポが悪くなってる。7番の夕張の遅れなどもはや点呼の列にいないようなもんだ」
「各自練習しておくように。明日から導入する」
「「はい!」」
よしよし、だんだん軍隊らしくなってきたな。
「本日は艦友会活動の準備を行う。午前中は二組に別れて屋外と屋内でスポーツを行う。屋外は陸上とテニスだ。屋内は卓球とバドミントンだ。それ以外のスポーツは人数的に無理だ。とはいえ人数を集められれば部活として認定するので、やりたいスポーツがあるやつは後で申請するように。各自ジャージに着替えて集合。戦艦、巡洋艦、潜水艦は体育館だ。それ以外は校庭だ。長門」
「集合は60分後だ。それまでに朝食を済ませておくように、解散!」
俺もジャージに着替えて体育館に移動する。艦娘が集まる前に卓球台とバドミントンのネットを張らなくてはならない。
バドミントンのネットを張ってから卓球台を引っ張り出す。正直一人で卓球台を何台も運ぶのはかなりの重労働だった。仕上げに、卓球ネットをちまちまと張っていく。
あと二台まで準備が整ったところで艦娘達が集まり始めてしまった。俺の姿を確認すると露骨にいやな顔をする。残念でした~、長門は屋外担当でした~。
艦娘からの視線に耐えながら残りのネットを張り終える。
「さて、ではラジオ体操を始める!」
「ラジオ体操?」
え...?知らないの?平成から続くロングセラーなんだが...。後でビデオ見せなくてはならないな。アレはとても理にかなった素晴らしいものなのだ。
「いつも準備体操はどうやってたんだ?」
「あ?んなもん、各自でやるに決まってんだろ」
さも当然かのように返されてしまった。
「では天龍前に出て来てやって見せてくれ」
「っなんでオレがそんなことやんなくちゃなんねぇんだよ!」
「なんだ、恥ずかしいのか?」
「ちげーよ!やりゃあいいんだろ!」
「始めから大人しくそうしていろ」
「テメェ...」
「お前らも天龍の真似をして準備体操をやれ」
「お、おい!」
「お前が手を抜くと皆が怪我をすることになるからちゃんとやれよー」
「クソっ!」
俺も艦娘に混じって準備運動をする。因みに金剛の隣に並んだのだが、距離を取られてしまった。しかもジャージのファスナーをしっかりと首もとまで上げやがった。そんなに見られたくないですか、そうですか。
またしてもメンタルに深刻なダメージを受けながらも、一通りの準備体操を終える。
「最初は比較的疲れない卓球から始めるぞー」
厳密には疲れないのではなく、疲れられないのだ。素人ではそんなに大きな動きはできないからな。
「簡単なルールだけ説明する。この白い玉をラケットで打つ。サービスは自分の陣地にワンバウンドさせてから相手の陣地に入れる。後は交互に相手の陣地へと打ち返すだけだ。で、失敗したら負けだ」
「なんだ簡単じゃねーか」
「じゃあお手本だ。天龍、こっちに来い」
「なんでオレばっかり...」
「お前がいちいち息巻くからだ。いいからラケットを持て」
「おいおい、ヘッポコが相手じゃ話にならねぇぜ?」
「じゃあサーブだすぞー」
ある程度返しやすい場所にサーブを出してやる
「なんだ余裕じゃねぇか」
おぉ、本当に始めてとはおもえんな。ラリーが止まらない。
「で、慣れてくると強打することも出来る」
このままでは終わらないのでフォアを思い切り振り抜く
オォー
「...っ!お、おい!なんだ今のは、反則だ、反則!」
「これが本来の卓球だ。温泉のピンポン遊びとは別物なんだよ」
愉悦!
「大体ルールは分かっただろう。最初はラリーが続くように、慣れてきたら相手のミスを誘うようなコースに打ってみるといいぞ。じゃあ適当にペア組んで始めろ」
適当にペアを組む。ボッチは先生と組むことになる。例え、母集団が偶数であっても余ってしまうのだから不思議だ...。
「おい!お前どこに行くんだよ!」
「え?いや椅子に座ろうかと...」
突然呼び止められたので若干素が出てしまった。
「なんだ逃げるのか?勝ち逃げなんてオレはぜってーに認めねぇぞ!」
「仕方ない、受けてたとう」
「よし!次こそはボコボコにしてやるからな!」
「あぁ、言い忘れていたが俺は元卓球部だ。」
「へ...?」
「スコンクで吹っ飛ばしてやるよ!」
試合の途中でサーブの出し方や、フォア、バックなどの技を教えていく。流石に天龍ほど飲み込みのいい奴はいなかったが、やはり運動が得意な奴が多いようですぐにコツを掴んでくれた。
「よし、じゃあ卓球はここまでだ。休憩したら次はバドミントンだ。水飲んできても構わんぞー」
「クソ...」
因みに天龍は俺から一点も取れなかった。俺に挑むのに三世紀早まったようだ。
「よし、じゃあ次はバドミントンのルールを説明するぞー」
まぁ卓球とほとんどルールは変わらないので説明は簡単だった。
天龍との試合で想像以上に体力を消耗したので、椅子に腰掛けて水筒の水を飲む。
「おい!俺と勝負しろ!」
「またか…龍田とやればいいだろう」
「卓球のリベンジだ!いいから面貸せ!」
だんだんチンピラみたいになってきたな。喧嘩でも始めるのかよ。
「仕方のない奴だな...」
傍にあったラケットを掴んで、椅子から立ち上がる。
「元卓球部ってことで遅れを取ったが次はそうはいかねぇぜ?」
「そうか。あぁ、言い忘れていたが俺は中学と高校は体育館掃除だったからな」
「あ?それがなんだってんだよ」
「掃除が終わってから毎日バドミントンやっていたんだ」
「...は?」
「勝てるといいですねぇ?」
ヌルフフフフ
「よし、じゃあ今日はここまでだ。このあとは長門のところでテニスと陸上だ。以上、解散!」
「くそぉ...」
「なんだ天龍?三点もこの俺から取ったんだ、良かったじゃないか」
「うるせーよ!」
怒って出ていってしまった。
正直なところ後半は普通に負けそうだったしな。やっぱり天龍は運動が得意なのだろう。他の艦娘も楽しそうにしてたし、気に入ってくれた奴がいるといいんだがな。なにか本気で打ち込める趣味に出会えることはそいつの人生をより有意義なものにする。是非とも艦娘にも趣味を持って欲しいものだ。
おびてんさん、評価9ありがとうございます!
いつも読んでくださっているみなさんにも感謝を!
二重結合、付加重合、テレフタラート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート......
いい加減にしろ