漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語   作:かのんベール

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天龍と新婚準備

天龍が冷蔵庫と洗濯機、俺がテレビといった具合で荷物を下ろしていく。男としてのプライドなど無い。

 

「あら~、私も手伝おうかしらぁ」

 

「おぉ、龍田も手伝ってくれるのか!」

 

「女々しい提督じゃなくて、天龍ちゃんのお手伝いよ~?」

 

「だってパワーショベルと人間だし...」

 

「あ?」

 

地獄耳かよ!?やっぱりウサミミなんじゃないのか?

 

「これは一体なんの騒ぎかしら?」

 

「なんだ?加賀も手伝うか?」

 

「提督が物資を?一体なんの風の吹き回しでしょうか?」

 

「いや、俺が用意する訳ないだろ」

 

「これは大本営が用意した物資だ。オレと提督は荷物を受けっとてきただけだ」

 

「大本営が...。次こそは提督の勝手にはさせません。私が守ります」

 

「あ?気づかない内に物資を売り飛ばされた間抜けがなに言ってるんだ?どうせまた同じだよ。戦う以外に脳の無い一航船は引っ込んでろ」

 

「頭にきました」

 

「お、おい加賀...」

 

天龍が仲裁に入ってくれようとしている。ちょっと嬉しい。だが、それは駄目だ。あくまでも俺は艦娘全体の敵なのだ。仲裁なぞされて艦娘の間に溝ができては本末転倒だ。

 

スマホを取り出して長門にメールを送る。

 

「おい、提督も今の発言は取り消しておいた方が身のためだぞ」

 

「一航船の侮辱しておいて、私を無視してスマホですか。許せません」

 

「お、おい提督...」

 

「黙れ!」

 

スマホを天龍の頭に向かって投げつける。当然だが、蹴りおとされてしまった。画面がバリバリだ。

 

「テメェ!人がせっかく...!」

 

『長門だ。講師役の確認を取る。加賀は至急秘書室まで来るように』

 

「早く行けよ」

 

感情に従うべきか、長門に従うべきかで揺れる加賀を無視してトラックへと戻る。荷物運びをやめて運転席でタバコを吸う。その行為自体が俺へと落ち着きを取り戻させる。深呼吸みたいなものだ。

 

ペットボトルに手を伸ばしたところで、加賀が本館へと向かうのが見えた。

 

「おい」

 

天龍が窓の外に立っている。

 

「なんだ」

 

天龍が画面の割れたスマホを無言で突き出してくる。ガラスが手に刺さらないように気をつけて受け取る。まぁ仮にも俺は艦娘なので、ガラスごときでは怪我などしないのだが、人間時代からの感覚の名残だ。

 

「なんで、あんなこと言った」

 

そりゃ、敵として嫌われるためだろ。

 

「なんだ?スマホを投げつけられたことは構わないのか?」

 

「それもだ。あんな攻撃は蹴り落とされることくらい分かりきってただろうが」

 

意外に天龍の頭が回っている。コイツは馬鹿なのが取り柄だったんだがな。ちょっと利用しすぎたか?

 

「お前はなにか勘違いしてないか?」

 

「あ?なにがだよ」

 

「俺は前任の提督を罠に嵌めて失脚させたんだ。つまり、前任よりも俺はクズだからな。撃沈も解体も躊躇いなくやるから覚悟しておいた方がいいぞ?」

 

「そんな...嘘だろ?」

 

天龍が裏切られたみたいな顔をしている。やはりコイツは俺のことを完全な敵として認識していなかったらしい。

 

「本当だぞ?そもそも25歳で中佐って時点でおかしいだろ」

 

「どういうことだよ」

 

「部下を殺し、同期をしりぞけ、上司を引きずり落とす。そうやって周りの人間を踏み台にしなくちゃこの歳で中佐になんかなれねぇんだよ。権力争いってのはそういうもんだ。今回、俺が提督としてのポストを手に入れられたのは偶然でもなんでもない、必然なんだよ」

 

まぁ、あながち嘘ばっかりという訳でも無いしな。部下とか数えきれないほど殺してるし。

 

「それじゃあ...」

 

「エリートってのは狡猾で残忍じゃなきゃなれねぇんだよ。お前らも所詮は俺の出世のための踏み台に過ぎん。初めて会ったときに言っただろう?だし汁が出なくなるまで使うとな。正しくだし汁なんだよ、お前らは」

 

「テメェ!」

 

「なんだ?また大破させられたいのか?」

 

「っ!じゃあやっぱりアレはお前の仕業か!」

 

「そういうことだ。だが、言ったはずだ。次はない。俺を攻撃するならば駆逐艦たちと無理心中する覚悟ができてからにしろ」

 

「チッ!」

 

天龍がトラックから離れていく。

 

「おい、ちゃんと荷物は運べよ」

 

返事は無かった。

 

荷物は龍田や金剛が運び込んでくれた。

 

俺は思った以上の精神的ダメージを受けてしまったらしく、仕事をせずに寝てしまった。

 

起きたのは夜中の二時だった。存外、俺の精神力はタフなもので、起きたときにはメンタルがリセットされていた。家電が無事に設置されているかを確認するために寮へと向かう。

 

玄関に入ると散乱した段ボールと説明書が落ちていた。どうやら説明書を読んでも分からなかったらしい。

 

夜の内に設置してしまおう。艤装を展開して冷蔵庫や洗濯機を運んで、次々と設置していく。こんなのは電源プラグ、蛇口、排水溝を繋げば終わりだ。

 

「おい」

 

最後の冷蔵庫を運び終わったところで声を掛けられる。慌てて艤装をしまってから、後ろを振り替える

 

「なにやってるんだ、まさか売ろうとしてるんじゃねぇだろうな?」

 

「さあな」

 

「テメェ!」

 

「大体なんでこんな簡単なことも出来ないんだ。馬鹿なの死ぬの?」

 

「それは...。説明書通りにボタンを押しても動かねえし、冷蔵庫も冷えねぇし」

 

「故障かな?の一番最初に書いてあるだろ。電源プラグは抜けていませんか?って馬鹿にされてるだろ?」

 

停電じゃないですか?とか絶対馬鹿にしてるだろ。

 

「そもそも電源プラグが分からねぇんだよ」

 

流石にそんな初歩的なことまで書いてある説明書は無いだろ。

 

「これだ、これが電源プラグだ。んでこれがアース端子だ。これをコンセントに繋がないと電気が供給されない。流石に馬鹿すぎて話にならん」

 

「あ?テメェに言われたかねぇよ!」

 

「は?さっき言っただろ、俺はエリートだ。頭がいいんだよ」

 

またしてもしょんぼりとしてしまった天龍を放っておいて、提督室へと帰る。テレビの設置は天龍がやってくれるだろ。

 

 

 

 




なんだかんだ言ってもお人好しな天龍たんprpr
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