漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語   作:かのんベール

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改革最終日

色々と計画を建てた一週間はあっという間に過ぎ去っていった。明日からは通常運営再開だが、この分ならば大丈夫そうだ。鎮守府の新しい運用体制もある程度安定したものとなったし、演習もしっかりとこなした。腕が鈍っているということはない。コンディションは今までとは比べ物にならないほど良い。こらならば戦果も充分に期待が出来そうだ。

 

昨日の夜には艦娘全員に安い給料を配り終えた。社会常識もテスト済みだ。一人でも問題なく買い物をすることが出来るだろう。だが、引率は必要だ。今回もいつもと同じように俺と長門の二班に別れる。班分けは艦娘たちに任せた。長門と俺のとちらが担当になるかは恨みっこなしのくじ引きで決められた。恨みっこ無しのはずなのだが、俺はすごい恨まれて、睨まれて、呪われた。なんか修学旅行の行き先が突然近所の公園になったかのような反応だった。

 

その気持ち、分かると言えば分かる。俺も修学旅行はクラスに友達がいないせいでずっと後ろを歩いていたからな。だが、そういう中でも楽しもうと思えば楽しめるのだ。最近は一人旅だって流行っているんだ。一人だから楽しめないなどということは決してない。だからお前たちも、開き直って楽しむことをお勧めするよ。元凶の俺が言うのもどうかと思うけど。

 

ちなみに、今回も俺の班には天龍がいる。ここ最近はボロが出ないようにあまり話さないようにしていたのだが、やはり一日に何度もエンカウントしてしまったのだ。「天龍ちゃんとの会話の半分以上があなたの話なのよ~。困ったわねぇ」ってな感じで、龍田から理不尽な脅迫も受けている。そう言われても流石に無視は可哀想だしな。また寿命が縮まりそうだ。

 

改革七日目の朝。

 

いつもと同じように起床ラッパの音が鳴り響く。ただ、艦娘の顔と入り口に佇む中型バスがいつもと違っていた。

 

艦娘の気分を害するのも悪いので、今日は挨拶などはせずに運転手に徹する。バスガイドは長門だ。

 

「ちゃんとシートベルトを着けるように。理由も含めて授業で習ったな?」

 

「「はーい」」

 

年少組の元気な返事が帰ってくる。長門も若干顔がにやけている。

 

「本日のバスガイドを勤める秘書艦の長門だ。宜しく頼む」

 

「「宜しくお願いしまーす!」」

 

「運転手は菊地だ」

 

「「宜しくお願いしまーす!」」

 

「げ...」

 

那珂だけが俺が運転手だと言うことに気がついたらしい。服装が今日はスーツだから誰も気付いていないようだ。

 

「あ?今日は提督はいないのか?」

 

艦娘たちに喜びの雰囲気が流れ始める。俺は運転席のマイクの電源を入れた。

 

『えー、車内ではあまりはしゃぎすぎないようにご注意お願いします』

 

艦娘たちも俺が運転手だと言うことに気が付いたらしく、驚きと落胆の雰囲気が広がった。集団になるとより失礼な奴らだ。

 

「さて、気を取り直しての最初のゲームは風船爆弾だ。風船を回していって音楽が止まったときに風船を持っていた奴が罰ゲームだ。音楽は後ろの見えていない運転手さんに止めてもらう」

 

「「えー」」

 

「それでは始めるぞ」

 

元気のいいアニソンの音楽と共に風船が回されていく。風船が1周半した辺りを見計らって音楽を止める。

 

「は!?おい!ふざけんなよ!」

 

「天龍ちゃん罰ゲーム!」

 

おぉ、天龍か。

 

「ちょっと待ててって!」

 

「お題を発表する」

 

「待てって言ってるだろうがよぉ...」

 

「那珂と一緒にアイドルごっこだ」

 

「え?私と踊るのって罰ゲームなの?ねぇ?おかしくない?ねぇ?」

 

「嘘...だろ」

 

天龍の黒歴史を作りながらもゲームは続いていく。天龍以外にも次々と犠牲者を出しながらもバスは潮風公園駐車場へと到着した。そう、目的地はお台場だ。

 

バスから降りて班ごとに点呼を行う。

 

「提督、全員揃ったぞ」

 

長門から点呼完了の報告を受ける。

 

「まずお前たちは国家機密そのものだ。周囲に艦娘とバレればたちまち騒ぎになる。その混乱に乗じて問題が発生する可能性は充分にあり得る。絶対に艦娘だと悟られることのないよう、細心の注意を払ってくれ」

 

「「はい」」

 

「あと、俺のことは提督ではなく先生と呼ぶように」

 

「「え...」」

 

なんだよ、そのドン引きの表情は。これだけの団体なんだから修学旅行生を装わないと駄目だろ。

 

「じゃあ長門、なにかあったら連絡してくれ」

 

「うむ。6時に集合でよいのだな」

 

「そうだ。じゃあそっちは頼んだぞ」

 

長門の班と別れると、俺たちはショッピングのためダイバーシティへと向かう。

 

「おっきいロボットなのです!」

 

駆逐艦がはしゃいでいる。他の艦娘も圧倒されているようだ。

 

「ガンダムな」

 

「ガンダムなのです?」

 

「あぁ。アレに乗って戦うんだ」

 

「乗れるのです!?戦たかえるのです!?」

 

「という設定の空想上の存在だ」

 

「え...」

 

上げて落とす。艦娘が抗議の視線を送ってくる。

 

「世間知らずの貴様らが悪い」

 

「ひどいのです!」

 

「いいからそこに並べ」

 

「並ぶのです?」

 

「記念撮影だ」

 

艦娘の頭に?が浮かんでいるようだ。

 

「おい、そんな写真とってどうするつもりだ?」

 

「なんだ、天龍はそんなことも分からないのか」

 

流石に検討も付かないようで悔しそうにしている。

 

「ちゃんとお台場に来たって記録がないと大本営に報告できないだろ。ガソリン代が経費で落ちなかったらどうしてくれるんだ」

 

艦娘たちも納得がいったようで、いそいそと並び始めた。まぁ大本営に報告などしないし、ましてや写真で経費を落とすことなんてことはない。写真じゃなくて領収書だ、バカめ。

 

ガンダムと仲良く記念撮影をしてから建物に入る。平日ではあるが、結構な数のお客がいるようだ。

 

「はぐれたら迷子のお呼びだしを掛けるからな。そんな恥ずかしい事態にはならないでくれよ?」

 

念のために釘をさしてから、ショッピングを始める。流石に自由行動にする訳にもいかず、団体での移動だ。取り敢えず午前中は服を買う予定だ。

 

艦娘たちが買い物している姿を眺めながら、端っこの壁に寄りかかって休憩する。

 

会計が終わったら次の店へと移動する。

 

「H&M寄りたい奴はいるかー?」

 

大半の手が上がったのでここにも立ち寄る。

 

そんなことを繰り返して、3Fから4Fへと移動4FでもGUといった有名どころを抑えつつショッピングを続ける。そして、次の店へと移動の最中...

 

「おい、どこに行くんだ?」

 

「あ?そりゃあ次の服屋に決まってるだろ」

 

「服屋はここにあるだろ?通りすぎてもらっちゃ困るぜ?」

 

いや、だって...

 

「私もアンフィでお買い物したいわ~」

 

だって、下着ショップじゃん。ハードル高すぎません?

 

「なんだ?恥ずかしいのか?」

 

「チッ。分かったよ、俺は外で待ってるからとっとと買ってこい」

 

「お前も来るんだよ!」

 

「ちょっ!おい!」

 

周囲の視線によって針のむしろ状態となってしまった。天龍は天龍で俺のことを困らせたかっただけのようでその後のことはなにも考えていなかったのか、俺の前で下着を選べずに顔を真っ赤にして俯いていた。

 

いや、お前のせいだからな?

 

まだ午前中だというのに早くも疲労で倒れそうだ。無事に一日が終わればいいんだがな...。




誤字報告ありがとうございます。単に筆者の知識不足などもありましてお恥ずかしい限りです。一応投稿前に何度か修正しているんですが...。ご迷惑をおかけします。ありがとうございます。
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