漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語   作:かのんベール

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絶望

世界各国に突如として現れた正体不明の敵は深海棲艦と名付けられた。しかしそれは艦とはいうものの、船と定義付けてよいものかは甚だ疑問であった。何故なら奴らの見た目はただの女性なのだ。人間が二本足で海面に佇み、背負った艤装で攻撃をして来る。それだけでも相当なイレギュラーだった。しかし、最悪だったのはそこではなかった。奴らには攻撃が全く効かないのだ。いや、全くといったら語弊があるな。先日ロシアがミサイルによる核攻撃を実施した。しかしその結果は深海棲艦一体を撃沈させただけに過ぎなかった。当然国連からは強く批判された。なによりも、そんな方法では次から次に湧いて出てくる深海棲艦には対処仕切れない。そもそも環境汚染が酷すぎて現実的ではない。

 

結局人間は未だに深海棲艦に対する対抗手段を持ち合わせておらず、次々に敗戦を繰り返しては制海権をどんどん失っていった。それでも日本は島国である為、制海権を失う訳にはいかなかった。その結果、深海棲艦の足止めのために次々と海軍が全線へと送り込まれていった。生存率0%の戦地である。小尉である俺は本土で訓練をしては士官を船に詰め込んで見送ることしか出来なかった。部下の気持ちを理解できる指揮官になりたかった。しかし現実は常に非情だ。部下達からしてみれば俺は死神にしか見えなかっただろう。自分は戦地に赴かず偉そうに本土で命令を出しているだけの無能に見えただろう。何度も敵意の視線に晒され、暴言を吐かれ、殺されかけもした。流石に軍から逃亡しようかと考えたこともあった。しかし、そんなことをすれば家族が無事では済まないだろう。人質なのだ。緊急事態に置いて、日本から人権が消えていこうとしている。大戦時の日本へと戻りつつある。結局いくら時が経とうとこの国の本質は変わっていなかったのだ。

 

そんな俺にも遂に出撃命令が出た。幹部候補生にも前々から出撃命令が出始めていた。俺は下級士官の訓練の成果がある程度評価されており、特例で中尉に昇格していた。だが、それも今日までだ。恐らく俺がわざと訓練期間を長くしていたことに気付かれてしまったのだろう。部下達の出撃の時を少しでも遅くしようとの、浅はかな考えによるものだった。

 

「全線への派遣につき、貴官の活躍を期待し二階級特進とする!」

 

ようは少佐として死んでこいと言うことだ。恐らくは本物の小佐が出撃したくないが為の采配だろう。幹部は自分が出撃したくないが為に成るべく下の階級の人間に出撃させたいのだ。

 




最初の頃はまだ慣れておらず文字数が少ないです。作者の成長をお待ち下さい...
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