漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語   作:かのんベール

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提督はボッチじゃなかった!?

新しい運営方針に変更してから早くも3か月が経過した。艦娘も新しい環境に慣れてきたのかさらなる成果を上げている。仕事のミスもほとんど無くなり、資源や経費の管理もほとんど自分達で行えるようになっている。だが、知識を得てしまった敵はなかなかに手強い。

 

俺の組んだ編成が非効率的だ、この陣形では駄目だなどと戦略課からの指摘が出始めたのだ。最終的には新たな陣形まで考案して提出してくるときた。流石にこれには驚かされたが、果たしてその陣形は一定の成果を記録した。今は大本営に報告をし、新たな陣形として正式に認可されるのを待っているという状態だ。

 

資源課からは大本営から支給される分の資源が少ないことがバレそうになってしまった。これは長門の必要資源を少し多目に計上し、その余剰分で俺が食い繋いでいたので、危うく生命線を絶たれそうになってしまった。

 

経理課にしてもそうだ。大本営から送られる経費は本当にこれで全てなのか?なぜ経理課に直接ではなく、提督を介さなくてはならないのか?経費の申請もなぜ提督が預かっているのか?などの質問が相次いだ。横領を疑われているようだが、そうではない。艦娘の給料は俺の給料から出ているので、鎮守府での計上をそのまま大本営に提出するわけにはいかないのだ。艦娘からは透明化の要望が未だに出続けているが、のらりくらりといった具合で拒否し続けている。これがいつまで持つのかは分からないのでなんとか解決策を見つけたいところだが、今のところは手詰まりだ。

 

要するに艦娘のスキルが俺の手には余るようになってきてしまったのだ。書籍を使った独学での学習も限界が来ているのは間違いない。

 

俺は久し振りに旧友の手を借りることにした。

 

東京にあまり大きくはないが、それでも充分に立派といえるオフィスを構えている「故の杜」の本社。その受付に何人かの艦娘を連れて来ていた。

 

「 こんにちは。日本国海軍中佐の菊地と申します。社長の須藤様と本日12時にインターンシップのお約束で参りました」

 

「社長に連絡を取りますので少々お待ちください」

 

受付の女性が受話器を取るのを確認してから、懐かしいオフィスを眺める。感慨に耽りながらオフィスを眺めていると、エレベーターから上質なスーツに身を包んだ男性が降りてきた。

 

「待たせて済まんな、菊地」

 

どうやら社長自らがお出迎えのようだ。

 

「いや、今きたところだ」

 

「彼女たちが例の?」

 

「使えない部下どもだ」

 

「まぁそう言ってやるな。彼女たちの対応は頼んだよ」

 

おそらく秘書であろう女性が艦娘たちを連れていく。無能扱いをしたせいで、艦娘からの抗議の視線が刺さっていたので都合がいい。

 

「話には聞いてたが、凄まじいパワハラぶりだな。一緒に働いてた頃とは大違いだよ」

 

艦娘が居なくなった途端に人の悪い笑みで俺をからかい始める須藤。

 

「うるせーよ。誰も好きでヘイト集めてる訳じゃないんだよ」

 

「共通の敵になるんだったか?俺たちを纏め上げてたお前なら、鎮守の統治くらい普通にできるだろ」

 

「もとが正常じゃないんだ。流石に限度があるんだよ」

 

「まぁ民間人の俺には軍の事情なんか想像もつかないけどな」

 

「いずれ全国民に知って貰うさ」

 

「内部告発の準備なんかがバレたときには下手したら反逆罪で潰され兼ねないだろ。役人ってのは権力争いが凄いんだろ?」

 

「そう思うんだったら、踏み込んだ話はロビーじゃなくて社長室にしてくれ」

 

「あぁ、悪い悪い。久し振りに会ったからな、会話を優先させちまった。じゃあ行くか、元お前の部屋に」

 

「あぁ、懐かしいな」

 

久し振りに訪れた社長室は昔と変わらないとまではいかないが、さほど大きな変化があるわけでもなく懐かしさを感じさせてくれた。

 

「お前が会社を出て3年か...」

 

「この会社も須藤に代替わりしてから、随分と成長したな」

 

「バカ言うなよ。ゼロから会社を設立してここまで成長させたのはお前じゃないか」

 

「須藤たちが居たからだ。俺は単に発案しただけに過ぎない」

 

「正直、突然お前が葬儀屋を立ち上げようって言ったときは正気を疑ったよ」

 

「だが間違いじゃなかっただろ?」

 

「お前が建てたプランは完璧だったよ。それに日本が戦争を始めるかもしれないっていう予言まで当たったしな」

 

「ハズレだよ。まさか人外の生物と戦うことになるとは思わなかったよ」

 

「だが、死人の数は丁度よかったぞ?こう言ってはなんだが、葬儀屋にとってはいい収入だったよ。平和の保証が無くなったお陰で、死に関して興味を持つ人間が増えた。高齢化も悪化の一途だ。お前の目を着けた業界、新たな保険サービス。全部が上手く言ってるよ」

 

「世の中の空気が悪くなるほど儲かってるっていうのもなんだかな...。まぁ儲かってるようで良かったよ」

 

「平和なときから儲かってたけどな。社長のお前が録に給与も受け取らずに中古車なんぞに乗ってただけだからな?」

 

「俺は金の為に働いてた訳じゃない。ただ、学生起業をやってみたかっただけなんだよ」

 

「でも結局は軍に入隊したじゃねぇか」

 

「元々言ってただろ?学生の内しか会社は経営しないってな」

 

「そんなに軍がいいのか...。死にたいのか?」

 

「まぁ艦娘に殺されかけたのは事実だな」

 

「それって結構ヤバいんじゃないか...?」

 

「大丈夫だ、お前らに攻撃することはないだろうから安心してもらっていいぞ」

 

「いや、そうじゃなくてな...。まぁそれも大切なんだけどよ...」

 

「じゃあ艦娘のことは頼んだぞ」

 

「まかせろ。そういやぁ本当に給料は要らないんだな?」

 

「あぁ、前にも言ったがあいつらは人間じゃないからな。給料など配給されていない。あいつらに金を払うなら他の艦娘にも払わなくてはならなくなってしまうだろ。そんなに俺は金持ちじゃない」

 

「分かったよ。部下にも伝えてあるから安心してくれ。ただ、ちょっと気が引けただけだよ。タダ働きをさせることになってしまうからな」

 

事前に艦娘に関する現状は伝えてある。給料など出せば面倒なことになることは分かっているはずだ。それでもタダ働きをさせることに及び腰になるのだから、相変わらずお人好しな奴だ。もう少し旧友と話していたいが、鎮守府を

あまり長い間空ける訳にもいかないので、そろそろ帰らなくては...

 

「じゃあまた来るよ」

 

「お互い忙しいからな。まぁまた顔だしてくれよ、今日会えなかった奴も会いたがってたからな」

 

「あぁ」

 

軍に入ってからろくに休みが無かったからな。鎮守府が安定したら飲みに行くのも悪くないかもしれないな。

 

久しぶりに友人に会ったことで、疲れきった心も幾分かましになったので、仕事にも精が出る。やはり優しさは必要だな、こう毎日敵意しか向けられないと心も荒むというものだ。

 

艦娘をインターンシップに出したのが功を奏したようで、艦娘全体のスキルが大きく向上した。最近では、俺のチェックなど必要がない程に完璧な仕事をするようになった。すでに多くの仕事が艦娘だけで完結しており、長門が確認して終わりとなる仕事も少なくない。

 

とは言っても提督としての職務が無くなるわけでは勿論なく、こうして毎日朝から晩まで働いているのである。挨拶などの仕事が結構多いため、一日中机に噛り付いている訳ではないのが唯一の救いだと言える。

 

 

 




前期終わったー!明日からはしっかりと早めに投稿していく所存です
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