漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語 作:かのんベール
最近艦娘の様子がちょっとおかしい。
妹ちょみたいになってしまった。艦ちょ。原作より下ネタ度が上がったな...。
なにやら艦娘が俺の身辺を嗅ぎ回っているようなのだ。天龍が鎮守府に復帰してからはその動きがさらに活発になってきている。俺の悪事の証拠でも押さえようとしているのかもしれない。何にせよボロを出さないようにと精神力を使うので大変だ。
天龍も、約束を守っているようでアパート生活のことは誰にも話していないようだ。途中から俺の弁当を作るようになったくらいだし、ある程度の信頼はしている。毒を入れられることも無かったしな。最初は断っていたんだが、なかなかどうして、意外にも天龍の押しが強いのでつい根負けしてしまった...。
それに最近は天龍が提督室に用もないのに押し掛けて来るのだ。今までは龍田が丁度良くストッパーの役目を果たしていたんだが、最近は黙認するようになってしまったのだ。個人的には凄く嬉しいのだが、やはり共通の敵としての立場を考えると...。
「な、なあ。いつまでここに居るんだ?」
分かってはいるのだが、なかなか強く言えなくなってしまった...。正直、アパートに天龍が居ないのが寂しいなどとは口が裂けても言えない。
「ん?居ると困るのか?」
「いや、まぁ、困るな...」
「なんでだ?」
「いや......空気が汚れるというか...」
「嘘だな」
「そ、そんなことはないぞ!」
「まぁその心配もそろそろ終わりかも知れねぇなぁ」
天龍が意味深な顔でニヤニヤしている。
「どういうことだ…?」
「なに、深い意味はねぇよ」
じゃあその顔はなんなんだ。
「そろそろ時間だな...。お望み通り出ていってやるよ!」
「そ、そうか...」
やっぱり寂しいな...
天龍が出ていった扉を名残惜しく眺めていると、廊下から複数の足音が聞こえて来る。
「そういえば今後の鎮守府の運営方針に関しての提案があるんだったな...」
扉が静かにノックされる。
「入れ」
「失礼します」
大淀を先頭に現在任務に出ていない艦娘全員が揃っている。天龍の用事ってこれのことか...。なら提督室にいれば良かったのに...。
「確か今後の鎮守府運営に関しての提案だったな?」
「はい。より具体的には提督の今後の立場に関してです」
「どういうことだ…」
「提督は実は悪い人ではありませんね?」
「...っ!貴様らは何を言っているのか理解しているのか...?」
「もっと言えば悪人の演技...悪ぶっていますね?」
「泥棒の真似といって泥棒をすれば、それは立派な泥棒なんだが?」
「認めないと言うのならば、順を追って確認しましょうか?」
「やってみろ...」
大丈夫...。ボロはないはずだ...。落ち着いて、一つ一つ論破すれば問題ない...
「最初は護衛の任務での、謎の襲撃です」
早速ヤバい話題が来てしまった...。
「当時は知る由もありませんでしたが、提督が艦娘だったとなれば話は別です。あの襲撃、提督の仕業ですね?」
「何の話だか分からんな...。仮にそうだとしたらなんだと言うんだ?民間船を攻撃してまで貴様らの任務を失敗させたことになってしまうぞ?貴様らの主張とは真逆の人物像だな」
「しかし、あの襲撃が原因で一週間の運営停止が決まりました」
「偶然だ...」
「そうでしょうか?次の日からの突然の改革。まるで運営停止になるのが分かっていたかのような手際の良さでした」
「.........」
「無くなったコンテナに関してはどうでしょうか?次の日に届けられた食料と貨物船の積み荷は見事なまでに一致しています」
「偶々...」
「そうですか。まだありますよ?」
「続けろ」
もう止めて!提督のライフはゼロよ!
「家電の買い直しに関してです」
もう、無理ぽぉ...
「金剛さんの洗濯を見て駆け出したそうですね?」
「大本営から物資が送られて来るのを思い出したんだよ」
「本当に大本営からの物資だったのでしょうか?」
「.........」
「天龍さんによると、共有スペースの寸法を計っていたそうですね?」
「.........」
言い訳が思い浮かんでは消えていく...。
「最終日に行われた課外授業と題したショッピングはどうでしょうか?艦娘の写真を撮っていたそうですね」
「経費の申請...」
「領収書があれば充分なのでは?それに、そこに飾ってある写真。観覧車から見た夕焼けではありませんか?」
「綺麗だったから...」
「そのカレンダーは?張り替えられていますね?今月は私ですか。提督は私のことが好き、違いますか?」
「違うな」
いや、なんで天龍が否定するんだよ...。
「あぁ、提督が好きなのは天龍さんでしたね」
「違う...」「そうだな!」
天龍さん、本当に止めてください。これ以上俺を混乱させないでくれ...。
「では、私たちの給与はどこから出ているのでしょうか?」
「そりゃ大本営に決まって...」
「嘘ですね」
「なぜそう思う...」
「私たち兵器に給料など出ません」
「...っ!」
俺の教育は艦娘の考えを変えることは出来ていなかったのか...。
「これは呉鎮守府の艦娘の言です」
なんだ、そういうことか.........ん?
「大本営から給料など出ていませんね?」
「呉鎮守府の提督が嘘を教えているだけだ」
「大本営で直接訴え掛けた時の彼らの反応を見れば分かります。彼らは艦娘に軍人としての敬意など払っていません。ましてや給与などもっての他だと考えているでしょう」
「.........」
「極め付けは天龍さんが解体されていないことです」
「だから逃げ出したと言って...」
「いくら天龍さんと謂えども深海棲艦の住むこの海をたった一人でそれも1ヶ月も生き延びるなど不可能です。提督が匿っていましたね?」
「天龍...!」
「オレはなにも言ってないぜ?」
「今の反応から見て当たりですね?」
「違う...」
「提督が食事を取っていなかったこと、そしてその理由も電ちゃんから聞きました」
長門が漏らしたのかと視線で問い詰めるが...
「私は今回の件には一切関わっておらんぞ?」
「電が盗み聞きしていたのです。ごめんないなのです...」
「那珂ちゃんを守ったこともあったそうですね?鎮守府祭では電ちゃんを守ったとも聞きましたよ?」
「勘違いだ...。結果的にそうなっただけに過ぎん...」
「他にも那珂ちゃんをダンス教室に通わせたりと枚挙に暇がありません」
「どれも根拠に欠けるな...」
「最大の証拠は今の鎮守府そのものです。提督が来る前と今とでは比べ物にならないくらいに環境は改善されています。これは全て提督の改革によるものです」
「最大限の戦果を上げるためにだな...」
「提督よ」
これまで沈黙を続けていた長門が前に出る。
「もうみんな分かっているのだ。もう少し艦娘を信用してやっても良いと思うがな?私も提督の敵を演じるのも疲れたぞ?」
「長門...!」
艦娘たちがやはりといった表情を浮かべる。
「違うんだ!待ってくれ!」
「提督~?段々と化けの皮が剥がれてきちまってるぞ?」
「生意気な、天龍の癖に...」
「なんだと!?」
「提督が私たちの為を思い、敵として振る舞ってきたことは容易に想像がつきます。実際、そうして頂かなければ、当時の私たちでは立ち直ることは難しかったでしょう。私たちは提督に感謝しているのですよ?」
「だったら...!」
「私たちはもう提督の思うほど弱くはありません。それとも提督は一年育ててきた部下のことが信用できませんか?」
「そんなことは...」
じゃあ俺の存在価値はなんなんだ?もう鎮守府に居る意味が無いじゃないか!今までの俺の行動が理解されたところで、俺はコイツらの輪のなかに入ることなどできない。俺のような異物がここに居るには敵としてあるしかないんだよ...。だから......。
「提督さんよぉ...」
どうした、天龍?チンピラに、ジョブチェンジか?
「ある心理学の実験でな、子どもを二つのグループに分けたそうだ」
たからお前には知的キャラは似合わないって...
「そんで二つのグループを競争させたそうだ。結果はどうなったと思う?」
「まぁ勝ち負けが決まるな。あと団結力と敵対心が生まれるな」
「正解だ」
コイツに言われると腹が立つな...。
「で、その後に二つのグループで協力しなくちゃならねー課題を与えたそうだ。結果、二つのグループは敵対しなくなった。結局一つのグループになったって話だ」
「それがなんなんだ...」
「確かに今までのオレたちと提督は敵対してた。だがこれからは違う」
「共通の課題がない。今回で言えばお前の提示した例は役に立たん」
「なんだ?案外提督も頭の回転が鈍いんだな!」
「なに?」
「共通の敵ならいるだろうがよ」
「どこに?誰だ?」
「深海棲艦だ」
あ..................。
「まさか忘れてたとは言わねぇだろうなぁ?」
忘れてたね...。そういえばそんなのもいたな。全てを鎮守府で解決しようとしてたが故に忘れていた...。
「これからは馬鹿の名は提督に譲ってやるよ!」
「だがお前がそう言ったところでだな...」
「私たちは提督に感謝していると先程も申し上げたはずですが?」
「提督は私たちの仲間ネー!」
「そ、そうなのです!」
「那珂ちゃんのファンクラブにも入ってねー!」
もう入ってます。第一号です。
「天龍ちゃんの命の恩人なら仕方ないわね~」
「提督改め、日東丸。日本の国防の為にまた一緒に戦って貰うぜ?」
「よく俺の名前が分かったな...」
「まあ、艤装からな...」
「天龍ちゃんったら恋する乙女みたいに必死に調べてたのよ~」
「た、龍田!」
そうなの?
「ち、違うからな!?全然調べてなんかねぇからな!?」
「ほーん」
「なっ!?テメェ!」
「それで?提督は私たちとまた戦うのは嫌ですか?」
「ここまで言われて断りなんかしたら、日東丸の名が聞いて呆れちまうからな...。まぁ、なんだ、宜しく頼む」
「「勿論です!」」
これまでの努力は間違いじゃなかったみたいだ...。またコイツらと戦う時が来るとはな。俺は漁船だから戦うよりも釣りの方が好きなんだが...。コイツらとなら戦うのも本望なのかもしれないな。
「さて、素直になった提督にはもう少し素直になって貰いたいのだが」
これ以上なんだって言うんだ?
「提督に伝えそびれていたのだがな...。ケッコンカッコカリという制度が実装されてな」
ん?結婚?
「指輪を天龍に渡してやったらどうだ?」
「ちょ!?この展開は聞いてないぞ!?おい!龍田!?」
「天龍ちゃんをお嫁に出すだなんて本来は許さないんだけど...」
お前は天龍のなんなんだよ...
「相手が提督なら仕方ないわね...」
いつから俺の評価はそんなに上がったんだ!?
「ちょ、ちょっと待てくれ提督!まだ心の準備がだな...!」
もう少し素直にか...ふむ...
「天龍」
「な、なんだよ改まって...」
「天龍の居ないアパートに帰るのは寂しい」
「天龍の弁当がないのは寂しい」
「俺には天龍が必要性なんだ」
「どうか俺とケッコンして欲しい」
「うぅ...」
なかなか天龍からの返事が来ない...。やはり駄目だったのだろうか。こりゃ暫くは立ち直れそうにないな...。
「天龍ちゃん~?」
「...こそ...よ...し...く」
ん?
「こちらこそよろしくって言ってんだよ!」
おぉう...。中々にインパクトのあるお返事の仕方だな。
「そ、そうか!じゃあ左手を出してくれ」
「なぜそうなる!?」
「いや、指輪」
「あ、あぁそうだったな!」
「大本営が準備した指輪じゃなくて、次は俺が用意した指輪を渡せるようにすよ」
「オレはこれでも充分だぜ?」
「俺の問題だ」
「じゃあ期待して待ってるぜ?」
「あぁ、期待してくれ。その時はカリじゃなくて本当に結婚しよう」
「それは無理だろ。法律的に」
だから知的キャラは似合わないって...。
「じゃあその前に艦娘の人権を獲得しないとな」
「そりゃあ、長い戦いになりそうだな」
「俺とお前なら出来るさ」
「なっ!?恥ずかしいこと言うんじゃねぇよ!」
「まぁまぁ。それじゃあ色んな意味を込めて」
意外にも大人しく天龍が目を閉じる。
誓いのキスでハッピーエンドだな。
ちょっとラストは駆け足になってしまいました。
さて、最後まで読んでくださった皆様にスペシャル感謝を!高評価も3件ほど頂きまして感謝の念が絶えません。評価バーの色が付かなかったのはちょと残念でしたが、最後まで投稿できて良かったです。
明日は国公立の結果発表です。僕は私立を受けていないのでかなりドキドキですが、合格すれば経済学部生ですので、経済チートとか書けたらいいなと思っています。
それではまたどこかの作品でお会いしましょう!