漢体これくしょん 日東丸提督のブラ鎮建て直し物語   作:かのんベール

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提督、道徳を見失う

大本営に一週間の建て直し期間を申請したが許可を取ることはできなかった。なんでも、今まで運営できていたのだから大丈夫だということだった。それでも食い下がった結果が護衛任務ということだ。あとは食料だが、これは来月の規定の配給日まで耐えろとのことだった。俺の分の食費は給料日に上乗せしてくれるそうだが、そういう問題ではない。艦娘の精神状態は最悪と言える。それに、運営体制もまともとは言えない。これでは軍としての力を最大限発揮することができない。改善すべき問題は多いが、先ずは食料の確保と建て直しの期間を得なくてはならない。その条件を同時に満たすためには...

 

鎮守府から出撃した艦隊に気づかれないようにして後をつける。

 

「ご苦労様でした。ここからは横須賀鎮守府が護衛を引き継ぎます」

 

どうやら無事に護衛任務を引き継げたようだ。それを確認して、俺はさらに沖へと足を進める。しばらくすると 深海棲艦を発見した。駆逐艦イ級からニ級、軽巡ホ級とまぁまぁな数と強さだが...

 

57mm砲を先制攻撃として撃ち込む。敵がこちらに気付いたようだが、構わずに7.7mm機銃の豆鉄砲を食らわせて挑発をする。相手も反撃せんと迫ってくるが...

 

迎え撃たずにひたすら逃げる!こいつらはこのまま誘き寄せて護衛任務中の艦娘に擦り付けるつもりだ。正に外道!

 

「敵艦隊が近付いてきます!」

 

「ある程度の数がいますね」

 

「今日は駆逐艦だけじゃなくて戦艦もいらっしゃいますから」

 

「余裕ネ!」

 

よしよし...。予定通りに戦闘に突入したようだ。だがこれで海岸側はノーガードだ。

 

貨物船に飛び乗るが、誰にも咎められることはない。それもそのはず、事前に戦闘に突入したら乗組員は船内に待機するよう命じているのだ。閃光弾で失明したくなかったらカーテンも閉めておけとのおまけ付きだ。

 

俺は当たり前かのように近くにあったコンテナを開ける。中身はバナナのようだ。まぁコンテナの絵柄で分かりきっていたことだが...。

 

次々にコンテナを開け放ち中身を確認して行く。生鮮野菜、米、肉、果物、缶詰め、衣服。海上輸送が困難となった現代、日本の食料自給率の低さは取り分け重要な課題だ。ある程度の改善はされ、食料自給率も上がってきてはいるのだが、やはり輸入に頼らなくてはならない食品が大半だ。食品の値段高騰により、正直なところ艦娘を食っていかせるのも結構大変なのだ。

 

取り敢えず日持ちする食品を中心に選び、一つのコンテナに詰め込んでいく。そう、これから俺が行うのは盗みだ。完全な犯罪だ。バレたらどうなるか分からない。しかし、俺はさらにこれから罪を重ねなくてはならない。こんなのは序の口だ。

 

コンテナを抱えて海に飛び降りる。華麗に着水を決めて、素早く船から離れる。気分はさながらスパイ映画の主人公だ。

 

ある程度の距離まで離れたところで57mm砲を貨物船に向ける。そして俺は本来守るべき相手に向けて砲撃をお見舞いした。

 

 

 

その後コンテナを鎮守府の倉庫に隠して、なに食わぬ顔で提督室に戻り艦娘たちの帰りを待つ。

 

 

 

 

 

待つ。

 

 

 

 

 

遅くね?

 

「護衛艦隊ただいま帰還しました」

 

吹雪が若干泣いている。ほかの駆逐艦も泣いた後がある。不味い、早くも罪悪感に押し潰されそうだ...。

 

「なんだ?吹雪をいじめてて帰還が遅れたのか?ちゃんと俺も誘ってくれよな!」

 

とってもフレンドリーでウザい感じで声を掛ける。

 

「違うネ!私たちとクズ提督を同じにしないで欲しいネ!」

 

「別に今さら隠さなくてもいいんだぞ?」

 

「本当に違うんです!私がいつまでも泣き止まないせいで皆さんが遅れてしまったんです。むしろ皆さんは慰めてくれていたんです」

 

「じゃあなんで泣いてるんだ?」

 

「それは...」

 

「まさかこれだけの戦力を投入しておきながら護衛任務ごときに失敗したとは言わないだろうな?」

 

「「......」」

 

部屋の中に重たい沈黙が漂う。

 

「なにをやってるんだこのグズ共が!」

 

机の上にあらかじめ用意しておいた前任の提督の湯飲みをぶん投げて粉砕する。

 

「ひっ...」

 

駆逐艦から小さい悲鳴が上がる。

 

「しかも大破どころか小破もなしか。敵に恐れをなしておめおめと逃げ帰ってきたと言うことか」

 

小馬鹿にした感じで挑発してみる。

 

「ちげーよ! 深海棲艦と戦ってたら突然後ろから砲弾が飛んできたんだよ!」

 

「つまり敵に後ろに回り込まれたと?」

 

「ああ、そうだ」

 

「随分偉そうに話しているが、それは大問題じゃないか?」

 

「それは...」

 

「もういい。貴様らには期待などしておらん。とてもではないが仕事を任せられるだけの信頼に足らん」

 

「それは天龍ちゃんを解体するということかしらぁ?」

 

「安心しろ。俺に逆らわない限りは解体はしないでやる。貴様らがいかにグズといえども重機の変わりぐらいにはなるだろ」

 

「テメェ...。この天龍を重機扱いだと!?」

 

「黙れパワーショベル」

 

「...っ!」

 

いかん、天龍が戦闘体勢に入ろうとしている。怒らせ過ぎてしまったようだ。

 

俺は天龍が艤装を展開する直前で天龍を蹴り飛ばす。

 

「グハッ!」

 

天龍が崩れ落ちる。

 

「所詮艤装を展開していない貴様らなどただの人間と大差ないわ!例え傷つけられなくとも痛め付けることなど造作もない」

 

流石に大勢の前で艤装を展開されては困る。人の目があっては俺も艤装を展開することができないからな。

 

まぁ今回はこれでよしとしよう。今にも龍田が襲ってきそうだが今は天龍の方が心配なようだ。

 

「もうグズに用はない。とっとと下がれ。」

 

「言われなくてもそうするネ」

 

「あぁ、ちゃんと明日の午前中までには報告書を提出するように。第一会議室が空いてるからそこを使え」

 

「hey!ちょっと待って欲しいネ、大本営への報告書の作成は提督の仕事のはずネ」

 

「それは事務的な結果報告に過ぎん。俺が言っているのは今後の戦略や任務に役立たせるための現場報告だ。報告書は紙が会議室に置いてあるから空欄を埋めて提出しろ。今回は手書きでいいが、そのうちデジタルにしてもらうから覚悟しておけ」

 

「でも、私たちはパソコンなんて使ったことないです。デジタルなんて無理です」

 

「無理じゃない、やるんだよ」

 

「そんな...」

 

まぁ、後でパソコン教室開くんだがな。

 

「その報告書は誰が記入すればよろしいのでしょうか?」

 

「全員だ」

 

「全員...ですか」

 

「そうだ。そのための会議室だ。全員でしっかりと当時の状況を確認し、各艦娘と敵の動きをしっかりと記入しろ」

 

担当艦娘や深海棲艦の種類、撃沈数、こちらの被害状況、使用燃料、護衛対象の大きさ等のデータ、簡単なところだと日付や天気とか一人でも記入できる箇所は多いが、やはり全員で話し合わなくてはならない部分もある。特に反省点や改善策の欄を一人で埋めるのは無理だ。

 

「分かったらとっとと出ていけ、目障りだ。休憩が済んだら直ぐに会議を開け」

 

こちらを睨みながら、又は怯えながら艦娘達が退室していく。その背中に追い討ちを掛けるべく声を投げつける

 

「あまりにもお粗末な出来だったら何度でもやり直しさせるからそのつもりでいろ。あと吹雪」

 

「はい...」

 

姿は見えないが廊下から声が聞こえる。

 

「後日、帰還を遅らせた罰を与えるので覚悟しておくように」

 

「はい...」

 

他の艦娘が突っ掛かってきにくいように敢えてこのタイミングで告げる。卑怯な作戦だ。まぁ腕立て伏せさせるだけなんだけどね。それでも充分キツいとは思うが。

 

「早く扉を閉めろ、部屋のマイナスイオンが減るだろうが」

 

ストレスで免疫が下がっていそうなので、空気清浄機を設置したのだ。まぁ、風邪になる前に暗殺されそうな雰囲気が凄いけどな。

 

 




デデーン!天龍、タイキックーwwwwwww
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