「紗夜、突然で悪いけどパステルパレットの丸山さんに、ギター教えて上げてくれないかしら?」
それは突然の事でした。
「はぁ?湊さん自分が何を言っているのか分かっているのですか?」
「そ、そ〜だよ!友希那ぁ、幾ら何でも唐突すぎるしさぁ☆」
全く……なんでよりにも寄ってパステルパレットなのかしら?
いえ、他のバンドなら良いという訳ではないですが……。
「実はパステルパレットの事務所の人から、丸山さんにギターの手解きをして欲しいと依頼があったのよ……初めはそんな暇はないと断ったのだけど……」
「そ、そうですよ!私たちに立ち止まっている暇なんて1秒だって……」
私が言い終わる前に、湊さんは鞄から封筒を取り出して差し出して来た。
「な、なんですかこれは?」
「10万入ってるわ、あなたへの報酬よ……私達にもそれぞれ5万ずつ先払いで貰ったわ、あなた確か欲しい機材があるって言っていたわよね?」
うぐ……確かに、しかも10万円もあればお釣りでポテトフライが食べ放題……。
「パステルパレットには日菜います……あの子は私より数段上手い……」
「確かに……日菜は上手いわ、でもあの子が人に教える事なんて出来ないわ」
……確かに……日菜は紛れもない天才、それ故に他の人が真似することは出来ないわね。
「わかりました……そのかわり厳しく指導すると丸山さんに伝えて下さい!」
「ふふ、その意気よ紗夜?」
こうして、私は丸山さんのコーチとなった。
まぁ、プロに指導を依頼する事に比べれば安上がりなのでしょう、実力はプロでも通用すると言う自負はありますが所詮私は一介の高校生ですから……。
ポテトは美味しかったわ……。
数日後……
「丸山さん!そうじゃありません、ピックはこうです!」
「うぇーん、ピックってなんなの〜わかんないよー」
「泣かないで下さい!!泣いてる暇があるなら指を動かして!」
「ひーっ!」
なんて覚えが悪い子なの?
「フレットの指はこうです!20分前に教えましたよね?」
さっき教えたことをもう忘れてるわ……。
「うぅ……Cコードがぁ……こう?」
「……中指……」
「え?え?」
はぁ〜……イライラするわ……。
「あの、紗夜……ちゃん?」
「中指が違います……もう一つ下の弦を押えて下さい」
抑えるのよ私っ!
「え?下の弦?」
もうダメ……。
「そうじゃないわよ!!どうして出来ないのよ!?何度も同じ事言わせないで頂戴!!」
「……」
その場にいた人達、パステルパレットのメンバー全員の視線が私に集中する。
やってしまった……。
「あ、あのぉ」
大和さんが恐る恐る声を掛けてきた。
「恐縮なのですが、そろそろ休憩にしませんか?」
「休憩ですか?」
私は時計に目をやると、指導開始から3時間が経っていた。
「そうですね、30分だけ休憩にしましょう」
「う、うん……ありがと麻弥ちゃん、紗夜ちゃん」
ふぅ……駄目ね私って……。
私はお手洗いで顔を洗う。
丸山さんは楽器を演奏するのも、楽器を触るのさえ今日が初めてなのに……。
「はぁ〜」
無意識に大きな溜め息が出てしまう。
もうコーチの依頼は来ないでしょうね、お金返さないといけないわね……。
「あ、あの!紗夜ちゃん!!」
「丸山さん?」
もう帰れって言うのかしら?まぁ、仕方ない事よね?私には指導なんて無理なのだから……。
「ありがとうね!厳しく指導してくれて!!」
丸山さんが手を握ってきた。
緊張しているのか汗で濡れている……違うわ……突然の事に緊張して汗で濡れているのは私の手……。
私は困惑していた。
「貴女は……辛くないの?」
聞かずにはいられなかった、辛くないはずは無いと分かっていても……。
「うん、すんごく辛いよ?紗夜ちゃんってば鬼みたいに怖いんだもん」
「そ!それは……」
「でもね?私がドジてのろまな亀だから、皆の足を引っ張ってるのもわかってるから!紗夜ちゃんの厳しい練習にも耐えて必ず立派なアイドルになって見せるよ」
「丸山さん……わかったわ!それじゃあ私をおぶってココを走り回ってください、あなたはのろまな亀なのでしょう?」
「はいっ!!」
それから、私と丸山さんの血のにじむような練習が1ヶ月続いた……始めこそ手間取っていた丸山さんもメキメキと成長を遂げ、戸山さんレベルには弾けるようになった。
そして卒業式……。
「丸山さん、よくここまで厳しい練習にもめげずに耐えてきました、まだまだ発展途上だけど今後もしっかり練習を積んで立派なアイドル目指して頑張って下さいね?」
「はい!教官!今までご指導有難う御座いましたぁ!」
丸山さんは感動して泣いてしまったみたいね、素直で純粋で努力家で……私じゃ到底かなわないわ……。
数日後、パステルパレットのライブではギターヴォーカルとなった丸山さんの姿があった。
そして……。
「ふへへ、皆さんお疲れ様でした!彩さんも紗夜さんとのギターソロ痺れましたよ!」
「イェイ☆ありがと麻弥ちゃん!紗夜ちゃんも大分アイドルが板に付いてきたね?」
「そ、そうでしょうか?よくわかりません」
そう、私はパステルパレットに新加入していたのだ。
日菜がいつの間にかロゼリアに加入していて私の居場所が無くなっていた為、丸山さんの誘いに乗ってしまったのだ……。
「ほらSNSで紗夜ちゃんの事が書かれているわよ?」
白鷺さんがスマートフォンを見せてくる。
ファン【 日菜ちゃんが脱退しちゃったのは悲しいけど、違った魅力を持ったお姉さまも最高です 】
「……ふふっ」
まぁ、何処で間違えたのか分からないけど、アイドルも悪くは無いかも知れませんね?
〜完〜
「あれ?友希那?これってドッキリじゃないの?」
「わからないわよ……」
「凄いなぁーどうして燐子ちゃんは全然話せないのにゲームの話の時は凄いいっぱい話すの?」
「もうやめてー!りんりんのライフポイントが0だよぉ〜」
〜完〜
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誰×誰の話とかないの?とか
なんだこのくそSSは!?とか
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宜しくお願いします。