最初なので短いですが温かく見てくださると嬉しいです。
それでは宜しくお願いします。<(_ _)>
「………今日、バンド練習あるから帰るの遅くなるね」
姉の美紅がテーブルにフォークやスプーンを並べながら、キッチンで朝食を準備している僕に申し訳なさそうに伝えてくる。
別にそこまで申し訳なさそうにしなくていいのに。でもここが美紅の良いところでもあるから、僕は何も言わない。
「わかった、僕も部活あるから。」
「うん。あ、あのね……」
皿に作りたてのスクランブルエッグを添えて、別に作ってあったスープを器に注ぐ。
そして、お盆に朝食をおいて美紅が座っている前にあるテーブルに置いて僕も席に着いた。
「ん?」
「……ううん、なんでもないよ」
ほら、また僕に遠慮した。
僕も僕だろう、美紅の言いたい事が何か知っているのに触れない。それどころか、話せないような雰囲気を毎日出しているんだから。
朝食をとって食器類を流し台に置いてから階段を上り、自室に戻ってクローゼットから制服を取り出す。
ワイシャツを着て、青色のネクタイを鏡を見ながら結んでいく。最後に灰色のジャケットに腕を通す。
「しゅうー、そろそろ行くよー」
「あぁ、今行く」
軽く返事をしてから自室のドアを閉めるべく、ドアノブに手をかけた時ふいに部屋の一室に置いてある一つの物に目が止まる。
それを見た瞬間、僕は舌打ちを一つしてから勢いよくドアを閉めた。
「大丈夫?凄い音がしたけど……」
「別に、ただ足をぶつけただけだよ」
そう、こうやって僕たち双子はお互い遠慮して生きてきた。
家の鍵を閉めてから互いの学校へと歩いて行く。美紅は花咲川学園に、僕は羽ヶ丘学園に。
互いに通う学校は、つい最近までは中高一貫で女子高だったが世間でも問題として取り上げられている少子化問題は僕らが住んでいるここらも同じようで、花咲川学園と羽ヶ丘学園は共学校へと変わった。
「美紅先輩、それに柊斗くんもおはようございます」
「さーやちゃん、おはよう。それにしても、私には先輩をつけるんだ~?」
「おはよ、沙綾」
ローズブラウンの髪の毛を、お気に入りの黄色いリボンで結わいて笑顔を向けながら歩み寄ってくる彼女は山吹沙綾。
僕らとは親同士が同級生だったこともあり、小さい頃から良く遊んでいた。だからだろう、美紅は自分に『先輩』とつけることに不満を感じたのか、沙綾の腕に抱きつく。
そんな美紅に嫌な顔をせずに普段見せてくれる笑顔で美紅に抱きついた。美紅と双子である僕から見ても2人は仲の良い姉妹に見える。
「もう、美紅先輩とは同じ学校なんですから美紅先輩って呼ぶって言ったじゃないですかー」
「そーだけどー、私達だけのときはね…?」
「あはは、わかった。みーちゃん!」
「うんうん!さーやとは先輩後輩って関係は嫌だからね。ね、しゅう?」
突然話題を振られ、僕は驚きつつも苦笑いを浮かべながら言葉を返す。
すると、沙綾は先ほどの笑顔から余裕の笑みへと表情を変えると最後はニヤニヤしだした。
「あー、僕は学校違うから……その、何とも言えない……」
「柊斗くんは違うみたいだよ~?」
「もー!2人して私のことを苛めるんだから!」
少しやりすぎたようで、一番左側にいる僕と真ん中にいる沙綾と顔を合わせないよう逸らしまった。そんな普段は大人の雰囲気を漂わす美紅が珍しく子供っぽい態度をとった事に沙綾も驚いたらしく、慌て始めた。
僕はこんなのを普段から見慣れてるけど。
「え、えーっと、美紅ちゃん……?」
「ふーん、沙綾なんて知らないでーす」
「えぇ!?ど、どうしよう、しゅう兄……!」
「いや、うん。いつものことだからっと、学校に着いたからまたね」
「え、ちょっと、しゅう兄!」
僕は見慣れない沙綾のパニック状態に少し笑いながら顔の前に両手の平を合わせ、「ごめん、その分お店手伝うからさ。また後でな」と伝えてから僕が通う学校、羽ヶ丘学園の正門に歩を進めた。
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「はぁ……」
「その様子だと、まだ話せてないみたいだね」
柊斗と別れて学校に向かっている途中、無意識のうちに吐いていた溜息に沙綾が苦笑いを浮かべながら聞いてきた。
私は軽く頷いてから、また溜息をついた。
話そうとはしている。でも、いつもその場の雰囲気に負けて何も言えず時間だけが過ぎさっていく。もうかれこれ2年過ぎた。
「どんな内容なのかわからないから何とも言えないけど、もう2年近く悩んでるよね」
「……うん」
「んー、私が言えることじゃないけど頑張って話してみるしかないと思うよ。双子でもお互いのことを全部理解するのは難しいと思うから」
「だよね、うん。明日こそ、話してみるよ沙綾!ありがと!」
「いえいえーって、明日なんだね…」
「ちょっと心の準備が……ね?」
「ふふ、そうだね。準備をちゃんとしなきゃ」
本当は今でも話すべきではないんじゃないかって、悩んでる。迷惑だって、言われるかも知れないし、もしかしたら嫌われる可能性だって否定できない。
身近に”あれ”があるだけでイライラさせてるかもしれない。
それでも伝えなきゃ、話さないといけない。
私は「よし!」と心の中で活を入れてから目の前まで来ていた学校の敷地に足を踏み入れた。
季節は春。
新しい環境、新しい友人、見慣れない風景。
それでも決して変わらないものが幾つかある。でも、彼女たちは幾つかの中で一つの物を変える道を選んだ。
道は違えど、目的は同じ彼女達の目的。それは――――――――――
音を失ったキミに、音を取り戻させる事。
読んでくださり、ありがとうございました!
次回の投稿はできれば今週中にはあげたいと思うので、これから宜しくお願いします!