ゲート:転生者、彼の地にて斯く戦えり   作:きのみ

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10.銀座の戦乙女

 私を乗せたワイバーンは天高く飛び上がった。

 雲の上のそこで、私は口を開いた。

 

「神々の主よ、古の盟約により、我に力を与え給え、異形の敵に神々の鉄槌を! ライトニング!」

 

 これは異世界の魔法で、一日一回しか使えない大技なのだが、この世界でも有効だと信じたい。

 ゴロゴロピシャーン!という音と共に雷が至る所に落ちていくのが雲間から見えた。私はほっと息を吐き、ワイバーンに戻るように命令した。

 

「……まだ、か」

 

 異形の敵と指定したのが悪かったようで、人間の敵の兵士は生きていた。私は先ほど回収した、敵の武器である短剣と片手剣、ランスを装備し、ワイバーンと共に街へと下った。

 街の人々を襲う兵士達を刺していった。

 人を殺すのは初めてだったが、緊急事態だからと、そこは深く考えずに敵を倒していった。

 殺さなければ、殺される、そんな状況だった。

 自衛隊の応援が来たとき、私はほっとして、街中でワイバーンから降りた。

 その時を狙っていたかのように、影から兵士が現れ、私に襲いかかってきた。

 

「ストゥービファイ!」

 

 兵士は麻痺して倒れた。

 聞き覚えのある男性の声だった。振り返るとそこには、

 

「ヴァン!」

 

 私は長時間戦っていた疲れも忘れ、ヴァンに抱きついた。

 

「どうして、ここに?」

 

 ヴァンは一瞬ばつが悪そうな表情をしたが、すぐに笑顔を浮かべた。

 

「どうしてって、休みだからね、偶には銀座にでもと思ったら、巻き込まれてさ」

「そうなんだ……ヴァンがいてくれて良かった」

 

 私は笑顔を浮かべてヴァンの胸に頬を寄せた。

 

(でも、この騒ぎって一体、何だったんだろう)

 

 その後、私はゲートが開いて異世界と日本が結ばれたことを知った。この世界はどれだけの物語がまぜこぜになっているのだろうか。

 

 

 

 その後、伊丹三尉とヴァンと私は表彰された。

 伊丹さんは知り合いだったが、私が表彰を受けると聞いて妙に納得した顔をされた。何故かムカついたので睨んでおいた。

 伊丹さんは二等陸尉に、ヴァンと私は准陸尉だったので、三等陸尉に昇進した。

 伊丹さんは《二重橋の英雄》、ヴァンは《銀座の英雄》、何故か私だけ《銀座の戦乙女》と呼ばれた。解せぬ。

 日本では報道で伊丹二尉とヴァンと私の話で持ちきりだった。私がワイバーンに乗ったのは相当なインパクトがあったらしく、なぜ乗れたかの分析を専門家がしていた。

 理由は自衛隊体育学校で馬術の授業があるからだという見解が多かった。それは正しい見解だった。確かにその経験が無ければ乗りこなすのは難しかっただろう。自衛隊体育学校様々だ。

 

 その報道は海外にも知れ渡り、魔法省の人間が私とヴァンに接触してきた。

 

「こんにちは、魔法省神秘部部長ライル・ディレクティオと申します。今日は魔法使いで、日本の自衛隊であるあなたに依頼があってやってきました」

「なんでしょう?」

「特地に行かれたら、その地の素材と魔法についての資料を集めて欲しいのです」

「……何故でしょう?」

「神秘を探求することで魔法族とマグル両方を守ることができると私は信じているからです」

 

 その真っ直ぐな瞳と思いに私は感心した。

 

「分かりました。もし、行くことになりましたら、協力しましょう」

「本当ですか! ありがとうございます! 報酬もありますので、頑張って下さい。では」

 

 そして、ライルさんは姿くらましを使った。

 

 私たちが特地に向かったのはそれから一ヶ月後のことだった。

 

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