ゲートを潜り抜け、辿り着いた特地に自衛隊は基地を築いた。六四式小銃を携えた自衛隊員達が基地の各所で見張りとして配置された。
そんな中、私とヴァンは特地の深部情報偵察隊に配属が決まった。ヴァンは第四偵察隊、私は第三偵察隊に配属が決まった。原作が間近で見ることができる配置だったので、純粋に嬉しかった。何故かヴァンは機嫌が悪かったけど。どうしたんだろう?
それよりも、特地だ。これから特地を探検するのだ。今日は休みでもなんでもないが、逆転時計を使えば問題ない。
まず、私は基地から抜け出す為に身体強化と浮遊を使った。魔法とレンジャーや特殊作戦群を潜り抜けてきた身体能力があれば、脱走などお手の物だった。
誰にも見られていないのを確認し、私は基地から離れていった。勿論、服装は魔法界によくいる魔法使いの服に変えて。
「待ってろよ、異世界の素材たち」
異世界にある珍しいものを回収すべく、フードを被った私は一歩を踏み出した。
特地の言葉を記した辞書を片手にコダ村の人々と話をした。
薬草が豊富なのはエルフ達のいる森だと言われた私は薬草を採取する為、エルフの村、コワンの村へと向かった。
コワンの村の村長に採取の許可を得た私は早速、採取をしようと腕を捲った、捲ったのだが、
ギュオオオォオオ!
という何処かの怪獣映画で聞いたことのあるような鳴き声が聞こえた。
「な、なんと、炎龍!」
「! ドラゴンか!」
窓の外に見える赤く燃えるような色を持った巨体を睨み付け、私は村長の家を飛び出し、ドラゴンを睨めつけた。
「これから、私は採取をするんだ! 絶対、邪魔はさせん!」
そうして、私はドラゴンに向かって手を掲げた。
「エターナルライトソード!」
(あ、このドラゴンって原作に出てきたドラゴン?)
上空に現れた無数の光の大剣がドラゴンの身体を切り裂いた。この光はとても強靱なのだ。装甲車だろうと何だろうと貫く。
そして、ドラゴンは断末魔の叫びを上げ、地面に落ちた。幸い、下には住居などは存在しなかった。
辺りはシンと静まりかえったが、次の瞬間、割れんばかりの歓声が周囲を包んだ。
私は興奮したエルフ達にもみくちゃにされたが、フードは外さなかった。私、偉い。
「まって、まだ、生きてるわ!」
一人のエルフの女性が悲鳴のように叫んだ。
私は人々の前に出て、シールドを張り、水の魔法を使った。
「水龍砲!」
(原作崩壊かもだけど、いっか)
それと同時にドラゴンは炎を放った。炎と私の水でできた龍がぶつかる。水龍が打ち勝ち、ドラゴンにぶつかった。
ドラゴンは這々の体で森から飛び去った。
二度目の歓声が上がった。再びもみくちゃにされるかと私は構えたが、今度はエルフの皆さんは落ち着いていた。
村長が代表で私に話しかけてきた。
「ありがとう、助けてくれて。君がいなかったら、この村は全滅だっただろう。君の名前を教えてくれないか?」
「ごめんなさい、教えられないの」
「そうか……分かった。本当にありがとう。さ、皆の衆。荷物を纏めるんだ」
村長のその言葉に反応した人々は皆、自分の家に入って荷造りをし始めた。
「どうして、荷造りを?」
「炎龍は傷を癒やしたら、またここに戻ってくるかもしれん。逃げるしかないのじゃ」
「そう、なんですね……」
私は今からドラゴンを追ってトドメでも刺そうかと思った。その時、村長が私の肩に手を置いた。
「あなたは本当に私たちの救い主じゃ。これを、あなたに渡そう」
「これは?」
「エルフの村に伝わる霊薬じゃ。どんな傷も癒やす優れものじゃよ」
「……ありがとうございます」
「なあに、これは炎龍を退けてくれたお礼じゃよ」
達者でな、と言って去ろうとした村長の手を私は掴んでいた。
「……アルヌス」
「何じゃ?」
「アルヌスならあなたたちの事を守ってくれる人がいるわ」
「! それは」
「行ってみたら、分かる」
私よりも幾分か低い村長の顔を覗き見た。村長は真剣な表情で頷いた。私は村長の手を離し、踵を返して、森に向かった。
薬草を採取して、研究したかった。それにさっさとしなければ、第三偵察隊がこの村に来てしまうかもしれない。鉢合わせは避けたかった。
私は鑑定を使って薬草を見分けながら、空を見上げた。
空はまだ、雲一つ無い晴天だった。