ゲート:転生者、彼の地にて斯く戦えり   作:きのみ

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14.狭間陸将

 

 コワンの村のエルフたちやコダ村の人々はアルヌスに無事到着し、なし崩し的に受け入れられた。

 伊丹二尉は上司にこっぴどく怒られていたが、へらへらと笑っていた。丈夫な神経の持ち主だと私は改めてこの人に対して感心した。

 そんな私だが、何故かは知らないけれど、狭間陸将の部屋にいる。呼び出されたのだ。

 何故呼び出されたのかは見当も付かない。

 

「君は伊丹二尉が率いる第三偵察隊の副隊長だったね」

「はい」

「今朝、君が基地から抜け出すのをみた」

「……え」

「しかも、その同時刻に君が第三偵察隊として出発するのも見た」

「は、」

「監視カメラの記録にも残っている」

(マジでか!!)

 

 私の背中には冷や汗が流れた。

 

「説明してくれるかな? 桐ヶ谷三等陸尉」

 

 その後、私は逆転時計の事は隠し、自分が魔法使いだということを暴露した。魔法も使って見せた。

 

「ふむ……魔法で影分身のようなことができるのか。どこかで学んだのか?」

 

 狭間陸将は興味深いという表情で私の顔を見ていた。

 

「……それはお教えできません」

「分かった。もう一度、魔法を見せてはくれないか?」

 

 私は害が無い魔法を使う為に杖を取り出した。

 

「ルーモス」

 

 光が杖から溢れた。その時

 

「陸将、ご報告が……」

 

 柳田二等陸尉がノックもなしに入って来た。それもその筈、陸将の部屋は常日頃から開放されていて、「ノック不要、入室許可」と書かれた紙が貼り付けられているのだ。

 つまり、誰でも入りやすい部屋になっている=プライバシーがないに等しい。なので、秘密にしたい事をこの部屋でやってはいけない。私はその事を忘れていた。

 

「や、柳田二尉?」

 

 柳田二尉は私の杖を凝視している。

 お願いだ、何か喋ってくれ。

 

「よし、桐ヶ谷、柳田。このことはここでは俺たちだけの秘密だ。桐ヶ谷、この事は上に一応、報告しておく。分かったか?」

 

 報告は止めて欲しいけど、仕方が無いので頷いた。

 

「柳田、分かったか?」

「は、はい、陸将」

 

 動揺が収まっていないようだが、柳田二尉は頷いた。

 

「よし、桐ヶ谷は戻ってよし、柳田は報告があるんだろ。聞かせてもらおう」

「はい」

 

 私はその様子を見ながら、一礼して、部屋を去った。

 

(やってしまった……魔法省に報告すべきか? ここはダンブルドアに相談するか……)

 

 今度の休暇はダンブルドアに会いにホグワーツに行くことを決めた。

 

(ダンブルドアはどんな反応をするだろうか……)

 

 あの飄々とした態度は何をしても崩れはしないという事を思い、私は苦笑を浮かべた。

 そして、私は持ち場に戻るのだった。

 


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