ホグワーツ魔法魔術学校は映画で見たのと同じ、否、それ以上の迫力でもって私たち一年生を迎えてくれた。
荘厳な佇まいの城、内装も素晴らしい造りだ。
大広間の天井はやはり、原作と同じく、空を映し出している。今は満点の星が輝いている。
四つの長い机には生徒達が座っていた。皆、興味津々にこちらを見ている。
一年生の組み分けが始まる。
「レイブンクロー!」
ヴァンが組み分け帽子に組み分けられて、レイブンクローの席に座った。
そろそろ私の番だった。
「キリガヤ・サキエ」
「はい」
呼ばれた私は椅子に座った。組み分け帽子が頭に被せられる。
「ほうほう、君は平和を好んでおる。しかし、勇気もあるし、策略を巡らせることも出来る。そして、賢く機知に富んでいる……どの寮でも君は良い結果を残すだろう。さて、どこがいい?」
何処がいいかと聞かれて反応に困った。まさか、どこがいいか聞かれると思わなかったのだ。
「ふむ、君の友が二人、グリフィンドールにいるから、」
「レイブンクローでお願いします」
「まあ、そこにも一人おるからの、良い学生生活を送りなさい。レイブンクロー!」
私はレイブンクローの机に向かうと真っ先にヴァンの元に向かった。
「ヴァン! 一緒の寮になれて嬉しいよ!」
「僕も嬉しいよ! サキ!」
「ヴァンの友達か?」
ヴァンの横から顔を出したのは茶髪に緑の瞳の優しげな青年だった。
「はい、サキっていいます」
「よろしくな、サキ。俺はイアン・セルウィン。五年生だ」
「よろしくお願いします。イアン」
私とイアンは握手を交わした。
「今年の一年生はラッキーだよな」
「ああ、なんたってあのジェームズ・ポッターが今年から闇の魔術に対する防衛術の先生になるんだからな」
私はゴブレットからジュースを吹き溢しそうになった。
「ジェームズ・ポッターって誰ですか?」
私は何食わぬ様子で先輩達の話に加わった。
「ジェームズ・ポッターを知らない!? なら、教えてあげよう、ジェームズ・ポッターはクウィディッチでナンバーワンの選手だった男にして、闇の魔術に対する防衛術に秀でていた。それを魔法省に買われ、闇払い局の局長まで勤め上げ、その地位から自ら辞して、ホグワーツに来たんだよ! マジで、凄い人!」
「わ、分かりました。よーく、分かりました」
私はイアンのマシンガントークで分かった内容を頭の中で整理した。
(つまり、ジェームズ・ポッターが生きている。もしかして、原作が変わっている?)
その可能性が悪い方へ働かないことを願いながら、私はヴァンとの会話に集中した。
その後、同じ寮生と挨拶を交わし、私たちは食事を楽しんで、寮に向かった。
寮では映画と同じく灰色のレディが迎えてくれた。
女子寮に行こうとした時、周りに驚かれたことが悲しかった。そんなに男に見えるんですか、私は。
悲しい気持ちを引き摺りながら、ルームメイトと挨拶を交わし、私は自分のベッドに入った。今日の事を振り返る。
(組み分けの時にハリーはいなかった。ジェームズが生きてる。つまりは原作とは違う世界だ。……平和に過ごせたらいいのだけど)
そんなことを考えながら、私は眠りに就いた。