「沈んだか、ブラオメーア」
暖かな光が差す執務室で、新聞記事を見ていた提督はそう呟く。
ブラオメーア。共生主義者達が造り出した輸送艦の一つだ。
だが、ろくに活躍出来ず、解体命令を出されてしまい、解体処分される事となったが、解体寸前に共生の艦長が譲ってほしいと頭を下げてまでもお願いしてきた。
その時いた工廠長は、そのままその艦長に譲ったらしい。
だが、ブラオメーアはボロボロでその艦長は、どう整備しようかと悩んでいたらしい。
その時その場にいた俺は、これは面白そうだと思い、上には無断で数少ない知り合いにいる整備班と建造班に手を貸してもらった。
整備をしていると、ブラオメーアを引き取った艦長までも手を貸してくれた。
その時俺はこう聞いた、何故ブラオメーアを引き取ったのかと。
その艦長はこう言った、活躍が出来ないで解体されるのは可哀想だ。この世界に生まれたからには、何か活躍させないと。と言ってくる。
そう聞いた俺は、少々笑ってしまったが、なぜかこの艦長とは長くやっていけそうになった。
整備と建造の毎日が続き、数日後には、輸送艦ブラオメーアの姿は無く。改装空母ブラオメーアとしての姿がそこにあった。
艦長には、手伝ってもらったお礼として最新式のタービンをブラオメーアに取り付けた。その時の艦長は頭を下げてまでも喜んでいた。
その後、ブラオメーアとその艦長は、戦場へと向かった。
俺や整備班と建造班の皆は、ブラオメーアが敵を倒すたびに喜んで大はしゃぎしていた。
そして、中破や大破すれば、急いで出迎えて修理していた。
だが、そんな空母ブラオメーアも沈んでしまった。
艦長の生死は不明だったが、あの艦長のことだから、仲良くブラオメーアと共に沈んだと思う。
あの艦長とブラオメーアとの出会いは今でも鮮明に思い出せる。
実はと言うと、ブラオメーアが轟沈する二日前に俺は追い出されていた。
前に、ブラオメーアの改修作業を無断でやったことがバレてしまったのが原因だ。
ブラオメーアの轟沈を聞かされたのは、それから二日後の、辺境にある鎮守府に向っている途中だった。
向かった辺境の鎮守府は、補給。つまり、他の共生軍に物資を輸送させる為に建設された場所で、知る人が知る場所だ。
ブラオメーアの艦長もまた、その一人だった。
この鎮守府は、鎮守府自体の機能はしていないが、必要なものは揃っていて、艦娘を建造できれば、装備も造ることも出来る。
その為、暇つぶしに建造した艦娘が何人かはこの鎮守府にいる。出撃はないが、遠征と言った形で、近海に出てもらって、魚などを捕って来ている。
俺がこの鎮守府に腰を下ろしたのは、もしも。もしもの話しだが、沈んだ艦は、艦娘か深海棲艦となり生まれ変わると言われている。
この場所を知っているあの艦長が生きていれば、生まれ変わったブラオメーアと一緒にここに来るかもしれない。
その時が来れば、あの時の様に、暖かく出迎えてやりたいと思っている。
提督は、執務室から見える綺麗な海を見ながら、そう思うのだった。