執務室の窓に身を乗り出して綺麗に輝く海を眺めていると、誰かが執務室の扉をノックする音が聞こえた後、遠征の報告にやって参りましたと扉の先から聞こえた。
入れと声をかけると、一人の艦娘が扉を開けて執務室に入室した。
失礼しますと一言告げたのは、俺が暇つぶしに建造した艦娘、重巡洋艦「筑摩」だ。
筑摩は、俺が建造した艦娘の中では長い年月を共にしていて、俺の好みの食べ物や、好みな味付け、無意識でやる癖までも知る位の付き合いだ。
今回は良い結果にはなりませんでしたと言った後に、今回行った遠征の結果をまとめたレポートを受け渡される。
「そろそろ別の海域に場所を変えるか、それとも・・」
遠征結果を見ながら提督は頭を悩ませていると、誰かが扉を強く叩く音が響いた。
提督は、はぁ。と溜め息混じりの呆れ顔で筑摩に目を向けると、苦笑いする筑摩の顔が見えた。
利根「失礼するぞ!」バン
扉を蹴破って乱暴に執務室へと入ったのは、筑摩の姉艦の「利根」だ。
彼女も暇つぶしに建造した艦娘で、筑摩の次にこの鎮守府に配属することとなった。
初めて会った時もそうだったが、筑摩の妹艦かと思ったことが何度もあった。
その理由に、自分で出来ないことがあれば直ぐに筑摩を呼んだり、何かやってもらう時にも筑摩を呼んだりするので、どっちが姉か妹かがわからない時もあった。
いや、筑摩が世話好きだからだろうな。誰かの役に立ちたい一心でやっているのだろう。
まぁ、そんな世話好きに、俺も助けてもらっているしな。
「ところで利根さん?何のご用で?」
利根「提督よ。いつまで他人行儀みたいに、その名で呼んでいるのだ?普通に呼べば良いもの」
「そうはできませんよ」
提督がそう言うのも、艦娘の皆は俺達人間の代わりに海戦する。
自分ら提督は無力であり、彼女達に指揮を執ることしか出来ない。
だからこそ俺は敬意を込めて名前を呼ぶ。
彼女達もまた、この世界で生まれた一つの命。
それを、消耗品にするような奴らには何があっても許さん。
そう言っても、この鎮守府の出撃は無い。
その理由に、近海に敵がいないからだ。
まぁ、その方が俺からは都合が良いが。
利根「まぁ良いわ。夕食の支度が整うのでな、そろそろ食堂に来る様にと、鳳翔からの伝言でな」
そう言われて窓から外を見れば、もう夕陽が沈んで来ていた。
「わかった。利根さんと筑摩は先に行ってて来れ、俺も後で行くから」
と告げ、利根と筑摩はその場を後にして、執務室から退室した。
提督は二人が退室した後、遠征結果のレポートを机の上に置いて、椅子に深く座り込んで一息ついていると、
「鳴いているのか」
椅子から立ち上がった提督は、執務室の窓から暗い海を眺める。
そこには何の変哲もない海だが、提督だけには聞こえてくる、深海の奥深くから、鳴き声のような歌が。
提督はその歌に、愛しさに満ちた顔をし、海を眺めていた。
また出すの忘れた。