適者生存主義連合。
名前の通り、適正がある者だけが生き残れる場所。
共生主義連合の様に、お互いに助け合うなどはしない。
ただ自分自身が生存できることに精一杯だ。
適者生存連合は、適者ではない者を排除する。
それが、子供であろうが、国を守る軍人や幹部であっても容赦はしない。
辺境提督こと信夜(しんや)もまた、適者生存連合軍に所属していた。
共生主義連合は、数でものを言わせる位に兵力には適者に勝っていたが、適者生存連合は、技術面では共生連合には勝っていた。その持ち前の技術力で、共生連合の攻撃を阻止してきた。
当時の信夜は適者生存主義連合に、幼い頃から培ってきた技術能力が買われて、適者生存主義連合の技術者として所属していた。
技術者となった信夜は、直ぐに実力を伸ばし始めた。
たくさんの技術者でも出来なかった兵器の開発や、開発が難しいと言われた装備の開発、コストに厳しい中でも、最新の兵器や軍艦などを開発や建造を繰り返していった。
その働きは適者連合の上層部まで功績を集めることとなり、適者連合では「神業の信夜」と言われる程となったがその反面、多くの技術者に嫌がらせ、妬まれ、避けられると言った事をされ、他の技術者とは険悪となっていた。
神業の信夜と言われるがその実態は、誰の意見も聞かずに勝手に開発、建造に取り組む変人でもあった。
それからと言うもの、信夜の回りにいた技術者や軍人は皆離れていき、気付けば、孤独だった。
信夜には親友がいた。
その親友は、最新装備の開発に試行錯誤を繰り返していた信夜に手を貸してくれた。
その親友のお陰で、最新装備の開発に成功。
親友は造るのは得意だと告げ、信夜と意気投合して開発の意見を交える様になった。
何度か一緒に作業していると、その親友は、自分が適者連合を統括する人物だと告げた。
驚きを隠せずにいたが、信夜は統括する人物であっても、俺達友達だろ?と言って、親友は小さく笑いながらも、そうだなと答えた。
その親友と良く話し合うこととなった信夜は、装備や兵器の開発には親友のもとを訪ねては、意見を交えて許可があれば開発することとなった。
適者連合内での信夜と親友の仲は、誰でも邪魔することは出来なかった。
だが。
あることを境に、二人の間に亀裂が走った。
親友が信夜の所へ古い設計図を見せた時だった。
親友が持って来た設計図には、戦闘機にも爆撃機にも変形が可能、ステルス機能を備えた兵器であることが書かれていた。
設計図の内容から信夜は感じていた、ステルスを装備させた変形が可能な戦闘機兼爆撃機。
それは、ミサイルや爆弾を使っても相手には感知させることが出来なくすることもできる。
一つ間違えば、ステルス核弾頭と言ったものまで。
それに、信夜はこの設計図を知っていた。
「呪いの設計図」
その設計図は、この世に存在し、数多くの技術者が力を入れても造ることが出来なかった兵器が書かれている。
だが、誰も造ろうとはしない。
名前の通り、この設計図には呪いを持っている。
数多くの技術者の中には、これを造ろうとした途端に、原因不明な死を遂げている。
もし、仮にこれを造ったとしても、その所有者に何らかの呪いが降りかかって来るのは間違い無いだろう。
親友にそんなことになって欲しくない、それを踏まえて信夜は、親友に建造を断った。
そう告げた途端、親友は切迫した顔で信夜に問う。
何故だ?!
信夜は答えた。
あれを造ってどうするかは知らないが、あれを造ることには賛成しない。
頼む信夜!お前の力を貸してくれ。
親友は頭を下げて頼むが、
駄目だ。
親友の頼みを聞いてくれないのか!?
俺はな、お前の親友として言っているんだ!
俺があの兵器を造れば、お前はまず先に共生連合を、再起させないまで叩き潰すつもりのはずだ!
それで何の罪の無い子供達ごと巻き沿いにさせてまでも、この戦争に勝ちたいのか!
違う信夜!俺は、共生連合に所属する、ある奴に俺の力を思い知らせるだけだ!
だからといって、お前のエゴに他人を巻き込む訳にはいかん!
それにあの兵器は、所有者だけで無く、その回りの奴らまでに不幸をさせてしまう!
頼むから!力を貸してくれ!
断る!俺は親友としてお前の為に言っているのだぞ!
····っ!
その直後、一発の空砲が静かな空に響き渡った。
俺はその日を境に適者連合を抜け出し、共生連合に所属したが、数多くの命令違反を起こして、この辺境鎮守府にて腰を降ろしている。
どうしてあいつがあんなになってしまったのか?
俺が関わらなければよかったのか?それか、技術者として配属しなければよかったのか?
まぁどちらにせよ。
もしあいつがまだ、あの兵器の開発に取り組んでいるのならもう遅く、開発は無理だろう。
何故なら。
その兵器に使われる、動力部とステルス機能は、共生連合にて建造され、
俺がこの手で改装させた艦で、深海へと沈んでしまった。
改装空母ブラオメーアに取り付けたのだからな。