辺境の提督   作:ナタク

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ひなせ丸の鎮守府での生活

「ひなせ丸~、洗濯物を取り込むぞ。手伝ってくれないか?」

 

「は、はい!お手伝いいたします」

 

あの騒動から一週間、信夜の鎮守府へとつれてこられたひなせ丸。

最初は警戒していて信夜から片時も離れず、食事も風呂も就寝の時であろうが信夜と一緒であったが、皆と過ごしていくうちに、段々と警戒が薄れていき、現在では皆と和気あいあいと炊事や家事や遊んだりするまでに至る。

それでも信夜から離れることはなかった。

そんな信夜のことをひなせ丸は「お父さん」と呼んでいる、まだ補給艦であった時の記憶、いや建造された時の記憶がある為だろう。

カタコトであった言葉使いで初めてそう呼ばれた信夜は涙を流していた。

今では言葉達者であるひなせ丸であるが、この鎮守府に来た時は言葉を話すどころが、言葉すら分からなかった。

最初は信夜の指導の下で言葉を習っていたが、以前の騒動での傷が癒えていなかったのがみんなにバレてしまい、休むように怒られてしまい、その後はみんなが教えていたそうで、飲み込みも早く、その成長を聞いた信夜がまた先ほどの話のように涙を流すばかりであった。

 

それから回復した信夜も作業へ戻り、現在ではみんなの報告書を処理しているところである。その作業をサポートにひなせ丸が就いている。

作業は黙々と捗っており、「ひなせ丸よろしく」と処理の終えた報告書を手渡せば「わかった」と受けとれば直ぐに誤りがないか探し、問題がなければ押印をする作業へと移る。

その間、二人は言葉を発することはない。何故なら、二人の頭の中では、(早く終われば、いっぱいじゃれつける)と同じ思考である為だ。

 

現に作業が終わると、お父さんはお茶だよねと伺い、信夜は返答しながらひなせ丸が艦だった頃よく甲板で食べていたどら焼きを持ち出して来る。そのせいかどうやらどら焼きが好物のようであり、どら焼きをテーブルの上に置けば、ひなせ丸もテーブルにお茶を置き、楽しみである信夜の膝で座り、ご満悦な表情にてどら焼きを頬張る、そんな愛くるしいひなせ丸を見てさらに微笑む信夜もどら焼きを頬張る。それがこの二人が一番楽しみにしている。

そんな二人が特に楽しみなのは、どちらかが昼寝した時の寝顔を見ることらしい。

 

そして本日の課業を終え、信夜はひなせ丸に先に戻っててと伝えるとひなせ丸は元気に返事をし、部屋に戻る。

信夜はそのひなせ丸の背を見終え、自分も部屋へ戻る為に執務室の整理を始める。

 

することを済ませたひなせ丸は信夜の部屋で寝床の準備をしていると、押入れの中から一枚の紙が落ちてきた、それを拾った紙を見ると艦の設計図のようであり、その設計図には「アークファントム」と名が書かれた、航空母艦の設計図であった。

 

「そんな所にあったのか、ありがとうなひなせ丸」

 

それをまじまじと見ていたひなせ丸の頭を撫でる信夜がその設計図を受け取り、近くの机に置き、布団に入った信夜はいつものように隣を叩き、ここにおいでという誘いで、いつものようにひなせ丸は信夜の隣で添い寝の形で寝るようにし、一日を終えるのだった。

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